コンジョイント分析 アンケート

コンジョイント分析|「この機能ならこの値段にできる」

「これだけ高い機能を持つ製品だから、ライバル製品より高い値段で売りたい」と思うメーカーのマーケターは少なくないでしょう。

開発チームと製造部門がよい製品をつくってくれたら、マーケターたちはしっかりマーケティングをして、適正価格で売っていかなければなりません。

しかし日本市場は依然としてデフレマインドが消えないため、マーケターは「ちょっとくらい機能が上がったからといって値上げするのは恐い」と思ってしまいます。

そこで試していただきたいのが、コンジョイント分析です。これを使えば「この機能でこのデザインならこの値段にできる」と判断できます。

マーケターの悩み:なぜコンジョイント分析が必要になるのか

マーケターが商品・サービスの適正な値段を決める際に役立つコンジョイント分析。

いったいどのようなときに、コンジョイント分析が有効になるのか、見ていきましょう。

余計な機能やデザインがコストを押し上げて消費者に逃げられる

技術が進化すると、消費者は製品に搭載されているすべての機能を使いこなすことができません。

例えば、スマートホンを例に挙げると、電話、LINE、動画撮影、動画視聴、決済、メールがあれば十分、という人は少なくないはずです。しかし、ITの進化の「せい」で、スマホにはそれ以外にも使わない機能がぎっしり詰まっていて、その結果、スマホは高額商品になっています。

「せい」というのは、必要かどうかわからなくても、できることをとりあえずやってしまう企業の姿勢のため。

他社が持っていない技術を自社製品に搭載すれば差別化できてしまうことから、開発者もマーケターも、必要かどうかわからなくても、新しくて画期的な技術を歓迎します。

しかし、多くの消費者は、必要ではない機能が搭載していることで価格が上がることを歓迎していません。

これは機能に限った話ではなく、デザイン面でも同じことがいえます。

客が格好いいデザインに目を引かれて商品を手に取ったものの、値札をみてあまりの高さに驚いて棚に戻すことは、よく起きます。

こうした行動を取るのは「よいデザインの製品を所有したいが、高いお金を支払ってまで買いたいとは思わない」という心理が働くからです。

企業は、新しい機能や格好いいデザインで付加価値をつけ、価格を上げて、利益率を高めようとします。

しかし消費者は、新機能や優良デザインを好みつつも、価格を厳格に吟味します。

企業と消費者にはこのようなギャップがあるので、マーケターが両者の間に立って折り合いをつけなければなりません。

その折り合いをつける方法が、コンジョイント分析です。

コンジョイント分析のやり方

コンジョイント分析は、アンケートの一種と考えてよいでしょう。

普通のアンケートと異なるのは回答者への質問の仕方です。コンジョイント分析は次のように進めます。

  • 回答者に、ある製品のさまざまなバージョンを示す
  • 回答者に、さまざまなバージョンの製品に優先順位をつけてもらう

さまざまなバージョンの製品を用意する

ケースを想定して解説していきます。

マーケターが次の製品を用意したとしましょう。

  • 製品A:機能1が搭載されていて、デザインは普通
  • 製品B:機能1と機能2が搭載されていて、デザインは普通
  • 製品C:機能1と機能2と機能3が搭載されていて、デザインは普通
  • 製品D:機能1が搭載されていて、凝ったデザインになっている
  • 製品E:機能1と機能2が搭載されていて、凝ったデザインになっている
  • 製品F:機能1と機能2と機能3が搭載されていて、凝ったデザインになっている

3種類の機能と2種類のデザインの6とおり。

製品Aは機能が最小でデザイン性も低いので、最も魅力が薄い製品である一方、製品Fはフルスペックのうえにデザイン性も優れています。

コストや価値に応じて想定価格をつける

マーケターは次に、製品A~Fに想定価格をつけていきます。

コストや価値を考えて値づけしなければならないので、Aが最も安くなり、Fが最高値になります。

ここでは次のように設定したとします。

  • 製品A(機能1つ、デザイン✕):10,000円
  • 製品B(機能2つ、デザイン✕):11,000円(Aより1,000円アップ)
  • 製品C(機能3つ、デザイン✕):12,000円(Bより1,000円アップ)
  • 製品D(機能1つ、デザイン○):12,000円(Cと同額)
  • 製品E(機能2つ、デザイン○):14,000円(C、Dより2,000円アップ)
  • 製品F(機能3つ、デザイン○):17,000円(Eより3,000円アップ、Cより5,000円アップ)

AとB、BとCの価格差はそれぞれ1,000円であり、このマーケターは、機能の正味の価値を1,000円と見積もっていることがわかります。

また、このマーケターは、機能が3つついているCと、機能が1つしかないDを同額にしていることから、デザイン性を重視していることがわかります。

回答者に優先順位をつけてもらう:葛藤とどう向き合うか

マーケターは回答者にすべての製品を提示し、「自分の優先順位」をつけてもらいます。

「機能とデザイン性を追求すると、支出が増える」という葛藤と回答者の製品に対する価値観によって、優先順位は変わってきます。

では、回答者によって製品A~Fの優先順位はまったくのバラバラになるのかというとそうではありません。

高度な作業に使う製品に対しては、機能に高いお金を支払っても、デザインにはお金を支払いたくないと思うでしょう。

使い捨て製品に対しては、最低限の機能を求めるだけで、高度な機能にもデザインにも重きを置きません。

そして、所有していることにステータスを感じることができる製品に対しては、消費者は、機能にもデザインにも喜んで高いお金を支払うでしょう。

優先順位から何がわかるのか

では、複数の回答者の平均を取ったところ、製品A~Fの優先順位が次のようになったら、何がわかるでしょうか。

1位、製品E(機能2つ、デザイン○):14,000円

2位、製品F(機能3つ、デザイン○):17,000円

3位、製品C(機能3つ、デザイン✕):12,000円

4位、製品D(機能1つ、デザイン○):12,000円

5位、製品B(機能2つ、デザイン✕):11,000円

6位、製品A(機能1つ、デザイン✕):10,000円

1位のEが「機能2つ」で、2位のFと3位のCが「機能3つ」であることから、この製品の顧客は高い機能にはお金を払ってくれるだろうと推測できます。

また、上位4つのうち「デザイン○」が3つを占めているので、デザイン性に価値を見出す顧客が多いことがわかります。

そして、「機能3つ、デザイン○」のFが2位で、「機能1つ、デザイン✕」のAが最下位であることから、開発チームとデザイナーは、遠慮なく最良のものをつくってよいことがわかります。

ただ、14,000円のEが1位で17,000円のFが2位なので、実際の販売価格が15,000円を超えると販売が低迷するかもしれないと考えることができます。

そうなると、機能とデザインに凝るにしても、15,000円で利益が出る製品にしなければなりません。

ここではケースをかなり単純化して解説しましたが、実際のコンジョイント分析は、考慮する要素を増やし、コンピュータのシミュレーターを使って判定していきます。

まとめ~企業の独りよがりを防止できる

よい製品と売れる製品が異なることは、マーケターをいつも悩ませる問題の1つです。

コンジョイント分析は、消費者の価値観を可視化できるので、企業の独りよがりの防止につながるでしょう。

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