アンケート クックパッド

【クックパッド】毎年100人にインタビュー~その理由と行動指針~

国内最大の料理レシピサイト、クックパッドを運営するクックパッド株式会社(本社・神奈川県横浜市)は、アンケートをとても重視している企業です。

ネット企業であり、かつ、いまやネット全盛時代であるにも関わらず、クックパッドが実施するアンケートはユーザーにインタビューをする極めてアナログなもの。

本記事では、クックパッドがあえて非効率な調査方法を採用している理由とインタビューにこだわる狙い、その成果について解説します。

行動指針はユーザーファースト

クックパッドというと、多くの人が思い浮かべるのが誰でもレシピを公開でき、誰でもレシピを閲覧できるサイトだと思いますが、クックパッド株式会社が今展開するのが、生鮮食品ネットスーパーや料理道具販売と人々の生活全般にわたるもの。

クックパッドの事業が生活全般に広がったことによって、さらに重要となったのが「人の理解」であり、クックパッドはユーザーファーストをコンセプトにした、コンテキストインタビューという手法のアンケート調査を実施しています。

コンテキストインタビューとは

コンテキストの意味は「利用状況」。つまり、コンテキストインタビューは利用状況や潜在的ニーズを把握する目的で実施されるインタビューをいいます。

クックパッドは自社のコンテキストインタビューの方法を

  • インタビュー相手には、普段の生活のありのままを教えてもらう
  • 朝起きてから夜寝るまでにすることを、時系列で教えてもらう
  • 生活を具体的にイメージできるまで掘り下げる

としています。

ここまで徹底的に教わる理由として、クックパッドはユーザー(インタビュー相手)によってクックパッドの利用方法や利用シーンが異なるからとしています。

声を要約しない

インタビューが終わると、担当者はその内容をデータ化、情報化しますが、クックパッドがデータ化する際の特徴がインタビュー相手の言葉を要約せずに、そのまま文章に書き起こすということ。

その理由として、要約した文章には、担当者の主観が入ってしまうとしています。

クックパッドでは、要約されないそのままのインタビュー内容を多くの社員が閲覧することができるようにすることで、それぞれの社員がそれぞれの気づきを得ることができるようにしているのです。

6項目でインタビュー相手を分類する

要約しない文章ではユーザーの全体像はみえてきません。

したがって、クックパッドはインタビュー相手を1)料理頻度、2)料理スキル、3)コスト意識、4)時間的制約、5)情報探求度、6)健康意識の6項目で分類しています。

こうすることで人物像を単純化し、理解しやすくしているのです。

単純化された人物像と要約されていない生の声の両方を得ることで、浅く広い観察をすることも、深く狭い理解をすることも可能になります。

ユーザーを顕微鏡で観察することも望遠鏡で見渡すこともできるわけです。

インタビューで得られた成果

コンテキストインタビューはクックパッドにさまざまな成果をもたらしました。

●成果その1、写真を大きくした

インタビューから、多くのユーザーはクックパッドを使い始めるとき、まずは、さまざまなレシピを「ザーッと眺める」ことがわかりました。

そこで料理の写真を大きく掲載。

従来は、写真の見映えをよくするために写真の周囲に余白をつけていましたが、余白をつぶして写真の面積を増やしたのです。

●成果その2、機能をユーザーの属性に応じたものに

この気づきは、クックパッド社内に衝撃が走ったはずです。クックパッドのヘビーユーザーは、料理中にレシピをほとんど見ていないことがわかりました。ヘビーユーザーは料理が得意な人が多く、最初に料理の全体像がつかめてしまうと、あとは自分流できちんとその料理をつくることができてしまうからです。

そこで、レシピを見やすくする機能は、料理初心者や、材料の分量を厳格に計る必要がある菓子づくりユーザー向けにつくるようにしたのです。

●成果その3、コンテキストインタビューの必要性を理解

クックパッドの社員たちは、食に対する健康意識が年を取るほど高まると思っていました。しかし、シニア層へのインタビューで、健康に問題がない人は健康意識がそれほど高くなく、むしろ、高齢者のほうが元気なうちに好きなものを食べたいという気持ちが強いということが分かりました。

そして逆に、若い人でも、身の周りに病気を発症した人がいると健康意識が高いということが判明。

年齢だけではユーザー像を把握することが難しく、ますますコンテキストインタビューが必要であるとわかったのです。

インタビューは定期的に実施、年100人にも

クックパッドは、コンテキストインタビュー(徹底的にその人の生活を調べ上げるアンケート)を月10人前後、年間約100人に対して行なっていますが、そのインタビューは、開発業務のなかに次のように組み込まれています。

●事業目標→●ソリューションの考察→●コンテキストインタビュー→●気づき・発見・学び→洞察の抽出と仮説の設定→●事業目標(以下繰り返し)

つまり、コンテキストインタビューをしないと事業やプロジェクトが前進しない仕組みとなっているのです。

未知のよさと隠れた欲求を探すために

クックパッドは、ユーザーにとって価値のあるプロダクトをつくりたいと考えているため、何かを開発するときには必ずインタビューをしています。

まだ知られていないよさを発見し、ユーザー自身が意識できていない隠れた欲求を満たすものをつくらなければなりませんが、まだ知られていないよさも隠れた欲求も、データには表れにくいもの。

その2つを手に入れるには、人を理解する必要があり、そのためには、手間と時間がかかるコンテキストインタビューが欠かせないのです。

まとめ~遠回りが最短ルート

アンケート調査は今、どんどん効率化しています。インターネットとスマホを使えば、1日で何千人もの声を集めることもできます。

しかし、クックパッドは、そのような効率化とは無縁のインタビューをしています。

クックパッドのインタビュー担当者は「インタビューは終わってからが本番」だと言います。担当者がどれだけ詳細に質問しようと、インタビュー相手がどれだけ誠実であろうと、本音や隠れた欲求を引き出すことは簡単ではありません。

コンテキストインタビューは、アンケート手法としてはかなり遠回りですが、クックパッドが知りたい情報を得る道としては最短ルートといえるでしょう。

無料お役立ち資料フォーム


<参考>

クックパッドでのユーザー調査

プロダクトづくりのためのユーザーインタビュー 〜年間100人のユーザーに会う開発チームの試行錯誤

コンテキストインタビュー