デジタルトランスフォーメーション(DX)と似た言葉に、デジタライゼーションがあります。両者を同じような意味で使う人もいますし、DXをデジタライゼーションの進化版ととらえる人もいます。
この記事では「デジタライゼーションあってのDX」として、両者を解説します。まだ業務のデジタル化が進んでいないと感じている企業の経営者は、まずはデジタライゼーションに取り組み、そのうえでDXを目指していくと良いでしょう。
DXとデジタライゼーション。
その違いとは
DXとデジタライゼーションの定義はさまざまありますが、NTTコミュニケーションズはそれぞれを次のように定義しています。
<デジタライゼーションの特徴>
・デジタライゼーションとはデジタル化である
・デジタライゼーションでは、デジタル技術を用いて製品やサービスの付加価値を高める
・アナログ処理をデジタル化することで、従来になかった利便性が生み出される
・デジタライゼーションを進めて業務にデジタル技術を採り入れると、効率化を図れる
<DXの特徴>
・DXはデジタル技術でビジネスモデルを変革する取り組みである
・DXとは、クラウド、ビッグデータ、アナリティクス、ソーシャル技術、モビリティ技術を利用して、新たな製品、サービス、ビジネスモデルを創出して、競争上の優位性を確立するDXでは、新たな製品や新しいサービス、新しいビジネスモデルをつくったりして、企業価値を高めることを目指す際に、従来のやり方ではなく、デジタル手法を使うのが特徴です。
つまり、DX化の取り組みでは、企業は「とことん」デジタル手法を使うことになるので、デジタルに慣れたり、デジタルを採り入れたりしなければなりません。このDX化のための前段作業がデジタライゼーションです。
つまり、デジタライゼーションの本質は「デジタル化」、DXの本質は「変革」いえるでしょう。
DXを進めるために取り組むこと
デジタル化が進んでいない企業が、一足飛びにDXを実現することはできません。まずはデジタライゼーションすることを目指しましょう。
しかし、デジタライゼーションだけを目標にしていると、会社の変革という大きな目的を置き忘れてしまう可能性があります。そのため、デジタライゼーションに着手する段階から「DXで何を変えるのか」を決めておきましょう。
現状把握「自社のデジタル化の遅れを自覚する」
デジタライゼーションもDXも、相当な額の投資が必要になります。
例えば、上場企業と資本金1億円以上の有力企業765社の2020年度のIT投資額は4,718億円。単純計算で1社当たり1年6.2億円(=4,718億円÷765社)の投資になります。
中小企業やスタートアップがDXに取り組む場合、ここまでの資金は必要としないかもしれませんが、DX投資は毎年コンスタントに支出していく必要があります。デジタライゼーションが「当てずっぽう」になってしまっては、DXは成功しません。
そこで、まずは、自社の今の「デジタル度」を把握しましょう。
例えば、「DXに取り組んでいない」と焦っている会社でも、全社員がパソコンを使うことができ、社内に必要なだけのパソコンがあり、ネット環境が整っていれば、まったくのゼロからDXをスタートすることにはなりません。
それに加えて、プロジェクトチームのメンバーがスマホのチャット・アプリでスケジュール管理をしていたり、すでにネット通販(EC)に取り組んでいたりすれば、それもアドバンテージになります。自社が属する業界内で最もデジタライゼーションが進んでいる企業の取り組みを研究すれば、自社の遅れを把握することができ、先進事例研究によって、自社のDXの方向性がみえてくるでしょう。
デジタライゼーションの計画を立てる
自社の現状を把握したら、次にデジタライゼーションの計画を立てていきます。
新しいモバイルを導入したり、新しいアプリを製作したり、新しいシステムを構築するだけがデジタライゼーションではありません。
また、事業部門ごとにシステムが構築されていたら、それらを統合する(インテグレートする)必要があります。もし、システムに過剰なカスタマイズが施され、しかも、そのシステムをつくった者が退職していたら、そのシステムがブラックボックス化しているかもしれません。
それではそのシステムを進化できないので、ブラックボックスを開けるか、最新のシステムに置き換える必要があります。デジタライゼーションの「やることリスト」は山ほどあるので、計画づくりではそれらに優先順位をつけていきましょう。
デジタライゼーションの「やることリスト」の一部は次のとおりです。
・クラウド
・AI
・IoT
・マイクロサービス
・アジャイルアプリケーション
・ブロックチェーン
・ARやVR
・サイバーセキュリティ
・5G
DXで何を変えるのか「方針を立てる」
デジタライゼーションの方向性は、DX方針に沿っていなければなりません。
企業がつくるDX方針は、現在の経営課題を解決できる変革、もしくは、イノベーションを生み出せる組織にするためのDX化が求められます。
このような大きな目標は、今持っている危機感から導きだすことができます。
DX化に成功した新規参入者が参戦してくるかもしれない、既存のビジネス・ルールが激変するかもしれない、生産性が低いかもしれない、マーケティングのオートメーション化が進んでいないかもしれない、など、様々な課題があるでしょう。
その課題を、デジタル・ツールを使って解決できたとき、自社はどのようになっているか、DX化できたときの自社の姿を盛り込むことが大切です。
自社のプロジェクトチームで方針の決定を
現代のデジタル・ツールは複雑に、そして、高度化しています。そのため、デジタライゼーションとDX化を進めることは大変なこと。デジタライゼーション化もDX化も、業務内容をガラリと変えるので、「押しつけ」では一部社員が反発するかもしれません。
そこで、現状把握やデジタライゼーション計画づくりやDX方針の策定は、経営者をトップにした社内プロジェクトチームで進めたほうがよいでしょう。
まとめ
デジタライゼーションもDXも最近出てきた言葉ですが、IT化やネット化の波に抵抗なく乗った企業は、今、スムーズにデジタライゼーション化とDX化に取り組んでいます。DX化に注目が集まる今、自社の現状を把握し、計画を立ててデジタライゼーション化とDX化に取り組んでいくと良いでしょう。
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