クリスマス、バレンタインデー、プロポーズ、プレゼント、ブライダル…。
これらはいずれも、恋愛に関わる大きなビジネスチャンスです。
つまり、恋愛が盛んになることは、どの企業にとってもプラスに働くはずなのです。
ところが、多くのマーケターたちは、若者の恋愛離れに困惑しています。
若者に恋愛を促すマーケティングはないのでしょうか。
マーケティングに不可能はない?
マーケティングとは、人の心に働きかけて消費行動を変える経済活動といえます。
そして恋愛は、100%人の心でできています。
そうすると、理屈の上では、若者に恋愛を促すのはマーケティングしかない、ともいえます。
マーケティングはこれまでも、不可能と思えることを実現してきました。
例えば、高齢者と山登りは、どう考えてもマッチしないものですが、現在、著名な山は高齢者たちであふれかえっています。
それは、マーケティングによって「体力と技術がなんとかなれば山に行きたい」という高齢者たちの願いをかなえることができたからです。
登山マーケティングでは、まず、健康増進キャンペーンや自然回帰キャンペーンを実施することにより高齢者の体力とモチベーションを上げました。
そして、登山道具を進化させることで、技術の問題を次々とクリアしたのです。
恋愛マーケティングも同じです。
恋愛マーケティングではまず、「恋愛離れの原因」を探りましょう。
そのうえで、恋愛したくなる環境をつくるといいでしょう。
恋愛マーケティングの基本方針とは
恋愛マーケティングの基本方針は次のとおりです。
まず、目標に「恋愛を増やして消費を活性化させる」ことを設定。
そして、恋愛離れの原因を排除するように努めます。
つまり、プラスを増やすマーケティングではなく、マイナスを減らすマーケティングを仕掛けるのです。
恋愛の障害を排除すれば、自然と恋愛が活性化するでしょう。
若者の恋愛離れの原因は
日本の若者の恋愛離れの原因を探っていきましょう。
先進国の宿命?
日本の合計特殊出生率(以下、出生率)は2018年に1.42となり、前年より0.01ポイント下がりました。
出生率とは、1人の女性が生涯に産む子供の数ですが、戦後直後の昭和20年代(1950年前後)には4を記録したこともあることを考えると、大幅に低下していることが分かります。
アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリアも、出生率は1960年代ごろまでは2.0台を記録していましたが、現在は「かなり高め」といわれているフランスでも1.92(2016年)であり、アメリカ1.82、イギリス1.79、ドイツ1.59、イタリア1.34(いずれも2016年)となっています。
専門家は、先進国で出生率が減る理由について、
1)養育コストの増大
2)結婚や出産に対する価値観の変化
3)避妊の普及
を挙げています。
子供を欲しがらない人が増えると、結婚する意義が薄れ、結婚を必要としないのであれば恋愛モチベーションは下がります。
「恋愛は要らない」状況
若者が恋愛から遠ざかる要因のうち、日本特有のものとして
- 1人でも寂しくない
- 仕事が忙しい
- 楽しみやレジャーの選択肢が増えた
- 面倒なことをしたがらない風潮
- お金がかかる
- 恋愛相手に求めるハードルが高い
- SNSでのコミュニケーションで十分
などがあります。
結婚や子どもをもつというゴールがなければ、恋愛活動は特別な存在ではなくなります。
恋愛に興味を失った若者にとって、恋愛は、SNSや飲み会やゲームなどと同列になるのです。
マーケターが注意しなければならないのは、「恋愛の敬遠=人嫌い」ではないということです。
若者は、同姓・異性、リアル・バーチャルに関わらず他人との接触を求めていて、わざわざ恋愛という形を取らずにコミュニケーションをとることを楽しんでいるのです。
当の若者たちにとっては、「恋愛離れ」という現象は「コミュニケーション形態の変化」に過ぎないといえるでしょう。
恋愛マーケティングの構築方法とは
企業のマーケターたちは、恋愛マーケティングを仕掛けることで恋愛や結婚、出産などを促さなければなりません。
では、恋愛マーケティングはどのように構築していったらよいのでしょうか。
その方法の1つとして挙げられるのが、結婚や子育てに対するよいイメージをつくることです。
結婚することが当たり前とされていた頃、「結婚は地獄」「結婚は墓場」などという男性もいましたが、この言葉を発する人の大部分は、本気で言っているわけではなく、妻を愛し、子供の成長を楽しみにしていました。
照れ隠しのために、地獄や墓場などと言っていたわけです。
しかし、地獄と墓場という強烈な言葉を真に受けた、平成の若者は少なくありませんでした。
そのような若者は「手間もコストもかかる結婚が地獄なら、回避したほうがよい」と考えたのです。
そこで、令和の恋愛マーケティングでは、消費者に「家族っていいな」「結婚したいな」と思わせるようにするとよいでしょう。
合理的な考え方を好む若者に「恋愛しましょう」とただ呼び掛けても応じるはずがないので、自分の手で家族を築き上げることの素晴らしさや結婚生活の楽しさ、パートナーがいることの「人生効率のよさ」などをアピールしましょう。
その際に、自社製品を絡めていけばよいわけです。
参考になるのが自動車業界です。
自動車メーカーは、テレビCMで家族のシーンや恋人どうしのシーンを多用しています。
排気量の大きさや馬力、スピードや悪路の走破性能は、特殊な車以外PRしていません。
これは、自動車メーカーのマーケターたちが、恋愛を含むエモーショナルな部分に注目している証拠です。
ただし、恋愛マーケティングを実施するには、企業が「恋愛体質」に変わることも必要となります。
恋愛応援企業になる
残業が置置ければ仕事漬けになり、デートや結婚が面倒になります。
したがって、恋愛を促進させる恋愛マーケティングを展開している企業で残業が常態化していては説得力がありません。
恋愛マーケティングを成功させるには、まずは企業が自社社員に自由な時間を与える必要があるでしょう。
また、恋愛にはお金がかかるので、賃金アップも必要です。
子育て支援も、福利厚生のなかで充実させるといいでしょう。
恋愛マーケティングによって恋愛ビジネスを構築するのであれば、企業戦略にも、恋愛へのリスペクトを盛り込む必要があります。
例えば、ブライダル関係の企業スタッフが未婚者だけでなく既婚者もいることで、顧客により「最高の結婚生活」をおすすめすることができるようになるでしょう。
まとめ~社会貢献に直結する恋愛マーケティング
恋愛マーケティングは、社会貢献に直結する仕事でもあります。
なぜなら「恋愛→結婚→出産→出生率の向上→国民の幸せが増える」という好循環が生まれるかもしれないからです。
恋愛ビジネスが盛り上がれば、企業利益も上がります。
政府も少子化問題や人口減少問題を重視しているので、企業の恋愛マーケティングは、総務省や厚生労働省などとのコラボ企画を検討してみてはいかがでしょうか。
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<参考>
- 世界各国の出生率(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/data/sekai-shusshou.html - 出生数は過去最少91万8,397人、出生率1.42に低下…厚労省(ReseMom)
https://resemom.jp/article/2019/06/10/50927.html - 18年の出生数91.8万人、最低を更新 出生率は1.42(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45809520X00C19A6MM8000/