アンケート バイアス

アンケート業務ではバイアス(偏見、先入観、盛り)に注意!種類と理由を詳しく解説

バイアス(bias)とは、「偏見、先入観、かさ上げ」という意味を持つ言葉。

そして、バイアスがかかったアンケートは、マーケティング戦略に悪影響を及ぼす恐れがあります。

したがって、すべてのビジネスシーンではもちろん、アンケートに関する業務では、より強く「バイアス」を意識する必要があります。

アンケートにおけるバイアスとは

バイアスを「偏見、先入観、かさ上げ」とだけ理解すると、多くのビジネスパーソンは「自分がそんなことをするわけがない」と思うはずです。

それは、自分のプライドにかけて、偏見や先入観を持って仕事に当たらない、と決めているビジネスパーソンが少なくないからです。

ただ、偏見、先入観、かさ上げは、発生しにくいバイアスである一方、発生しやすいバイアスがあります。

それは、「話を大きくする」「話を盛る」といった行為です。

「話を盛る」こともバイアスなので禁忌を

マーケターはときに、話を盛ることが求められます。例えば、広告において、サンプル数が50人しかいないのに「98%が『使いやすい』と回答」といったコピーをつける行為を禁じることはできません。

なぜなら、盛る行為は嘘ではなく、一定程度の盛りは、大きな害悪をもたらさない範囲において、社会的に許容されているからです。

しかし、アンケート業務では、盛る行為もバイアスに含めて禁忌事項にしたほうが無難です。盛ってしまうと、アンケートが使い物にならなくなってしまうからです。その「被害」については後段で解説します。

客観的でない、主観的である

バイアスには、1)客観的ではない、2)主観的である、という2つの特徴があります。

客観的でないとは、指標や過去データや十分なサンプル数がない状態のこと。

ビジネスでは、結果は必ず客観的な物差し(指標、過去データなど)で測らなければなりません。また、サンプル数が少ないなかで結果を出しても、客観性に欠けます。

せっかく結果を客観的な物差しで比較しても、分析が主観的であれば元も子もありません。例えば「今回の結果は、過去データによると~といえるが、ただ今回は特殊事情が多く発生したので、一概には~とはいえないだろう」といった見解を示してしまうと、リサーチをした意義が失われてしまいます。

バイアスから遠ざかるには、常に客観情報を手元に持ち、主観的見解を排除しなければなりません。

アンケートにおけるバイアスの種類

アンケート業務でバイアスが発生する理由と発生しやすいバイアスを紹介します。

なぜアンケート業務でバイアスが起きるのか

アンケート業務でバイアスが発生しやすい理由は、そのほうが快適だからです。

例えば、新商品を販売してから1年が経過した時点で、ユーザーを対象にしたアンケートを実施したとしましょう。

このときマーケターは「よい結果が出てほしい」「好意的な声が多いといいが」と考えます。さらにいえば、売上不振でも「わかってくれるユーザーは多いはずだ」と思いたくなります。

この思い自体は悪いことではありませが、この気持ちをアンケート業務に持ち込むと、立派なバイアスに育ってしまいます。

ネガティブの要素を深掘りしない

アンケートの回答の選択肢に「使いやすい、普通、使いにくい」を用意して、さらに「『使いにくい』と答えた方は、なぜそう思いましたか」という設問を設けるかどうかは、マーケターの気持ち次第です。

「使いやすさにこだわった製品なので、使いにくいわけがない」というバイアスがあると、「なぜ使いにくいと思ったか」を深掘りしなくなります。

ネガティブ要素を深掘りしなくなるのは、アンケートにおけるバイアスの害悪の1つです。

無理矢理ポジティブ回答を引き出そうとしてしまう

また、マーケターが「まだ買っていないが、機会があれば買いたいと思っている人は多いはずだ」というバイアスを持っていると、「買わない理由」を尋ねる設問で、「価格が高い」「使い勝手が悪そう」といった選択肢とともに「まだ買っていないが、機会があれば買いたい」を置いてしまいます。

さまざまな角度からポジティブ回答を引き出そうとする設問設定は、バイアスのたまものといえます。

アンケート結果に期待しすぎると、バイアスにつけ込まれる隙ができてしまいます。

バイアスが生むアンケート被害

バイアスを持ったマーケターがアンケート業務を担当すると、どのような被害が起きるのでしょうか。

客観データが得られない

アンケートを実施する目的の1つに、客観データの獲得があります。

アンケート結果には、消費者や顧客の声がダイレクトに反映されるのでマーケティングの重要資料になりますが、それはバイアスがない状態でアンケートが行われたときに限ります。

ネガティブな声を出しにくくして、ポジティブな声を出しやすくしたアンケートでは、客観データが得られず、マーケティングの参考にならないでしょう。

アンケートに盛る必要はない

アンケート結果にほんの少しよい兆候がみられただけで、それをことさら強調するのは盛る行為です。そして、ほんの少しのよい兆候を、完全によい傾向とみなしてしまう点において、盛りはバイアスです。

アンケート結果を盛っても、よいことは1つも起きません。ほんの少しのよい兆候を完全によい傾向とみなすと、明確に出現している悪い兆候を見逃すことになります。

また、アンケートの担当者は、アンケート結果の分析において白黒つけたがる誘惑に駆られます。それは、アンケート結果を上司や経営者に報告すると「結局、このアンケート結果から何がわかるのか」と質問されるからです。

しかし、アンケートは、気持ちが移ろいやすい消費者や顧客の意向を反映しているので、必ず結果が白か黒に落ち着くとは限りません。そして「よくわからない結果」も重要な資料になります。

アンケート結果を盛ってしまうと、このような灰色の現象をとらえられなくなってしまうので注意しましょう。

マーケティングを間違った方向に導く

マーケティング会議においてキャンペーンの企画が複数出され、アンケートの結果でどの企画を採用するか決めることになったとします。

このとき、アンケートが客観的に行われていないと、間違った結果を導き、間違った企画を採用することになります。

そして、結果として、効果を生まないキャンペーンを実施することになります。

アンケートは企業活動の出発点になることがあるので、バイアス・アンケートによる被害は取り返しがつかなくなることもあるので注意が必要です。

バイアスが当たってしまうことがある

バイアス問題で恐いのは、バイアスがたまたま当たってしまうことです。

「今回の製品は自信作であり、売れ行きも好調だから、よい意見が多く寄せられるはずだ」と思っているマーケターが、アンケートによい意見を出しやすい設問を多くつくり、その結果、よい意見が多く出てきたとします。

このときマーケターが「よい意見が多く寄せられるはずだと思ったことはバイアスではなく、きちんとした予測だった」と思ってしまうと危険です。

これによりバイアスが正当化されてしまうからです。

バイアスが正当化されると「バイアスつきアンケート」が横行することになりかねません。

アンケートは、設問を調整することで、よい意見を多く集めることが可能です。

そのようなアンケートを重ねていくと、マーケティング戦略だけでなく、経営戦略も間違った方向に進んでしまうでしょう。

仮説はバイアスではない

アンケートにおける仮説とは、アンケートを行う前に「アンケート結果はこのようになるはずだ」と推測することです。

これだけ聞くとバイアスと仮説は似ているように感じますが、両者はまったくの別物で次のような違いがあります。

●仮説は客観情報を元にした推測だが、バイアスは根拠のない願望

●仮説はアンケートの方向を決めるために立てるが、バイアスを持つとアンケートが迷走する

●仮説は否定されても意義があるが、バイアスは一度発生すると否定することが難しい

●仮説はアンケートにおいて重要だが、バイアスはアンケートの害悪

バイアスと仮説は違うものである、と理解しておきましょう。

まとめ~バイアスを排除する姿勢を持つことが重要

バイアスがアンケートに悪影響を与えるメカニズムを解説しました。

バイアスをゼロにすることは難しく、優秀な人ほどバイアスの罠にはまりやすい傾向にあります。

アンケート業務でバイアスを排除するには、「なぜこの質問が必要なのか」「なぜこのような結果になるのか」を常に問い続けることが大切です。

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