無記名アンケート 個人特定

無記名アンケートの回答者を特定できる3つの方法

実施したアンケートの回答用紙に鋭い意見や痛烈な批判がつづられていたりした場合、その回答者にもっと詳しく話を聞きたくなることも少なくありません。

しかし、アンケートを記名式にしてしまうと、回答者が回答を躊躇したり、アンケートを実施している企業に忖度した回答をするなど、本音を聞きだすことが難しいもの。

そこで注目されているのが、無記名アンケートを実施しながら、回答者を特定できる特殊なアンケート手法です。

この記事では、クローズド・アンケート、シングルサインオン・アンケート、パラメータ・アンケートの3つのアンケート技術を紹介します。

この3つの方法は回答者の本音を知るためにとても便利な方法ですが、アンケートの回答者は「無記名だから回答したのに、個人を特定するのはフェアではない」と感じるもの。したがって、その点には十分配慮する必要があります。

また、アンケートを行うときの個人情報保護法上の注意点も解説します。

クローズド・アンケート

クローズドアンケートとは、特定の属性の対象者に対して実施するアンケートのこと。

たとえば、企業が保有する顧客リストに記載されている顧客に対してクローズド・アンケートを実施することで、無記名アンケートでも回答者を特定することができます。

クローズド・アンケートの仕組みはとてもシンプルです。

顧客のメールアドレスに、アンケートを送信。顧客には「無記名でよい」と伝えます。

顧客がアンケートの回答を返信してきたら、メールアドレスから回答者を特定できる、というわけです。

システムの導入が必要

クローズド・アンケートは仕組みはシンプルですが、マーケターが自身の手で顧客1人ひとりにアンケート・メールを送信していたら手間がかかってしまうので、顧客リスト内のメールアドレス・データと自動メール配信システムを連携させる必要があります。

また、定期的にクローズド・アンケートを実施するなら、自動でアンケートをつくることができるシステムを導入したほうがよいでしょう。

その種のシステムは、アンケート結果を自動集計する機能も備えているので、アンケート業務全体を省力化することができます。

シングルサインオン・アンケート

シングルサインオンとは、IDとパスワードの1セットだけで、複数のWebサービスを利用できるようにする仕組みのこと。自動車が1つのカギで、ドアを開閉したり、エンジンをかけたり、トランクを開閉したりできるのと同じと考えるといいでしょう。

顧客がIDとパスワードを入力してECサイトにログインしたときに、アンケート・システムを起動させれば、そのアンケートを無記名回答にしても、回答者のログイン情報(ID情報)から個人を特定することができます。

シングルサインオンでアンケートを実施するときも、アンケート集計を自動で行うシステムを導入することがおすすめです。

パラメータ・アンケート

パラメータとは変数という意味で、変数とは「値につける名札」または「値を入れる箱」のこと。

パラメータ・アンケートでは、まず、回答してもらう人数分のパラメータを用意します。ここでのパラメータは、任意の英数字の羅列です。例えば「3dq」や「dp7」などがパラメータになります。

次に、パラメータを使ってQRコードを作成します。QRコードは、無料でつくることができるサイトがあるので、それを使ってつくってもよいでしょう。

パラメータの数と回答予定者の人数は同じなので、回答予定者の人数とQRコードの数も同じになり、回答予定者とQRコードを紐づけることができます。

QRコードを印刷して、回答予定者に送るアンケート回答用紙に貼りつけ、回答予定者の自宅に郵送。回答予定者には、アンケート用紙に回答を記入したうえで、それをアンケート実施企業に返送してもらいます。

返送されたすべてのアンケート用紙にはQRコードが貼られているので、QRコードを読み込むことで回答者を特定することができます。

無記名にもかかわらず回答者を特定。実施には注意が必要

以上で紹介した3つのアンケート手法は、いずれも無記名回答ながら回答者を特定できる優れた手法といえます。

ただ、この3つの手法のアンケートは、実施するときに注意しなければならないことがあります。

それは、アンケートの実施者が回答者にアプローチしたときに、回答者が「なぜその回答をしたのが自分であることがわかったのか」と不審に思う可能性があることです。

クローズとシングルはそれほど驚かせない

クローズド・アンケートとシングルサインオン・アンケートは、例え回答者を特定したとしても、回答者を大きく驚かせることはないでしょう。

クローズド・アンケートなら、回答者は自分のメールに届いたアンケートに答えて返信しているので、アンケート実施者が自分が回答していることを知っているはずだ、と思うことができます。

また、シングルサインオン・アンケートは、IDとパスワードを使ってログインしたECサイト内でアンケートに答えているので、やはりアンケート実施者は、自分が回答していることを知られているはずだ、と思えます。

したがってクローズド・アンケートとシングルサインオン・アンケートなら、アンケート実施者が回答内容について個別に問い合わせても不審に思われにくいでしょう。

パラメータ・アンケートは取扱注意

パラメータ・アンケートの回答者は、自分が特定されることはないと思っている可能性があります。

さらにいえば、パラメータ・アンケートのアンケート用紙が無記名になっていれば、回答者は「アンケート実施者は回答者を特定しないはずだ」と考えるかもしれません。

パラメータ・アンケートを実施したあとに、アンケート実施者が回答者に「なぜこのような回答をしたのでしょうか」と問い合わせたら、回答者は不快に思うでしょう。

アンケート実施者は、パラメータ・アンケートは、密かに個人を特定する手法であることを念頭に置かなければなりません。

アンケートと個人情報保護法

アンケートによって個人情報を取得した企業は、個人情報取扱事業者になり、個人情報保護法を遵守する義務が生じます。

無記名アンケートそれ自体では個人情報を入手できませんが、そのあとに回答者を特定したら個人情報を入手したと考えるべきです。

個人情報取扱事業者に課せられた個人情報保護法上の義務は次のとおりです(*1)。

<個人情報取扱事業者に課せられる義務>総務省のサイトから引用
●個人情報を取り扱うに当たっては利用目的をできる限り特定し、原則として利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない。
●個人情報を取得する場合には、利用目的を通知・公表しなければならない。なお、本人から直接書面で個人情報を取得する場合には、あらかじめ本人に利用目的を明示しなければならない。
●個人データを安全に管理し、従業員や委託先も監督しなければならない。
●あらかじめ本人の同意を得ずに第三者に個人データを提供してはならない。
●事業者の保有する個人データに関し、本人からの求めがあった場合には、その開示を行わなければならない。
●事業者が保有する個人データの内容が事実でないという理由で本人から個人データの訂正や削除を求められた場合、訂正や削除に応じなければならない。
●個人情報の取扱いに関する苦情を、適切かつ迅速に処理しなければならない。
*1:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/business/executive/05.html

まとめ

回答者の「本音」を知りたい、という意図で行われる無記名アンケート。

本記事で紹介した3つの手法により、無記名でも回答者を特定することは可能です。

しかし、回答者は「個人を特定するものではない」と認識して回答している人が多いため、通常のアンケートの実施以上に運用に気を付ける必要があるでしょう。

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<参考>

無記名アンケートで個人を特定する方法

個人情報取扱事業者の責務