商品開発 お菓子

【お菓子の商品開発】売上から見る商品開発で成功するポイントとは?事例も紹介

「お菓子」はすでに無数に存在するもの。

そのため、菓子メーカーで菓子の商品開発を担当している人やマーケターが、熱心に考えれば考えるほど、「菓子のアイデアは出尽くしている」と思うかもしれません。

しかし、菓子業界にはまだまだ「そういう手があったのか」と思える商品開発手法が眠っています。

菓子業界の現状と「売れる」お菓子のポイントを紹介します。

売上高ランキングから見える菓子の世界

日本の菓子業界の2019年、2020年の売上高は下記の表のとおり。

2019年2020年
1位カルビー、2,486億円カルビー、2,559億円
2位森永製菓、2,053億円森永製菓、2,088億円
3位江崎グリコ、1,799億円江崎グリコ、1,451億円
4位明治ホールディングス、1,222億円明治ホールディングス、1,212億円
5位ブルボン、1,175億円ブルボン、1,175億円
6位不二家、1,052億円亀田製菓、1,038億円
7位亀田製菓、1,000億円不二家、1,033億円
8位井村屋グループ、451億円壽スピリッツ、451億円 
9位壽スピリッツ、407億円井村屋グループ、423億円
10位湖池屋、339億円湖池屋、377億円

2トップのカルビー、森永は盤石

上位5社のカルビー、森永、グリコ、明治、ブルボンは、2019年~2020年で順位に変動はありません。しかし、売上高をみると、2トップのカルビーと森永は売上高を伸ばしていますが、グリコ、明治は売上高を減らし、ブルボンは横ばいです。

このことから、菓子業界の大手グループでは、強者がさらに強くなっていることがわかります。

ヒット商品が明暗をわける、下剋上が起きやすい業界

そして「6位と7位」と「8位と9位」をみると、亀田製菓と壽スピリッツが順位を上げ、不二家と井村屋が順位を落としています。

巨大マーケットのトップ10企業がこれほど目まぐるしく入れ替わる業界は、珍しく、菓子業界は、ヒット商品が出ると比較的容易に「下剋上」が起きる世界だといえます。

ポテトチップス系とコメ系が強い

約50年の歴史を誇る明治のスナック菓子「カール」。最盛期の1990年代には年190億円も売り上げていましたが、だんだんその売上高が落ち、2017年には味のバリエーションを減らし、全国販売をやめて西日本だけで販売することにしました。

先ほど紹介した明治の2020年と2019年の売上高をみても、勢いがないことは明らかですが、日本経済新聞は、カールの敗因を「コーン系のカールが、ポテトチップス系の菓子に押されたためである」と分析しています(*1)。

ポテトチップス系の強さは、ポテトチップスが得意なカルビーと湖池屋の売上増にも表れています。

原材料から売上高ランキングをみると、コメ系の菓子を製造販売する亀田製菓が売上高ランキングで上昇しています。

コメ系という和テイストの人気が上昇すれば、相対的に洋テイストの洋菓子の人気が下降する、つまり、洋菓子の不二家が順位を落としていることが説明できるのです。

*1:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ25I0J_V20C17A5000000

売れている菓子のポイント

売れている菓子とそうでない菓子は、何が違うのでしょうか。

人気の原材料を追う貪欲さが必要

菓子の商品開発のポイントとなるのが原材料です。

ポテトチップス系やコメ系の菓子の人気が出れば、菓子メーカーとしてはそれを追随したいところ。なぜなら、スナック菓子は単価が安く「うまい」という評判が立つと、消費者が雪崩を打って買いに走ることが珍しくないからです。

流行に敏感になることは、菓子の商品開発担当者やマーケターにとって重要な資質といえます。

諦めない姿勢も大切

一方、人気が低迷している原材料は見放したほうがよいのかというと、そうではありません。

明治は、カールの売り上げとコーン系菓子全般の人気が低迷した時期に、カールの販売体制を縮小しましたが、その一方で、コーン系菓子をあきらめずに販売し続けた食品メーカーももちろんあります。

その1つがハウス食品です。ハウス食品は、2020年4月に主力菓子「とんがりコーン」の新商品「はちみつバター味」、そして、同年12月は、「とんがりコーン」の新商品「ピザ味」を販売開始します。

ハウス食品の主力製品は香辛料や調味料や加工食品であり、菓子はとんがりコーンとオー・ザックしかありません(*2)。

したがって、ハウス食品は「虎の子」であるとんがりコーンに磨きをかけて、その人気を落とさないようにしたのです。

*2:https://housefoods.jp/products/catalog/cat_1,snack.html

菓子開発の成功事例

成功した菓子から、商品開発のヒントを探っていきましょう。

麻布かりんと:古くさいからこそ新ブランドに変身できた

株式会社麻布かりんと(本社・東京都麻布十番)が販売しているかりんとう「麻布かりんと」は、マーケティングにテコ入れをしたり、ブランド開発をしたりしたことで、地味な菓子がオシャレなスイーツに生まれ変わり、わずか5坪の店で1日100万円売り上げたこともある商品です。

麻布かりんとのブランディングをサポートした株式会社ミニラクリエイティブ(本社・東京都港区)は、「少し古くさくなった老舗ブランドを元気に若返らせる」ことをミッションに掲げました(*3)。

麻布かりんとが成功したのは、ギフト菓子として売り出したため。プロジェクトチームは、例えば営業担当者が取引先にギフト菓子を持っていくとき、大きな箱に入った菓子詰め合わせより、スタッフ1人ひとりに渡せる小さなパッケージのほうが喜ばれるのではないか、と考え、50種類あるラインナップの、1袋300~400円の小パッケージ商品をつくることにしました。

また、麻布十番という土地柄、高級品を求める富裕層が多いことにも着目し、パッケージに高級感を演出できる和紙を使うことにしたのです。

このようにして、「おいしいけど古くてやぼったいかりんとう」が、「新しい和のブランド・麻布かりんと」に生まれ変わり、驚異的な売上高を記録することに成功したのです。

*3:https://minira.co.jp/success-story/azabukarinto01/

カルビー:王者は王道を行く

奇抜で斬新な菓子は多くの人の注目を集めます。また、菓子は単価が安いので試し買いを誘いやすいもの。しかし、アイデアだけで勝負をしていると、いずれ消費者から「そっぽ」を向かれることになります。

菓子業界の王者であるカルビーは、商品開発でも王道を行っています。

カルビーは、商品開発の工程を、基礎研究や技術開発のなかに織り込み、(*4)、機能研究→品質研究→新商品の開発、または既存商品の品質向上→包装開発→機材開発、といった流れで商品のクオリティを高めています。

商品開発や基礎研究や技術開発のベースになるのが、ジャガイモ研究ですが、カルビーは、ジャガイモの新品種の開発から栽培技術の開発、貯蔵技術の開発までを一貫して手掛けています。

カルビーの目標は、世界1のポテトカンパニーであること。

大きな目標を立てて、それを達成する手段の1つに商品開発を位置づけることで、爆発的な人気商品や長年愛される定番商品、他社を圧倒する高品質商品を生み出しているのです。

*4:https://www.calbee.co.jp/rd/region/

まとめ

菓子の商品開発は、結果がダイレクトに、かつ短期間で出てくるので、仕事としてとてもやりがいがあるもの。ただし、ライバルが多く、消費者の目が厳しいため、ヒット商品を生みにくいジャンルでもあります。

しかも、ようやくヒット商品を生み出しても、すぐに他社から似た菓子が出てきたり、消費者に飽きられたりします。

菓子の商品開発は「永遠」に続けていかなければなりませんが、原材料にこだわり、品質を落とさないことで成功をつかむことができるでしょう。


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<参考>

業界動向、菓子業界

お菓子業界5社をマーケティング視点で企業研究!大学生のデータドリブン就活【第4回】

新ブランド開発はいつも規制の概念との戦い

株式会社麻布かりんと

【Q&A】「カール」シリーズの販売地域変更などについて

明治「カール」、東日本での販売終了へ

ハウス食品株式会社、スナック・菓子

ハウス食品グループの事業展開

ハウス食品、「ハウス『とんがりコーン』<あっさり塩>こどもの日パッケージ」などを期間限定発売

「ハウス とんがりコーン ピザ味」発売(ハウス食品)

カルビー、研究開発領域

カルビーポテトとは