ターゲティング

ターゲティングをするメリットとは?【設定方法や成功事例紹介】

ターゲティングは、マーケティング戦略のなかでも比較的簡単に理解することができます。

ターゲットとは「的(まと)」のことです。つまりターゲティングとは「顧客層や市場を絞り込んで、そこに資源を集中させる」企業活動のことですが、これはすでにどの企業でも行っていることです。

ではなぜ、ターゲティングで成功した事例がそれほど多くないのでしょうか。ターゲティングは古い手法になってしまったのでしょうか。

もちろんそのようなことはありません。ターゲティングはいまなお重要な手法です。

ターゲティングを間違って理解して、間違ったターゲティングをしているので、成功事例が多くないのです。

ターゲティングを正しく行うことは簡単ではありません。そこで本稿では、ターゲティングの実行が難しい理由を分析し、どのようにすればターゲティングで成功できるのか考察していきます。

ターゲティングとは

ターゲティングはSTPマーケティングの「T、ターゲティング、的の選定」に該当します。したがってターゲティングを理解するには、T単体ではなくSTP全体を知っておく必要があります。

S、セグメンテーションとは

STPマーケティングは「S→T→P」の順に進みます。

まず「S、セグメンテーション」ですが、これは市場や顧客層をグループにわけることです。

市場や顧客層をグループにわけることの重要性は、グループわけしないことのデメリットを理解するとわかりやすいでしょう。

ある企業が「市場も顧客もグループわけしない」ことを選択すれば、それは市場全体やすべての顧客層を相手にビジネスをすることになります。これでは勝ち目はありません。

そこでセグメンテーションという、市場や顧客層をグループにわける施策を行い、「自分たちが戦う土俵」を検討するわけです。

T、ターゲティングとは

セグメンテーションは市場と顧客層をグループわけすることなので、その作業はニュートラルなものです。

したがってセグメンテーションの後に「T、ターゲティング」を行う必要があります。

自分たちがビジネスを展開する市場を定めることがターゲティングです。

ターゲティングの施策方法については、後段の「6Rでターゲティングを進める」で詳しく解説します。

P、ポジショニングとは

「P、ポジショニング」では、定めたターゲット内にいる顧客たちの利益を検討します。マーケティングは顧客の利益を最大化する方策を考えることなので、「顧客利益ありき」で戦略を練っていきます。

ポジショニングではさらに、自社がその市場でどのように存在感を示すことができるかを考えていきます。

6Rでターゲティングを進める

セグメンテーションした市場や顧客層のなかから、自社の市場と自社の顧客層を選ぶことがターゲティングです。ターゲティングを間違うと「的外れ」となり、投下した資源が無駄になります。

したがって、ターゲティングの確度を上げなければなりません。そのためには次の6つのRで「自社のターゲット(市場、顧客層)にふさわしいか」を検証していく必要があります。

 

「1:Realistic Scale」とは市場規模のことです。例えば家電ベンチャーがいきなり大容量冷蔵庫や高吸引力掃除機の市場に打って出ることは得策ではありません。市場規模が大きすぎるからです。扇風機や電子レンジや炊飯器であれば、それほど大きな市場ではないので、資本が小さい家電ベンチャーでも太刀打ちできます。

「2:Rival」とは競合他社のことです。いくら自社の強みを活かすことができそうな市場をみつけても、競合他社が多く存在していては勝ち目がありません。

「3:Rate of Growth」は成長性です。競合他社がまったくいない市場は、成長する見込みが薄いからかもしれません。

「4:Rank」は優先度です。例えばある企業が、これまで商売してきた市場が縮小してきたので、新たにセグメンテーションし直す必要に迫られたとします。このときセグメンテーションした複数の市場に優先順位をつけて、優先度が高い市場から検証を進めていくことになります。

「5:Reach」は到達可能性です。その市場でトップを獲るにはどれくらいの費用と期間がかかるのか計算しなければなりません。

「6:Response」は反応です。自社が新規の市場に参入するとき、その市場にいる顧客層は歓迎してくれるでしょうか、それとも拒絶されるでしょうか。

例えばインスタントラーメンのメーカーがパスタ市場に進出する場合、意外性を喜ぶ客もいれば、イタリアンなイメージに合わないと拒絶する客もいるでしょう。顧客の反応を予測することで広告のトーンも変わってきます。

ターゲティングをするメリットは「しないデメリットを回避できること」

ターゲティングを活用したマーケティングは、「していない企業はない」と思わせるくらい一般的になりました。つまり企業活動の基礎部分に、ターゲティングが組み込まれているのです。

したがって企業がターゲティングをするメリットは、ターゲティングしないデメリットを回避することでもあります。

ターゲティングをしないということは、企業内の限りある資源を無駄遣いすることに他なりません。例えば、「30代の女性」をターゲットにしている企業は、資源を無駄遣いしているはずです。

「30代の女性」では市場も顧客層も広すぎます。例えば化粧品メーカーが「30代の女性」をターゲットにして製品を開発したら、アウトドア派の30代女性からも、事務職の30代女性からも支持されないでしょう。

つまりターゲティングをしていない企業の製品やサービスは、顧客に刺さりません。ターゲティングをしないと「誰のためのブランドなのか」がぼやけてしまうのです。

ターゲティングをすることで、マーケティングやブランディングがより先鋭化され、顧客に刺さるようになります。

「偽ターゲティング」が企業のターゲティングを阻む

さて、ここまでターゲティングの6Rやメリットなどを解説してきましたが、「難しい」という印象は受けなかったと思います。

それでもなぜ、多くの企業はターゲティングに失敗してしまうのでしょうか。

それは、ターゲティングしている「つもり」で終わっている企業が少なくないからです。「偽ターゲティング」の落とし穴に落ちないようにしましょう。

例えば、ある企業に5つの事業部門あったとします。その5部署の5人の部長が独自にターゲティングをしていたら、それは偽ターゲティングになっている可能性があります。1企業が5つもターゲットを持つことは、正しいターゲティングとはいえません。

ただ、大企業であれば、部署ごとにターゲティングをしなければならないことがあるかもしれません。しかし大企業であっても、部署内の担当者ごとにターゲティングしていることが珍しくないのです。チームのメンバー全員がターゲティングをしたら、それは最早ターゲティングではありません。

なぜこのようなことが起きるのかというと、経営者がターゲティングに慎重になってしまうからです。市場や顧客を絞り込むということは、絞り込まなかった市場や顧客を「捨てる」ことを意味します。

アウトドア派の20代女性に向けたマーケティングをするということは、インドア派の20代女性を無視することであり、10代女性や30代女性を無視することでもあります。

経営者はそこにリスクを感じます。それで厳格にターゲティングすることに二の足を踏んでしまい、部下やスタッフたちに明確なターゲティングの実行指示を出せないのです。

しかしそれは正しいマーケティングとはいえないでしょう。やはりターゲティングを正しく行ったほうが事業は成功しやすいからです。

そこで次に、ターゲティングに成功した事例をみていきましょう。

ターゲティングの成功事例

ターゲティングの手法を活用したマーケティングに成功した企業として、「10分ヘアカット」のQBハウスと、「牛丼」のすき家を紹介します。

QBハウス

キュービーネットホールディングス株式会社が運営するQBハウスは、これまで「30分以上、5,000円程度」という理容業界の常識を「10分、約1,000円」で打ち破り、大躍進しました。

QBハウスがターゲットにしたのは、ヘアカットにお金をかけたくない顧客でした。理容の市場には「余計なサービスは要らないから、とにかく髪を切ってほしい」という顧客が存在していましたが、ほとんどの理容業者はそのような顧客を無視してきました。もしくは、セグメンテーションをしてこなかったので、「余計なサービスは要らない」と考える顧客層を見失っていたのです。

QBハウスはセグメンテーションからターゲティングを行い、「余計なサービスは要らない」層に訴えるサービスを提供したのです。

すき家

株式会社ゼンショーホールディングスが展開する牛丼チェーン「すき家」は、それまで「大人の男性の食べ物」だった牛丼を、女性や子供たちに食べてもらうマーケティングを行い、成功しました。

しかし、男性中心のマーケティングから、男性も女性も子供も対象にしたマーケティングに変更することは「ターゲティングの逆」のように感じるかもしれません。市場と顧客を絞るのではなく、市場と顧客を拡大しているからです。

ところがゼンショーによるすき家戦略は、かなり精巧なターゲティングになっているのです。

ゼンショーの年間売上高は5,791億円(2018年3月期)に及びます。

同じく牛丼チェーン「吉野家」を展開する株式会社吉野家ホールディングスの年間売上高1,985億円(2018年2月期)の3倍にもなります。

つまり「外食の巨人」であるゼンショーにとっては、「どの顧客層からも愛される牛丼チェーン店」は、かなり攻めたターゲティングなのです。

このようにターゲティングの手法は、企業の規模によって変化します。したがって、自社に合ったターゲティングが必要になります。

まとめ~「ターゲティングしない」選択肢はない

ターゲティングが優れたマーケティング手法であることは論を待たないでしょう。そして価値観の多様化が進んでいる現代において、企業が「ターゲティングをしない」ことを選択することは無謀ですらあります。それは、単に安さだけを追求した巨大スーパーマーケットが、デフレ経済のなかで破綻したことからも理解できるでしょう。

したがって企業やマーケターの課題は、ターゲティングをするかしないかではなく、「どうターゲティングするか」になります。

【関連記事】

ターゲティングとは?効果的なターゲティングには6つのRが重要
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<参考>

ターゲット・マーケティング(コトバンク)

マーケティング(コトバンク)

お客様の日常生活を、より快適なものに。(キュービーネットホールディングス)

2018年3月期 決算説明資料(株式会社ゼンショーホールディングス)