ユーザーヒアリング 基礎

ユーザーヒアリングとは「コミュニケーション」である【基礎編】

営業担当者がリピート客を増やすとき、そして、マーケターが既存製品のテコ入れを狙ったマーケティング・キャンペーンを展開するときに欠かせない「ユーザーヒアリング」。

しかし、このスキルを持ち合わせていないビジネスパーソンは少なくありません。

ユーザーヒアリングで成果をあげられない人は、コミュニケーションの質を高めることを目指してみましょう。

なぜなら、ヒアリング能力(聴く力)は、コミュニケーションの出発点だからです。

ユーザーヒアリングをする2つの目的

企業やマーケターがユーザーヒアリングをする目的は、大きく分けて

  • 顧客が求めるものを探す
  • 企業の「ひとりよがり」を予防する

の2つ。

1つずつ解説します。

顧客が求めるものを探す

ユーザーヒアリングの目的として、「顧客が求めるものを探すこと」が挙げられます。

企業は商品・サービスを開発・販売し、顧客に購入してもらうことで経営を行いうもの。そして、顧客が欲しいものは何か、を知るための手段がユーザーヒアリングなのです。

顧客は、簡単には本心を明かしません。例えば「とっても甘いシュークリームが食べたい」と答えた顧客が、「でも砂糖を摂りすぎたくないから、甘さ控えめのスイーツを選んで買っている」と思っていることもあります。甘いシュークリームを食べたいという気持ちは嘘ではなくとも、それが本心とは限らないのです。

しかし顧客は往々にして、本心を隠してしまうもの。

もし、スイーツを販売する企業が、「とっても甘いものが食べたい」という声だけを信じて、とても甘いシュークリームを開発したら、思ったほど売れないという結果に終わってしまうでしょう。

ユーザーヒアリングでは、顧客の「心の底にある本心」を引き出さなければなりません。「嘘とはいえない上辺の言葉」しか拾えないユーザーヒアリングは失敗といえます。

企業の「ひとりよがり」を予防する

企業は得てして、自社ができることをしようとします。また、企業は得てして、最新の取り組みをしなければならないと考えがちです。

しかし、最新のものも世界1のものも必要としない顧客は多くいます。企業が「よかれ」と思って生み出しても、顧客が受け入れなければ、それは企業のひとりよがりになります。

ユーザーヒアリングを実施すれば、自社がひとりよがりで製品開発をしているかどうかがわかります。それがわかれば、社内に「顧客が求めるものをつくろう」という機運が芽生え、売れる商品が誕生しやすくなります。

コミュニケーション能力を高めよう

「コミュニケーションの穴」に陥っている人の特徴の1つに、コミュニケーションが下手なのに、自分はコミュニケーションが得意である、と思っているということが挙げられます。

このような人は、ユーザーヒアリングが下手な傾向があります。

会話が盛り上がってもコミュニケーションが取れていないことがある

会話を盛り上げることとコミュニケーションはまったくの別物です。しかし、会話を盛り上げることが得意な人は「自分はコミュニケーション・スキルが身についている」と思いがちです。

会話を盛り上げることは、芸のようなものです。それはとても重要なスキルですが、それだけでは顧客の本音を引き出すことはできません。

顧客は「楽しかった、有意義な時間だった、でも買わない」という結論に至り、思うような成果を得ることができない可能性があります。

情報を引き出すために必要なのは「質問力と聴く力」

ビジネス上でのコミュニケーションは、情報を獲得するためのツールであり、顧客から情報を引き出すには、質問をする力と聴く力を身につける必要があります。

上手な質問をすれば、相手(顧客)はつい、ポロリと本音をこぼしてしまうもの。

相手に寄り添いながら、核心に一歩一歩近づいていけば、「これはまだ誰にも話していないことですが」といった告白を引き出すことができるかもしれません。

しかし、近づき方が悪いと、相手はスルリと逃げてしまうことも。

質問をする力と聴く力を磨いて、一歩一歩近づいていきましょう。

ユーザーヒアリングの手法

ITとインターネットの普及で、ユーザーヒアリングは格段にしやすくなりました。それはユーザーヒアリングの手法が増え、しかもそれらを手軽に利用できるからです。

ここでは、次の3つについて解説します。

  • 対面でのヒアリング(インタビュー)
  • Webアンケート
  • SNS情報の活用「ソーシャルリスニング」

基本は対面でのヒアリング(インタビュー)

ユーザーヒアリングの基本は、昔も今も対面でのヒアリングです。

もし、マーケティング・チームのリーダーがユーザーヒアリングを強化したいと考えたなら、まずはスタッフたちの対面ヒアリング・スキルを向上させましょう。

なぜなら、対面ヒアリングこそ、ユーザーヒアリングの基本であり、対面ヒアリングで成功しないと、他の手法でもうまくいかないからです。

リアルでの対面が難しければ、ZOOMなどのインターネット会議システムを使ってもよいでしょう。それが難しければ、電話でもかまいません。しかし、対面ヒアリングでは「こちらの体温を相手に伝え、相手の体温を感じる」ことが重要であるため、メールやチャットは避けましょう。

対面ヒアリングは、質問者(自分)が相手(顧客)に質問をして、相手に答えてもらう、という形で進めます。そして、可能な限り、相手に多く喋らせることが大切です。人は、話す量が多くなれば多くなるほど、本音を出しやすくなるもの。矢継ぎ早に質問をすると、矛盾した答えをすることがありますが、その矛盾をつけば、本音がみえてきます。

ユーザーヒアリング(対面ヒアリング)は尋問ではないので、相手に寄り添いながら質問していくことが大切です。

「ラポール」という言葉が、ユーザーヒアリングで注目されていますが、ラポールは「橋をかける」を意味するフランス語であり、心理学では「親密な関係、信頼関係」という意味で使われるもの。

相手(顧客)と信頼関係を築き、対面ヒアリングに臨みましょう。

Webアンケート

Webアンケートはインターネットを使って行うアンケート調査です。

Webアンケートには、1)回答者(ユーザー)の負担が少ない、2)多くのユーザーにヒアリングできる、3)客観的なデータを得やすい、といった長所があります。

その一方で、1)ユーザー1人ひとりの本音に迫りにくい、2)質問を工夫しないと必要なデータが得られない、3)データを分析するスキルが別途必要になる、といった短所があります。

これらの長所・短所を踏まえて活用するといいでしょう。

SNS情報の活用「ソーシャルリスニング」

ソーシャルリスニングとは、SNS上の声やコメントやつぶやきを集めて分析する手法のこと。

ユーザーヒアリングは、原則、こちらから相手(顧客)に働きかけることから始まりますが、ソーシャルリスニングは顧客や潜在顧客である消費者がSNSでつぶやいた情報を拾い集めて分析する手法です。

ソーシャルリスニングは、自社でツール(システム)を使って実施することもできますが、客観的なデータを集めるには高いスキルが必要になります。そのため、最初は、分析業者に依頼したほうがよいかもしれません。

SNS上の声には、消費者(顧客)の本音が「もろに」反映されています。もし「糖質ゼロのシュークリームがコンビニで気軽に買えたらいいのに」という声がSNS上にたくさん投稿されていたら、その情報の確度は高いとみてよいでしょう。

また、もしSNS上に、自社に関するネガティブな声が多く存在したら、すぐに対策を講じる必要があります。ブランドイメージが完全に毀損される前に対処しておかないと、大きな損失を被ることになるからです。

ソーシャルリスニングは、ブランド力調査に適したツールといえます。

まとめ

ユーザーヒアリングは、顧客の本音を探る作業です。

本音を強引に奪い取ることはできないため、顧客に寄り添い、顧客自身が「本音を語りたい」と思うのを待つことが大切となることから、ユーザーヒアリングは手間がかかるもの。

しかし、その手間を惜しむと重要情報を手に入れることができません。

ユーザーヒアリングで顧客の本音を探し当てることができれば、その後のマーケティングや営業、製品開発はかなり楽になるでしょう。


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<参考>

営業のヒアリング力を向上する2つの方法