アンケート 顧客満足度調査

【アンケート応用編】製造業は顧客満足度調査をどう進めるべきか「参考になるのはISO9001」

製造業企業(以下、製造業)が顧客満足を高めようと考えたとき、国際規格ISO9001を取得することは消費者や取引先や株主から高く評価されるもの。

ISO9001は品質マネジメントシステムについて規定したものであり、顧客満足の向上は、そのなかのパフォーマンスの評価に含まれます。

ISO9001を取得した企業は、顧客満足度を適切な方法で調査して結果を改善につなげている会社、というお墨つきを得ることができます。

ただISO9001を取得するには時間も労力もコストも必要で、企業規模が小さい製造業では取り組むことが難しいかもしれません。

しかし、顧客の満足なくして生き残れないという法則は、企業規模に関係なく当てはまるもの。

そこでこの記事では、製造業が本気で顧客満足度を高めようとしたときに「しなければならないこと」を、ISO9001の視点から考えていきます。

一般的なアンケート方式を含む、顧客満足度の調査方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

製造業は顧客が多いので大変

どの業界の企業にとっても「顧客の声」は重要なものですが、製造業は顧客の種類が多く、満足しているかどうかを調べるのは大変な作業となります。

たとえば、完成品をつくっている製造業なら顧客は実際にその完成品を使うユーザーですが、部品をつくっている製造業の顧客は、その部品の納入先になる完成品の製造業と完成品を使うユーザーです。

また、製造業は、部品や材料や素材を外部から調達するわけですが、その調達が滞れば仕事にならないので、調達先企業も顧客並みに大切に扱わなければなりません。

そこで製造業は、効率的かつ効果的に顧客満足度調査を実施していくことが求められます。

ISO9001が考える顧客満足とは

ISO9001の「9.1.2、パフォーマンス評価」の「顧客満足」の項目には下記のように記されています。

●企業は、1)顧客のニーズや期待にどの程度応えられているか、2)顧客がどのように受け止めているか、の2点について監視しなければならない。

●企業は、顧客に関する情報の入手方法と監視方法と評価方法を決めなければならない。

最初の項目は、顧客満足度を把握しなければならない、という趣旨なので、当然のことをいっていると考えることができます。

問題は2番目の項目で、これは次のように解釈できます。

解釈A:顧客満足度をどのように調査するのか決めなければならない

解釈B:顧客満足度に関する情報が適切に扱われているか監視しなければならない

解釈C:顧客満足度調査の結果をどのように評価するのか決めなければならない

具体的にしなければならないこと

解釈A、B、Cから、ISO9001は企業に、顧客満足度調査を行っただけで満足してはならない、と注意していることがわかります。

では、企業は具体的に何をしなければならないのでしょうか。

●とにかく顧客満足度調査を実施する

解釈Aによると、まず顧客満足度調査を実施しなければなりません。

顧客の満足度を測る方法には、一般的なアンケート方式の顧客満足度調査の他にも、顧客からの直接的なフィードバック、クレーム、褒め言葉、顧客との面談、市場分析、代理店や販売店からの報告などがあります。

「うちの会社はこの方法で顧客満足度を測る」と決め、実行に移します。

●顧客満足度調査を都合よく利用しない(悪用しない)

解釈Bは、顧客満足度調査の結果や情報を、一部の人が都合よく利用してはならないといっていると考えられます。

もし、悪意あるマーケ―ターが、顧客満足度調査結果の高評価だけを経営者に報告したら、経営者は経営判断を誤ることになるでしょう。

また、もし、悪意ある経営者が、顧客満足度調査結果の高評価だけを投資家に報告したら、投資家は投資判断を誤ることになります。

このように顧客満足度調査の結果は、悪用されると会社に大きな影響を与えるので適切に監視しなければなりません。

●検証して、よい行動を横展開し、必要に応じて組織を改善する

解釈Cは、顧客満足度調査の結果を検証しなければならないといっています。

顧客満足度が高ければ、高くなった理由をみつけなければなりません。顧客が満足したのであれば従業員から何らかのよい働きかけがあったはずで、では、誰が、どの部署が、何をしたのでしょうか。これを解明できれば、顧客満足度が低い人や部署に真似させることで会社全体を底上げできます。

そして、顧客満足度が低ければ、経営者自らが乗り出して抜本的に改善していかなければならないでしょう。

調査結果を精読して、誰が、どの部署が、何をしたから、あるは何をしなかったから、顧客が不満に思っているのか洗い出さなければなりません。

属人的な話なのか、組織的な問題なのか、会社の体質なのかといった本質的なことに迫る必要があります。

原因が特定できたら、その人やその部署を責めるのではなく、その人やその部署を顧客志向に変えていかなければなりません。

担当替えや人事異動が必要になるかもしれませんし、部署の統廃合を行わなければならないかもしれません。社員教育も強化すべきでしょう。

製造業における顧客満足度調査の事例:キヤノンの場合

製造業がISO9001の考え方にしたがって顧客満足度調査を行った事例として、キヤノンの取り組みを紹介します(*1)。

キヤノンはISO9000を導入しましたが、これもISO9001と同じく、品質マネジメントシステムについて規定しているので、ほぼ同じものと考えてもよいでしょう(*2)。

*1:http://www.ipc-web.jp/information/ipc_dayori/pdf/SU_ISO9001_6.pdf

*2:https://www.technofer.co.jp/iso/iso9000standard/

顧客の声を集める方法に問題があった

キヤノンの情報通信システム本部は、顧客の声の情報収集方法が適切ではない、という課題を持っていました。

満足の声は、アンケート、パネルテスト、モニタリング、認知度調査、顧客満足度調査で、不満足の声は、クレーム、苦情、事故情報、問い合わせで集めていたため、ある情報収集方法では満足度が極端に高く出て、別の情報収集方法では満足度が極端に低下。

「顧客は満足しているともいえるし不満を持っているともいえる」といえ、どちらを信じるかは担当者や管理職次第となってしまい、適切な情報収集方法とはいえない状態でした。

1つの情報収集方法で満足と不満の両方を集められるようにした

この課題を解決するには、満足の声も不満足の声も、1つの情報収集方法で入手できるようにしなければなりません。

そこで情報通信システム本部は、サービス担当者が顧客のところに行き、電気機器の修理をしたときに顧客にアンケート用紙を渡し、アンケートの回答用紙を情報通信システム本部に送ってもらうようにしました。

サービス担当者にアンケートの回答用紙を渡さないことで、顧客はよいことも悪いことも遠慮なく書けるわけです。

この効果はてきめんで、あるサービス担当者は、言葉遣いとマナーはよいが、顧客への説明が不十分で、遅刻することや修理時間が長いという欠点があることが、また、サービス体制全体では、作業の安全性は顧客から高く評価されていたものの、マナーや説明に問題があることがわかりました。

満足の声と不満足の声を、1つの情報収集方法から同時に入手できるようになったことで、情報通信システム本部は「フェア」にサービス担当者とサービス体制を評価・指導できるようになったのです。

まとめ~漠然と聞いていては駄目

顧客満足度調査の結果は、いくらでも都合よく解釈することができます。

解釈D:不満の声はあるが満足の声もある

解釈E:満足の声はあるが不満の声もある

この2つは、同じ調査結果から導き出した解釈ですが、内容は真逆です。

解釈Dは言い訳に聞こえますが、解釈Eは不満足の声を重く受け止めて改善に取り組もうという意志がうかがえます。

都合よく解釈できてしまっては、コストと時間と手間をかけて顧客満足度調査を行う意味はありません。

そこでISO9001の考え方が重要になります。監視を強化してルールを厳格に定めることで、顧客満足度調査の結果を客観的に分析するようにしましょう。

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<参考>

ISO 9001(品質)

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ISO 9000規格とは