判別分析

判別分析|「どの来店者がこの商品を買うか」の予測が可能

営業ではときに、ローラー作戦を展開することがあります。ローラー作戦とは、「とにかくこの地域のすべての企業を回る」や「1人1日100件の電話をかける」といった方法のこと。

マーケティングなら「全員プレゼント」や「全国キャンペーン」などが、ローラー作戦に近いといえるでしょう。

精神論や根性論がまかり通った数十年前ならいざ知らず、効率化や生産性が求められる現在は、そのような無暗やたらな営業やマーケティングは是とされません。

しかし、積極的な営業やボリュームのあるマーケティング・キャンペーンは維持したいところです。

そのようなときに有効なのが、統計上のデータ解析手法の1つである、判別分析です。

判別分析を行えば、どの来店者が商品を買うか、といったことがみえてきます。

営業担当者やマーケターが判別分析を実施すれば、無駄な動き減らし、「顧客に刺さる」確率を高められるでしょう。

判別分析を営業やマーケティングでどのように応用するか

判別分析は複雑な数学を使って解を導き出しますが、実際に現場で使うときはコンピュータソフトを使うので、営業担当者やマーケターが数学を覚える必要はないでしょう。

この記事では、極力数学を使わずに、判別分析を解説していきます。

判別分析を具体的にどのように営業やマーケティングに応用していったらよいのかも、あわせて紹介するので、確認してください。

シミュレーション:来店者に効率よく声をかける方法を探る

高級品を扱う店で、来店した人にアンケートを行って収入と年齢を尋ねたところ、商品を買った人と買わなかった人の傾向が次のようになりました。

ダイアグラム

自動的に生成された説明

青丸が商品を買った来店者で、緑丸が商品を買わなかった来店者ですが、このグラフから、この店は高額で大人向けの商品が多いため、収入が高くて年齢が高い来店者ほど商品を買いやすく、収入が低く若い来店者ほど買わない、ということがわかります。

しかし高額商品を扱っている店にとっては、収入が高いほど年齢が高いほど、よい見込み客であることは当然のこと。そのため、店長が、店員や営業担当者に「収入と年齢が高そうな人に声をかけよう」と指示しても、「すでにやっています」と返ってくるだけでしょう。経営者がマーケターに、「収入と年齢が高そうな人をターゲットにした広告を打ち出そう」と指示しても、答えは同じです。

つまり、上記のグラフで得られた「収入が高く年齢が高い来店者ほど商品を買いやすく、収入が低く若い来店者ほど買わなくなる」という知見は、営業的にもマーケティング的にも意味がありません。

買うエリアと買わないエリアが明確になる

では、上記のグラフをつくったデータが無意味なのかというとそうではありません。

なぜなら上記のグラフから、次の情報を得ることができるからです。

図形

自動的に生成された説明

右下がりの赤線が、来店者アンケートから導き出した重要情報で、赤線の上が買う可能性が高い見込み客のエリア、赤線の下が買わない可能性が高い見込み客のエリアです。

この赤線が重要な意味を持つのは、数値化できるからです。

赤線は数式にできるので、次に新しい来店者のデータを入手できたとき、その来店者が買うエリアに入るのか、買わないエリアに入るのかが明確にわかります。

次の客が買うエリアに入っていれば声をかける

新たに2人の来店者が現れ、その収入と年齢がオレンジ丸と黄色丸のようになったとします。

バブル チャート が含まれている画像

自動的に生成された説明

オレンジ丸の来店者と黄色丸の来店者は、収入も年齢も近いのですが、オレンジ丸は買うエリアに入っていて、黄色丸は買わないエリアに入っています。

したがって「もし事前に何らかの方法で来店者の収入と年齢がわかれば」、この店の店員はオレンジ丸の来店者に声をかけるべきであり、さらに、黄色丸の来店者に声をかけなくてもよい、と判断できます。

ここまでの分析で、この店の店長は、次のような戦略を打ち出すことができます。

<この店の接客戦略>

●事前に何らかの方法で来店者の収入と年齢を把握して、店員たちに重点的に接客する客とそうではない客を知らせる

正確な収入や年齢を知るには聞き取りをするしかありませんが、ここでは店員がアプローチするか否かを決めるだけなので、それほど正確なデータは要りません。

店の責任者が、来店者のファッションや持ち物などから収入と年齢を推量し、それを店員に伝えればよいのでしょう。

それをするだけで接客業務を効率化でき、接客効果が高まることが期待できます。

マーケティングへの応用:買わない客を買うエリアに引き上げるキャンペーンを打つ

接客を効率化して、確実に買ってもらえる接客を実現するためには、買わないエリアにいる客に見切りをつける必要があります。これは営業的な考え方ですが、判別分析をマーケティングに使うと、別の戦略を描くことができます。

もう一度、黄色丸の客をみてください。

ダイアグラム

自動的に生成された説明

先ほどは、黄色丸の来店者は買わないエリアに入っているので接客をしないことにしましたが、黄色丸は赤線上にあるので、買わない客のなかでは、最も買う可能性が高い客と考えることができます。

ここまでの知見が得られれば、マーケティング・キャンペーンのターゲットを、赤線の真下の来店者に絞ることができます。

これが、新たなマーケティング戦略の基礎になります。

分類されていないデータがどのグループに属すのかを予測する

判別分析の具体例を理解できれば、この解析手法の正体を把握することは容易になります。

判別分析は

データのグループが複数あるとき、それぞれのグループの基準を解析することで、新しいデータがどのグループに属すのか予測できるようになる。この方法を使った分析を、判別分析という。

と定義することができますが、先ほどのシミュレーションをこの定義で説明すると、このようになります。

●買った来店者と買わなかった来店者をグループにわけて、それぞれのグループの収入と年齢の基準を解析すれば、新しい来店者(オレンジ丸と黄色丸)がどちらのグループに属すのか予測できる

ダイアグラム

自動的に生成された説明
バブル チャート が含まれている画像

自動的に生成された説明

判別分析をするには、買ったグループと買わなかったグループの収入と年齢を調べることから始めます。

その結果「買う・買わない」と「収入・年齢」の間に相関関係があることがわかり、そこから、新しい来店者の「買う・買わない」が予測できるわけです。

まとめ~実はAIにも使われている

判別分析の考え方はAI(人工知能)でも使われています。

すべての来店者の属性データをAIに読み込ませると、AIは買ったグループと買わなかったグループの基準をみつけます。するとそのAIは、新しい来店者が、買うのか買わないのかを予測できるようになります。

このように判別分析の考え方は、営業担当者もマーケターも切望する未来予測を可能にするでしょう。

無料お役立ち資料フォーム


<参考>

判別分析