バリマックス回転とプロマックス回転

因子分析と軸の回転から【バリマックス回転】と【プロマックス回転】を理解する

アンケート結果などを分析する方法の1つである、バリマックス回転とプロマックス回転。

マーケターがこの手法を会得すると、顧客の深層心理に近づくことができます。

この2つの回転を理解するには、本来は高度な数学の知識が必要となりますが、この記事では極力専門用語を使わずに解説していきます。

因子分析とは

バリマックス回転もプロマックス回転も、軸の回転の一種です。

そして軸の回転は、因子分析の一種です。

●因子分析>軸の回転>バリマックス回転・プロマックス回転

ここでは、まず、因子分析から解説していきます。

優しさは正確に測れないが、疑似的に測定することはできる

因子分析が必要になるシーンを、優しさを使って解説します。

優しさとは、人を思いやる心であり、人に快適さを提供することであり、そして、社会人に必要なスキルでもあります。

優しさのような抽象的な概念は、優劣をつけるのが難しいという性質があります。しかし、優劣をつけられないかというとそうではなく、明らかに優しい人と、明らかに優しくない人はいます。

ただ、そこそこ優しい人とまあまあ優しい人の違いは区別しづらいもの。

このとき、優しさが現れる「現実の現象」を手がかりにすれば、測定することが可能となります。

例えば、優しい人はにこやかである、という現実の現象があれば、笑顔の強さを評価して数値化することで優しさの強さを推定できます。しかし、悪人もよく笑うので、笑顔だけでは優しさを正確に把握することはできません。

そこで「現実の現象」を増やし、笑顔、声かけ回数、施しの回数、親切の回数などを数値化してその合計点を出せば、この人はそこそこ優しい、この人はまあまあ優しいといった評価ができるようになります。

単純な測定ではつかめない概念のこと(ここでは優しさのこと)を潜在変数といいますが、潜在変数が現実のものになる現象のこと(ここでは笑顔や声かけ回数などのこと)を観測変数といいます。

因子分析では、観測変数を手がかりにして、潜在変数に影響を与えている共通因子を探し、共通因子を特定することで「この共通因子が潜在変数(優しさ)を決めている」と理解することができるのです。

マーケティングにどう活かすのか

因子分析をすると、客の深層心理に近づくことができます。

客の好み(潜在変数)は単純な測定ではつかむことができませんが、1人ひとりは、好みの色や好みの大きさ、購入可能金額といった、独自の観測変数を持っています。

したがって、客が発する観測変数を分析すれば共通因子が特定でき、それによって客の好み(潜在変数)をキャッチできるわけです。

軸の回転とは

軸の回転は、因子分析で得られた結果が理解しづらいとき、座標軸を回転させて理解しやすいようにみせる手法です。

例えば、あるバッグメーカーが、バッグA、バッグB、バッグC、バッグDの4つの異なるバックを販売したとします。4つはいずれも赤と青を使っているものの、大きさが微妙に異なるものだとします。

購入した客にアンケートを行って「気に入った箇所」を尋ねたところ、次のような結果になったとします。

ダイアグラム

自動的に生成された説明

アンケート結果をこのようなグラフにすることで、例えばバッグAは、赤い色と小さいことが客に評価されたことがわかります。

また、このグラフからはそのほかにも、

  • AとBは小さいことが評価された
  • CとDは大きいことが評価された

ことが分かります。

しかし、

  • 4つのバッグはすべて赤と青を配色したが、赤と青の評価がわからない
  • AとBの顕著な違いがわからない
  • CとDの顕著な違いがわからない

ということもあげられます。

そこで、評価軸を少し回転してみます。

以下のグラフは、A、B、C、Dの位置は動かさず、軸全体を左に45度回したものです。

ダイアグラム, 図形

自動的に生成された説明

軸に注目すると「違いとして」次のことがわかります。

  • Aは赤の配色が高く評価された
  • Dは青の配色が高く評価された
  • AとBの比較では、Aの小ささとBの大きさが評価された
  • CとDの比較では、Cの赤とDの青が評価された

この内容は、元のグラフ(軸を回転する前のグラフ)でもよくよく観察すれば読み取れるのですが、軸を回転すると瞬時に理解することができます。

注意:無理に軸を回転させる必要はない

軸の回転では、総体的な違いはわかるが、絶対的な違いはわからないという点に注意しなければなりません。

もう一度2つのグラフを比べてみます。

ダイアグラム

自動的に生成された説明
ダイアグラム, 図形

自動的に生成された説明

元のグラフ(最初のグラフ)では、「どのバッグも青の配色は評価されていない」ことがわかります。これが絶対的な評価です。

しかし、軸を回転すると、「Dは青が評価された」となります。これは相対的な評価であり、「A、B、Cと比べてみると、確かにDは青が評価されている」ということ。

軸の回転の説明を聞くと「軸を回して大丈夫なのか」と感じる人もいるかもしれませんが、その感覚は正しく、軸は原則回さないほうがよいもの。

つまり、元の軸の位置で変数や因子の性質がわかれば、無理に軸を回す必要はありません。

軸の回転を実行するのは、複数の変数や因子の性質が似通っていて、元の軸の位置では理解しにくいときに限定したほうがよいでしょう。

バリマックス回転とプロマックス回転の違い

先述した通り、バリマックス回転とプロマックス回転は、軸の回転を使った因子分析の一種です。

バリマックス回転は数学的には「因子負荷量の二乗を因子内分散の和を最大にするように、直行行列を用いて回転すること」と定義されますが、バリマックス回転とプロマックス回転の違いは何なのか、それぞれの特徴と併せて解説していきます。

バリマックス回転:2本の軸を90度で交差させたまま回転する

バリマックス回転についてはここまでの間に解説しましたが、再度振り返っていきます。

先ほど紹介した元の軸は、2本の軸が90度で交わっていましたが、バリマックス回転は、2本の軸を90度交差で固定したまま回転させたもの。

<バリマックス回転は90度交差のまま回転している>

ダイアグラム

自動的に生成された説明ダイアグラム, 図形

自動的に生成された説明

これがバリマックス回転の特徴です。

プロマックス回転:2本の軸が交わる角度が変わる

プロマックス回転では、2本の軸の回転角度を変えます。

バリマックス回転は、複数の変数や因子の違いが微妙で、通常のグラフではその差を確認しづらいときに実行するものですが、変数や因子の違いがさらに不鮮明だと、バリマックス回転をしても変数や因子の違いがみえません。

そのとき、1本目の軸を大きく回転させ、2本目の軸を小さく回転する、つまり、2本の軸の回転角度を変えると、みえやすくなることがあります。

例えば、バッグE、F、G、Hのよい点についてアンケート調査をしたところ、次のような結果になったとします。

ダイアグラム

中程度の精度で自動的に生成された説明

この状態では、E、F、G、Hすべてが「大きくて赤いことが評価された」という評価でくくられてしまい、それぞれの細かい特徴がわかりません。

また、これをバリマックス回転しても、違いをうまく表現できません。

そこでプロマックス回転をさせるとこのようになります。

ダイアグラム

自動的に生成された説明

赤青軸は右に少し回転させ、大小軸は左に少し回転させました。つまり、2本の軸の回転角度は異なりますが、このように回転させることで次のことがわかるようになります。

  • EとFはどちらも赤の配色が評判だったが、Eは小さいことが、Fは大きいことが評価された
  • 「GとH」は「EとF」よりは、青い配色が評価された
  • GとHはどちらも青の配色が評判だったが、Gはより大きいことが評価された。ただHが小ささで評価されたわけではない

バリマックス回転でみえにくかった差が、プロマックス回転で鮮明になったといえるでしょう。

まとめ~「とにかく違いを知りたい」ときに便利

バリマックス回転もプロマックス回転も「とにかく違いを知りたい」というときに役に立ちます。

マーケターの最大関心事である顧客や消費者の心理は、ときに酷似しているものですが、顧客1人ひとりの性質は異なるもの。

バリマックス回転やプロマックス回転なら、軸を少し動かすだけで、違いがみえてきます。

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<参考>

プロマックス回転とバリマックス回転の違い