ザイオンス効果とは、アメリカの心理学者ロバート・ザイオンス氏が発見した人の心理に及ぼす効果のことで、第一印象がよくなくても、単純な接触を繰り返すことで脳がいわば「勘違い」をして、ポジティブな感情が芽生えてくることがあるというもの。
日本語では単純接触効果と訳されています。
マーケティングは、顧客や潜在顧客に、自社商品やサービスを好きになってもらうことが重要であり、ザイオンス効果は企業のマーケターが期待する効果を得られる手法であるといえるでしょう。
ザイオンス効果とは何か、そして、マーケティングにどう役立てることができるのか、分かりやすく紹介します。
ザイオンス効果とは
ザイオンス効果とは、興味がない、もしくは嫌いという感情を持っていても、偶然、または必然的に、見たり会ったり触ったり聴いたりする頻度が増えると、興味が湧いてきて嫌いな感情が薄まり、いつしか好きという感情が湧いてくるというもの。
物や人に触れた瞬間に「好き」と思う単純な好感感情や、じっくり調べた結果、好きになってもよいと合理的に判断できて好きになるのとは異なり、本来はプラスに働かないと思われる働きかけが好感感情を誘う現象です。
ザイオンス効果のカギを握るのは「熟知すること」。
一般的に熟知することは「よく知ることに」であると考えられていますが、熟知が勘違いを生むことがあります。
この勘違いによって嫌いが好きに変わるのがザイオンス効果であるといえるでしょう。
慣れが印象の評価を誤らせ、好きになる
物や人を熟知すると、脳内で潜在記憶がつくられます。この潜在記憶が印象の評価を誤らせます。誤りの印象評価こそ、勘違いです。
ではなぜ、脳は、印象の評価を間違えるのでしょうか。
例えば、Aが、自分が嫌いなBと仕事でたびたび会わなければならないとします。Aは、Bと会うたびに「やっぱりこの人、苦手だな」と思います。
この悪感情の処理が頻繁になると、脳は処理効率を上げようとします。つまりAは、Bと会う予定が決まるだけで「苦手だな」と思うようになります。
しかし、これが続くと今度はAの脳は、悪感情処理に親近感を抱くようになります。いわゆる「慣れる」状態です。
親近感や慣れこそ、誤った印象評価の正体であり、勘違いの正体であり、好き感情の正体になります。
Bが何も変化していないのにAが勝手に「Bは悪い人ではないかもしれない」と思うようになるわけです。
営業やマーケティングに役立つ
ザイオンス効果は、マーケティング領域において嫌いを好きに変える高等テクニックになりえます。
ザイオンス効果が用いられている例を2つ、紹介します。
しつこい営業パーソンがなぜか好かれる理由
営業業務において、ザイオンス効果は伝統的に使われている1つ。
営業パーソンが何度も潜在顧客のところに通う、というのは従来の営業で良くある手法ですが、潜在顧客から「もう来るな」と言われても営業担当者はめげずに通い続けます。その結果、潜在顧客が根負けして「では1個だけ買うよ」となるケースが少なくありません。
インターネットやITが発達したことにより、足で稼ぐ営業スタイルは非効率となりましたが、取引先候補に対しては、顔を覚えてもらうザイオンス効果を活用することがおすすめです。
テレビCMにも好感を抱かれるザイオンス効果を活用
ザイオンス効果は、音や音楽や音声でも生まれるもの。
テレビCMに、商品名を繰り返すだけのものや、社名を繰り返すだけのものが多く存在するのはそのためです。
「チョコレート、チョコレート、チョコレートは明治」
「やっちゃえ日産」
このフレーズを文字で見ただけで、音楽や矢沢永吉さんの顔が思い浮かんでくる方は少なくないでしょう。
そして、それが思い浮かんだ人は、明治のチョコレートや日産の自動車をに対して好感を抱いているでしょう。
Web集客にどうように役立てるのか
Eコマース(ネット通販)事業を行っている企業のマーケターは、Web集客でザイオンス効果を応用することができます。
Web広告は改良しつつ出し続ける
Web広告に対して、不信感や不満を持っているネットユーザーは少なくありません。
しかしその不信感や不満は「無意味な広告や怪しい広告を見せられている」という感情から生まれているのであって、彼らがWeb広告の内容をしっかり吟味して嫌っているわけではありません。
そのため、ネットユーザーが、よく目にするWeb広告を信頼できる企業が有益な商品を紹介していると認識できれば、不信感も不満も消えます。
Web広告を始めるなら、長期的な視点に立ち、改良を加えながら、一定期間は出稿し続けるといいでしょう。
SNSの活用にもザイオンス効果が期待できる
マーケティングでは、SNSの活用も進められていますが、SNSに投稿することも、ザイオンス効果が期待できるもの。
SNSに自社商品・サービスの情報を投稿すれば、多くのSNSユーザーの目に留まります。
そして、そこで興味をもったユーザーが自社サイトにアクセスする、ということが期待できるのです。
「ジャパネットたかた」は創業者の高田明氏が、強烈な個性を何度も何度もテレビ放映する、という印象を持っている人が多いと思いますが、最初は「あのキーキー声が苦手」と思っていた人も、いつしか「高田さんがすすめているのだから間違いなさそうだ」と思って商品を購入するようになったのです。
まさにザイオンス効果といえるでしょう。
ジャパネットたかたはテレビショッピングなので、ECではありません。しかし、テレビショッピングもユーチューブ・マーケティングも動画戦略という点では同じなので、ジャパネットたかた方式は、現代のWeb集客に活用できるはずです。
まとめ
関心が無いもの、または嫌いなものが好きなものに変わるザイオンス効果
本当に嫌いな対象を好きに変換することはできませんが、ザイオンス効果を活用することによって、マーケティングでも良い効果を得ることが期待できます。
ぜひ、本記事の内容を参考に、ザイオンス効果の導入を検討してみてください。
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