企業が激化する市場競争の中で勝ち抜くためには、OMOの導入がカギになるといわれています。
そこで今回は、OMOについて基礎からしっかり解説していきます。
また、OMOのポイントだけでなく、O2Oやオムニチャネルとの違いも明らかにすることで、OMOに対する理解を深められる内容になっています。
この記事は、次のような人におすすめの内容です。
- OMOとO2Oの違いが分からない人
- OMOとオムニチャネルの違いを理解したい人
- OMOの将来性が気になる人
それではまず、OMOの基本的なポイントから見ていきましょう。
OMOとは?
OMOとは、Online Merges with Offlineのことです。
2017年に中国のベンチャー企業を創設した李開復(リ カイフ)氏により提唱されました。
OMOを簡単に説明すると、オンラインとオフラインが融合した状態のこととなります。
李開腹氏によると、OMOが発生する条件としては次の4つがあります。
- AIの発達
- スマホの普及
- センサーの安価化
- モバイルペイメントの普及
OMOが発生する4つの条件の内容について、順番にチェックしていきましょう。
【AIの発達】
OMOには、データを学習して自動化されたAIが必須になります。
なぜなら、AIに大量で高精度なデータを学習させることで、良質なサービスの提供にかかる時間を短縮する効果が期待できるからです。
李開腹氏によるとOMOを世界的に実現させるためには、認知(パーセプション)AIの進化が必要です。
多種多様なIoTデバイスにパーセプションAIが導入されれば、企業は顧客のさまざまな行動や状態を把握できるようになるでしょう。
企業が取得する顧客情報が多くなるほど、最適な顧客体験の機会が提供される可能性がアップすると考えられます。
【スマホの普及】
スマートフォンが幅広く普及することにより、顧客は常にオンラインの世界とつながることができます。
顧客がネットワークとつながりを持つと、企業はそこから情報を得たり、アプローチをしたりするなどのマーケティング施策が実行できます。
後ほど詳しく紹介しますが、OMOの実現にはアフターデジタルが必要不可欠であり、アフターデジタルが成り立つためにはスマホの普及が必須といえます。
【センサーの安価化】
高品質で豊富な種類があるセンサーが安価で販売されれば、企業がOMOの実現のために購入しやすくなります。
企業が顧客ひとりひとりに適した顧客体験を提供するためには、幅広い種類の情報が必要になるのです。
顧客のあらゆる行動を掴み、データに変換できるセンサーはOMOにとって非常に重要なものだといえます。
【モバイルペイメントの普及】
モバイルペイメントとは、いわゆる携帯・スマホによる決済のことです。
日本でもキャッシュレスの積極的な導入によって、今後、さらにOMOの波が加速することが予想されます。
例えば、中国ではモバイルペイメントが爆発的に普及したことで、世界的にOMOの実現をリードしています。
以上がOMOが発生する4つの条件であり、企業がOMOを導入すると良質な顧客体験(UX)を提供できます。
OMOの導入によって実現される顧客体験の具体例としては、次のようなものがあります。
- ショッピング自体がエンターテインメント化する
- 欲しいものがその場で手に入る
- 会員登録などの面倒な手続きがいらない
- 並ばずに買い物ができる
OMOとオムニチャネル、O2Oの違いは?
OMOとオムニチャネル、O2Oの違いを解説していきます。
【OMOとオムニチャネル】
オムニチャネルとは、企業が顧客とさまざまな接点を持ってマーケティング施策を打ち出す戦略のことです。
例えば、ネットやモバイル、SNSだけでなく店舗や屋外広告などネット・リアルのどちらからもアプローチをします。
すべてのチャネルをうまく連携・統合させて自社が狙うターゲットにアプローチをするのがオムニチャネルの考え方ですが、OMOとは違ってネットとリアルを分けて捉えている違いがあります。
ネットとリアル、両方から得た情報を連携・統合させることでアプローチするものの、OMOのように区別がないということではないのです。
【OMOとO2O】
O2OとOMOは単語自体は似通っていますが、それぞれの用語が表す意味はまったく異なるものです。
O2Oは、Online To Offlineのことで企業の顧客に対する誘導がオンラインからオフライン、もしくはオフラインからオンラインとなります。
例えば、ネット上の店舗で使えるクーポンを送付してECサイトの購買を促したり、SNSでセールの広告をして実店舗の来店を促進させたり、といった戦略がO2Oです。
つまり、OMOはオンラインとオフラインの境界線を意識していないのに対して、O2Oは両者の違いを明確に分けているという点が違うといえるでしょう。
OMO、オムニチャネル、O2Oの3つは、いずれもオンラインとオフラインについて触れる用語ではありますが、それぞれの意味はまったく異なるのでこの機会に覚えておきましょう。
O2OやオムニチャネルからOMOへ
O2OやオムニチャネルからOMOに意向しつつある背景には、アフターデジタルと呼ばれる新しい環境の誕生があります。
アフターデジタルとは、リアルの世界がデジタルによって包括された状態の世界のことです。
ビジネスにおいては当たり前に、デジタルが起点となって物事があることを指します。
このままAIやモバイルペイメント、高性能センサーなどが発達し、デジタル世界がさらなる発展をしていくと、アフターデジタルと呼ばれる新たな環境に突入するといわれています。
たしかに、O2Oやオムニチャネルは有効なマーケティング施策ではありますが、今後の市場競争を勝ち抜いていくためにはOMOへの対応が必須です。
OMOの導入で顧客により高品質な体験価値を提供できる企業が市場で優位になるため、今後、企業にはデジタルとリアルの両方をうまく用いて顧客と密にコミュニケーションを図ることが求められているといえるでしょう。
まとめ
アフターデジタルを背景に、OMOの発展が期待されています。
OMOに対応しない企業は、競合他社から後れを取る可能性も考えられるため、オムニチャネルやO2Oの概念も押さえつつ、OMOの導入を検討するといいでしょう。
無料お役立ち資料フォーム
<参考>
- OMO (Online Merges with Offline、Online-Merge-Offline) – UX・マーケティング関連用語集(一兆スマイル新聞)
https://trillionsmiles.com/glossary/online-merges-with-offline/ - 「OMO」を正しく理解する基礎知識(商業界ONLINE)
http://shogyokai.jp/articles/-/1758?page=3 - ビービットのサービス(ビービット(beBit))
https://www.bebit.co.jp/services