フレームワークとは、思考、発想、分析、戦略、決定、開発、実行、改善の各段階において、手順や規則を決めておく行動のことであり、フレームワークを活用することによって、必要な検討やリサーチや判断を自動化し、最短時間で確実な成果を出せるようになります。
プロダクト開発では自社技術を過大評価したり過小評価したりすることがありますが、フレームワークを持っておけば、それを回避することができます。
これから開発チームに参加しようとしているマーケターは、プロダクト開発のフレームワークを活用することで、チームメンバーに最速でキャッチアップできるようになるでしょう。
プロダクト開発で重要な3つの視点
フレームワークは、その基礎を身につけ、常に拡張していくもの。平時用のフレームワークから緊急時用のフレームワークをつくり、さらに、より質の高いアウトプットを出すことができるフレームワークを構築する、といったように進化させていきます。
本章で紹介するのはプロダクト開発のフレームワークの「基礎」です。
「Core、Why、What」の3つの視点を、「Core→Why→What」の順に持つように意識してみてください。
Coreを固めて、Whyを満たして、Whatをつくる
Core、Why、Whatとは次のようなことを表します。
- Core:核心部分。自社の優位性は何か、どのような価値を提供できるか、を問う。
- Why:ユーザーが求める理由や市場が求める理由を検討する。
- What:何を、どのようにつくるかを考える。

どれだけ優れた企業でも、自社のCoreを著しく超越したプロダクト(製品、商品)をつくることはできません。
例えば、格安化粧品をつくっているメーカーが、高級素材を使って高級ブランドを立ち上げても、うまくいかないでしょう。ミリ・レベルの精度を持つメーカーが、ナノ・レベルの製品をつくるようになるには相当の時間を要します。
マーケターは、プロダクト開発のなかで、自社の優位性や自社の資源を活かしてどのような価値を生み出すことができるのかを検討することが大切です。
Coreを固めたら、次にプロダクト開発の方向性を検討します。
従来製品が陳腐化して、新製品を開発しなければならないとき、従来のやり方を踏襲していては、せっかくつくった新製品でもすぐに競争力を失ってしまうでしょう。
そこで、ユーザーや市場が、なぜ(Why)従来製品に飽きてしまったのか分析する必要があります。
Whyの検討は、まずは、あえてCoreに縛られず進めましょう。
Coreに縛られていると、「市場は確かにそれを求めているけど、当社の技術力では開発できない」といった、後ろ向きの議論になってしまうからです。
企業は、自社のCoreを「著しく」超越したプロダクトをつくることはできませんが、「1歩でも2歩でも」前進しないと進化できません。
Coreを度外視してWhyを検討することで、可能性やチャレンジが芽生えてきます。
ただ、Whyの検討が大詰めを迎え、Whatに移行できる状態になったら、Coreを再度検討する必要があります。
ここでCoreを確認することで、先走った理想を少し現実に戻すわけです。
プロダクト開発は、実際に物理的に存在するモノをつくっていく過程なので、「では具体的に何(What)をどのようにつくるのか」という問いに答えていかなければなりません。
ものづくりの現場では、つい、この「では具体的に何(What)をどのようにつくるのか」を先行させてしまいがちです。
しかし、CoreとWhyの検討を経ずに、いきなりWhatに飛びつくと「労多くして功少なし」なプロダクトができあがるでしょう。
凝っているけど、高性能だけど、安価だけど「ほしくない」と思われてしまう製品が存在するのは、What先行の開発を進めているからです。
Whatはいわば、細部の詰めです。細部へのこだわりは、全体の骨格がしっかりできているときに生きてきます。
プロダクト開発フレームワークの応用編「デザインスプリント」
「Core→Why→What」がプロダクト開発フレームワークの基礎編だとすると、「デザインスプリント」(Design Sprint)は応用編といえます。
デザインスプリントは、アメリカのジェイク・ナップ氏らが著書「SPRINT 最速仕事術~あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法」で紹介した、5日間でプロダクト開発の大半を済ませてしまおう、というフレームワークです。
スピード最優先、集中の5日間
デザインスプリントが「5日間」という短いタイムリミットを設けているのは、より多くのことをより速く成し遂げたほうが、プロダクトの質が上がると考えているからです。
デザインスプリントの5日間は「調査」が終了している段階から始まります。
- 1日目:自分たちが達成したいことを挙げ、課題を探します。
- 2日目:解決策を複数出し、そのなかから最善のものを決めます。
- 3日目:プロトタイプ(試作品)を考え、設計します。
- 4日目:プロトタイプをつくります。
- 5日目:プロトタイプを使ってユーザー・テストをして、反応を集めます。
普通のデザイン開発では、課題を精査して、解決策を複数出し、最善に策を決めるだけでゆうに1週間はかかりますが、デザインスプリントでは、それを2日間(1日目と2日目)で済ませてしまいます。
プロトタイプを考えた翌日に実際にプロタイプをつくってしまうことは、リスクが大きいと感じるかもしれませんが、最近は3Dプリンターが値下がりするなど、プロトタイプ製作のコストも時間も労力も大幅に減っています。
デザインスプリントがこれだけ急ぐには、「頭のなかにあるものをとにかく吐き出す」ことを重視するからです。
「いいかな、悪いかな」「正しいかな、間違っているかな」と考えてから吐き出すのではなく、いいものも、悪いものも、正しいものも、間違ったものも、とにかく出してしまうのです。
そして、「OK」か「NG」かを素早く判断します。
短期間で大量にアイデアを出して大量に決断することで、検討が深まるわけです。
まとめ
プロダクト開発のスピードを上げるには、フレームワークの導入が有効です。
フレームワークは定期的なメンテナンスが必要になりますが、その作業すら業務の効率化に寄与します。
一度フレームワークを手にしてしまえば、流れるように精度が高い仕事をこなせるようになるので、試す価値は十分あります。
フレームワークは確実にプロダクト開発を進化させるでしょう。
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