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ユーザーリサーチするときにおすすめの本Vol.1「外資系コンサルのリサーチ技法」

「外資系コンサルのリサーチ技法」(以下、本書)は、ページ数が180ページと、厚みのある書籍ですが、マーケター初心者や、短時間でリサーチの概要を把握したいマーケターも理解しやすい内容が記されています。

本書の内容を7分で理解できるようにまとめました。

なぜこの本をおすすめするのか

本書をマーケターにおすすめする理由は、執筆者が世界中で活躍しているコンサルティング会社、アクセンチュアの精鋭たちであるからです。

編著を務めた宮尾大志氏は、アクセンチュアの製造流通本部シニア・マネジャーという肩書を持ち、製造業界と流通業界の企業の、事業戦略や提携戦略などをサポートする人物

ビジネスの第一線で起きていることをマーケティング理論で証明する、という手法を取っていて、より実践的なことを知りたいマーケターに適した本です。

リサーチを体系的に学べる参考書は、それほど多くありませんが、本書は、リサーチに特化した解説本になっているので、本書を一読すれば、情報を収集、整理、加工して、そのなかから意思決定に不可欠な洞察(インサイト)を抽出する手法を学ぶことができます。

本書は、プロの「調べる」テクニックを学びたいマーケターにとって、必須の書になるでしょう。

4つの章からなる構成

本書は次の4つの章で構成されています。

第1章 リサーチの基本的な流れ

第2章 9つのリサーチ技法1(最初の5つの解説)

第3章 9つのリサーチ技法2(残り4つの解説)

第4章 リサーチのケーススタディ

この記事では、ひとつの章ごとに「何を学べるか」を記しました。

「リサーチの4ステップ」を学べる第1章

「第1章 リサーチの基本的な流れ」では、リサーチの4つのステップを学ぶことができます。

<ステップ1>は「目的の確認」です。

リサーチでは、「時間をかけて調べたけど、結局よくわからない」という失敗をしたことがあるマーケターも多くいますが、本書では、失敗を回避するために必要なこととして、次の3点を上げています。

  • 「答えるべき問い」や「解決したい課題」を明確にして、課題解決につながるリサーチを行なう
  • マーケティング企画のステージごとにリサーチの内容を変える(企画ステージにマッチしたリサーチを行なう)
  • リサーチ結果を使って仮説の証明に根拠を与える(仮説を証明する根拠となり得るリサーチを行なう)

著者は、リサーチの品質は「いかに多くの情報を集められたか」では決まらない、と指摘していますが、この指摘に耳が痛いと感じるマーケターは少なくないでしょう。

<ステップ2>は「リサーチプランの設計」です。

リサーチには「探すリサーチ」と「つくるリサーチ」があり、それぞれ手法が異なります。

手法の種類は以下のとおりです。

  • 探すリサーチで使われる手法:Web、文献、記事、統計、レポート
  • つくるリサーチで使われる手法:アンケート、ソーシャル、フィールド、インタビュー

「探す」と「つくる」は、本書の重要ワードになっているので、後段でさらに詳しく解説します。

<ステップ3>は「リサーチの実行」です。

手法を設計したら、いよいよリサーチを実行します。

「リサーチの実行」こそ、本書のハイライトであり、本書では、「リサーチの実行」を第2章と第3章で詳しく解説しています。

「リサーチの実行」の内容は、次章以降で詳しく解説します。

<ステップ4>は「アウトプット化」です。

著者は、リサーチで得た情報をすぐにパワーポイントにまとめるのではなく、エクセルで整理することをすすめています。情報をエクセル化することで、検索と閲覧が効率的化します。

第2章で「探すリサーチ」を学ぶ

「第2章 9つのリサーチ技法1(最初の5つの解説)」では、「探すリサーチ」を学ぶことができます。

先ほど、リサーチには、

  • 探すリサーチ
  • つくるリサーチ

とがあると紹介しましたが、本書の第2章では5つの探すリサーチを、第3章では4つのつくるリサーチを紹介しています。

探すリサーチとつくるリサーチには、次のような違いがあります。

  • 探すリサーチ:すでに存在し、誰でも取得可能な情報を集め、独自の考察の資料にする
  • つくるリサーチ:現在存在せず、自らつくり出す必要がある情報をつくり、独自の考察の資料にする

2つのリサーチの違いを知ると、9つのリサーチ手法を上記のようにわけている理由がみえてきます。

5種類の探すリサーチの特徴

5種類の探すリサーチには、次のような特徴があります。

  • Web:インターネット検索エンジンを使ったリサーチ
  • 文献:刊行されている基本書や専門書から情報を得る
  • 記事:新聞や雑誌などから情報を得る
  • 統計:行政や研究機関が発表している大規模定量データを収集する
  • レポート:調査会社が発行している報告書から情報を得る

「Web、文献、記事」は、常識やトレンドを素早くつかむ必要があるときに威力を発揮し、「統計とレポート」は、リサーチ対象を体系化してとらえたいときに有益です。

「探す」が有益でないケースでは「つくる」を試す

本章での注目点は、個別に深い情報をつかむ必要があるときは「探すリサーチは有益でない」という指摘です。

個別に深い情報が必要なときは、次の章で紹介する、つくるリサーチを実施する必要があります。

第3章では「つくるリサーチ」を学べる

「第3章 9つのリサーチ技法2(残り4つの解説)」では、4種類の「つくるリサーチ」を学ぶことができます。

4つのつくるリサーチとその特徴は次のとおりです。

  • アンケート:広く消費者やユーザーに問いかけ、傾向を把握する
  • ソーシャル:SNSを利用して消費者が「大量に」「何気なく」「自発的に」発信している情報を集める
  • フィールド:現地に足を運んで実際の場面を観察・体験する
  • インタビュー:有識者や消費者に直接問いかけて情報を得る

つくるリサーチでは事前の準備が重要

探すリサーチの場合、マーケターには「欲しい情報」があります。そして、それをみつけることができれば、その情報は高い確率で有効活用できます。

しかし、つくるリサーチでは、マーケター自身がアンケートやインタビューを設計して、消費者や有識者たちに働きかけて、情報を集めていくことになります。したがって、設計段階で狂いが生じたり、消費者や有識者たちが思わぬ回答をしたりすると、「机の肥やし」にしかならない情報になる可能性があります。

そのため、著者は、つくるリサーチでは、事前の準備が重要になると指摘しています。

例えば、アンケートを実施するには「手法を決める」「調査の規模感を決める」「アウトプットイメージを明らかにする」といった事前準備をするようアドバイスしていますが、事前準備をして、つくるリサーチを進めていけば、そこで得られた情報が無駄になることはないでしょう。

第4章では「リサーチの進め方」を学ぶ

著者は、第4章で紹介している具体的なリサーチ作業は「仮想である」と紹介していますが、描写が細かくディテールがリアルなことから、読者は「実際に起きたことなのではないか」と感じることでしょう。

この章では、リサーチの具体例として、食品メーカーのマーケティング戦略の見直し事例が紹介されています。

この食品メーカーでは、売上が芳しくない商品Aについて「ターゲット顧客を取り込めていないのではないか」「想定している利用シーンが正しくないのではないか」という懸念があったため、(アクセンチュアと思われる)コンサルティング会社に、リサーチを依頼。

リサーチでは、まず、「答えるべき問い」を

  • 商品Aがどのような顧客に買われているのか
  • 商品Aがどのようなロケーションで消費されているのか

という2つに絞り、現在のステージを「仮説立案」の段階であるとしました。

当初、「探すリサーチ」で進めたものの、有益な情報が得られそうになかったので、「つくるリサーチ」に転換。

「答えるべき問い」が明確になっているので、「リサーチが有益であるかどうか」がすぐにわかったわけです。

実際に使った手法は「ソーシャル」です。ソーシャルとは、SNSを利用して消費者が「大量に」「何気なく」「自発的に」発信している情報を集める、という手法ですが、ここでは、ツイッター情報を分析する調査会社に依頼して、商品Aの顧客層や消費シーンを探りました。

その結果、商品Aが「学生が学校の前後や夜間に食べている可能性がある」ことがわかりましたが、この結果は、食品会社にとってかなり意外なものでした。

「もしこのリサーチ結果が本当なら」、食品会社は広告・プロモーションを変える必要があります。また、商品そのものをリニューアルする必要があるかもしれません。

このリサーチ事例は「もしこのリサーチ結果が本当なら」で終わっていますが、商品Aのリサーチでは、食品メーカーは「仮説立案」のステージにありました。つまり、「ターゲット顧客を取り込めていないのではないか」「想定している利用シーンが正しくないのではないか」仮説が正しいかどうか知りたかったわけです。

まとめ

企業は、消費者の声を知りたがっていますが、消費者は「簡単には」本音をみせてくれません。

そこで、ユーザーヒアリングが必要になるわけです。

本書は、ユーザーヒアリングを効率的かつ効果的に実施したいマーケターにとって、業務マニュアルになるはずです。

アクセンチュアのリサーチのノウハウの一端を獲得できるのは「お得」といえるでしょう。

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