進む「若者のテレビ離れ」|マーケティングへの影響は?

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「若者のテレビ離れ」がいわれていますが、企業のマーケターは、若者のテレビ離れを意識したマーケティングを展開しているでしょうか。

「我が社はテレビCMをあまり使わないから、若者のテレビ離れはマーケティングに影響しない」と考えていると、大きな落とし穴にはまってしまうかもしれません。

なぜなら企業のマーケティングにおいて、テレビは単なるCM媒体ではないからです。

テレビの若者への影響力が低下すると、「マーケティングの構成要素」が変わるため、マーケターには、戦略の練り直しが求められています。

若者のテレビ離れの実態とは

まずは、若者のテレビ離れの実態を確認していきましょう。

サイバーエージェントが2018年に公表したデータによると、10代後半~20代では、6人に1人が「1カ月以内にテレビを視聴していない」状態であることが分かりました。

また、「テレビを持っていない人」「1カ月以内にテレビを視聴していない人」「平日1時間未満視聴、かつ休日2時間以下視聴の人」をまとめて「ローテレ系」といいますが、若い人ほどローテレ系が増えています。

2015年10月と2018年2月の比較をしたデータは以下のとおりです。

<2015年10月と2018年2月のローテレ系の比較>

10代後半:5%増

20代:6%増

30代:4%増

40代:2%増

50代:4%増

60代:1%増

 

上のデータから分かるように、すべての年齢層でローテレ系が増えています。

なかでも、10代後半と20代は5%以上とテレビ離れが進んでいることが分かります。

専門家は、テレビから離れた若者は、ネットに向かったとみていますが、そのような現象は、若者自身はもちろんのこと、若者をみている中高年も十分承知しているでしょう。

テレビ離れによるマーケティングの影響を考えたとき、「ネットが、テレビから若者を奪った」と考えるだけでは単純すぎます。

また、「ネットのほうがテレビより楽しいから」といった分析も、十分ではありません。

なぜ若者は「見るもの」を変えたのか、という視点で若者たちの視聴を分析していきましょう。

なぜ若者は「見るもの」を変えたのか?

なぜ若者は「見るもの」をテレビからネットに変えたのでしょうか。

それは、テレビ番組をネットコンテンツに置き換えることができたからです。

また、テレビが長年解決できなかった課題を、ネットが簡単にクリアしたからでもあります。

若者の○○離れ テレビ

まず、テレビのエンタメ番組やお笑い番組、音楽番組は、ユーチューブに置き換えることができます。

テレビ番組をそのまま録画してユーチューブで流す、著作権を無視した投稿を除外しても、ユーチューブのエンタメ性、お笑い性、音楽性はとても高くなっています。

それは、メジャーデビューできないだけで実力は「ほぼプロの人たち」が、ユーチューブで自分の番組を持ち始めたり、テレビでの人気が落ちてきたエンターティナーたちが、ユーチューブに引っ越してきたからです。

また、テレビの情報番組や教養番組が提供する情報は、ネットのまとめ記事で十分吸収できるようになりました。

情報の質では、テレビの情報番組や教養番組のほうが「まだ上」ですが、若者たちはそこまで高品質な情報を必要としていません。

しかも、ネットのまとめ記事は、ジャンル、分野、種類、項目が豊富で、関心を持っている人がほとんどいないような情報も、丁寧に解説しています。

そして、テレビの長年の課題であった視聴者や消費者との双方向のコミュニケーションは、解決できないままネットに追い越されてしまいました。

フェイスブックやツイッターやインスタグラムにより、企業や情報発信者たちは簡単に視聴者や消費者とつながることができ、テレビ局がツイッターで情報発信するという「本末転倒」現象が起きています。

また、テレビとネットとを比べると、ネットの情報更新スピードは、テレビの情報更新スピードに比べると、段違いに速いため、ネットで情報を集めた方が効果的に知識を増やすことが可能となっています。

視聴の変化によるマーケティングへの影響とは

若者たちのテレビ離れは「起こるべくして起こった」現象といえますが、テレビは相当な底力があるので、テレビが消えてなくなることはないでしょう。

ただし、マーケターは、若者たちの視聴の変化がマーケティングにどのように影響するのかを考えていかなければなりません。

なぜなら、視聴スタイルと購買スタイルは、互いに影響し合うからです。

情報収集スタイルの変化がもたらす影響とは

視聴スタイルと購買スタイルが、互いに影響し合う例の1つが、ネット通販です。

ネット通販は、消費者を長時間、ネットに釘付けにします。

もし、ネット通販サイトの滞在時間はそれほど長くないにしても、さまざまな調べ物をネット内で行ないます。

また、買い物の意図なくネットを視聴していて、物欲をくすぐるものが登場したためにネット通販サイトに移動する、ということも起きています。

実は、この手法は、テレビでは「使い古された」ものです

多くの人に知られるテレビショッピングですが、ネットコンテンツとネット通販の融合は、テレビ番組とテレビショッピングの関係とほぼ同じです。

しかし、若者は、ネットコンテンツの魅力が高いと感じているため、ネット通販を後押しする結果になっているのです。

最近のテレビショッピングが、アンチエイジング商品や健康食品など、中高年齢向けのものばかり扱うのは、若者が顧客になりづらいからという要因もあるでしょう。

若者の情報収集スタイルの変化は、マーケティングに大きく影響しているといえます。

情報源の変化がもたらす影響とは

若者の情報源がテレビからネットに変わったことで、企業のマーケターたちは、ネット・マーケティングをますます強化しなければならなりません。

ネットとテレビのネガティブな面を考察してみましょう。

ネットにはステマ広告という弊害が、そして、テレビにはやらせという弊害があります。

それでも若者たちは、ネットの弊害を意外と気にしていません。

それは、ネットのヘビーユーザーたちは「ネットには優良情報と有害情報が混ざっている」ことを前提としてネットを使っているからです。

ネットユーザーは、洪水のようにあふれている情報群の中から自分が求める情報を探すことを続けていくうちに「情報訓練」を受け、「嘘っぽい」サイトと「重要情報が含まれていそうな」サイトを、ほぼ一瞬で見分けることができるようになっています。

ネット・マーケティングに力を入れている企業は、ネットユーザーの厳しい目を前提に、「ネットコンテンツの充実」に力を入れています。

したがって、まだネット・マーケティングに力を入れていない企業のマーケターは、かなり力を入れて新しい道を進む必要があるでしょう。

大量の「情報通」の誕生がもたらす影響とは

テレビは、「情報通」を生み出しましたが、ネットは、さらに多くの消費者や視聴者を「情報通」にしました。

なぜなら、ネットには、スマホという強力な情報入手ツールがあるからです。

10年ほど前、テレビで「蘊蓄(うんちく)」を言う人がもてはやされましたが、最近ではほとんどみかけません。

蘊蓄情報はスマホのなかにいくらでも入っているからです。

どれほどレアなキーワードでも、スマホでウィキペディアを立ち上げれば1分で基本情報を入手することができます。

テレビで仕入れた蘊蓄情報は、一瞬で陳腐化してしまい、蘊蓄として自慢することができないのです。

マーケターは、マーケティング対象の消費者が情報通になっていることを念頭に、情報提供をしなければなりません。

まとめ~テレビとネットをうまく使いこなそう

ネットの情報機能がどれだけ発展してもテレビは消えないだろう、と説明しましたが、テレビの影響力が低下していることも考慮しなければなりません。

マーケターには、テレビとネットの両方をうまく使いこなす手腕が求められています。


<参考>