中国は、OMO(Online Merges with Offline)の考え方に基づいた施策が数多くなされていて、OMOの先進国として知られています。
ここでは、OMOの意味や中国で行われているOMO施策の紹介だけでなく、今後期待されることについても解説していきます。
OMOって一体なに?
OMOは、英語で「Online Merges with Offline」の頭文字を取ったものです。
和訳すると「オンラインとオフラインの融合」という意味をもちます。
従来のビジネスモデルでは、オンラインの企業が実店舗を構えるオフライン戦略が主流でした。
いわゆる、O2O (Online to Offline)と呼ばれるビジネスモデルです。
しかし、O2Oでビジネスを運用している企業の多くがAI(人工知能)やIoTなどのIT技術の進歩により顧客管理の手法に限界を感じたことから、OMOのビジネスモデルに転換していく傾向にあります。
OMOは、オンラインとオフラインの境界線をなくして、あらゆる場面でユーザーがそのときに一番使いやすい方法を選べる仕組みを構築することです。
OMO(オンラインとオフラインの融合)という言葉は、過去にGoogle中国のトップを務め、SINOVATION VENTURESの創業者でもある李開復(リ カイフ)によって提唱されました。
従来のビジネスでは、オンラインとオフラインが区別され、それぞれに施策方法やシステムを構築する仕組みでしたが、IT技術の進歩によりオンラインとオフラインの境界がなくなり、これまでのオフラインの仕組みに加えて、オンラインでの戦略が一般的になりつつあるのです。
OMOの先進国・中国で行われている施策とは?
現代の中国で、OMOの考え方は一般的となっています。
その背景には、近年急速に技術が進歩しているスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の仕様登録者数が増加していることが挙げられます。
その背景にあるのが、キャッシュレス化が進んでいること。
中国のビジネス社会では、キャッシュレス化の浸透によってモバイル端末の普及が進み、IDによる顧客管理が必須となっています。
OMOの先進国でもある中国のビジネスに関する考え方は、「顧客がオフラインで購入するのも、オンラインで購入に結びつけるのも一緒」ということ。
例えば、ある顧客が水を購入したいと考えたとき、コンビニエンスストアで水を購入するのと、ECサイトなどのインターネットで購入するのでは、結局同じという考え方なのです。
それでは、OMOの先進国である中国は、実際にどのような施策を行っているのか見ていきましょう。
中国では、買い物客が欲しいものを見つけたら、購入したい商品に添付されているQRコードをモバイル端末で読み取ります。
すると、買い物客は商品の口コミなどの評価を確認することができます。
このとき、オンライン企業側では、顧客が商品を手に取ったことやQRコードで読み取った行動だけでなく、顧客のあらゆる情報が蓄積されていきます。
つまり、OMOを取り入れたことで顧客のデータを企業側が管理することが安易になり、戦略立案や顧客動向の分析に役立てたりすることが可能となったのです。
OMOによって期待されることとは
OMOによって、顧客は買い物が容易に行えるようになり、企業側は顧客データの管理が安易になります。
そして、企業側に顧客データが集まることで、商品の販売方法や開発などに活かされたり、SNSによる情報発信によって顧客の獲得もしやすくなりました。
このような背景から、企業はOMOによるビジネスを構築することで、情報の価値や売り上げを向上させやすい時代を迎えました。
もともと中国の産業では、商品の機能や魅力、店舗設計ではなく、顧客が商品に触れて実感する体験や経験などが重要視されていて、性能や品質の高い商品でも、長い行列に並んだり支払いに手間がかかる場合、中国では敬遠されてしまいます。
このような社会的背景や個人情報の管理が必須であることから、今後、OMOの考え方を軸としてビジネス展開する企業も増えていくでしょう。
しかし、OMOは個人情報を取り扱うため、セキュリティ面においては配慮が必要です。
個人情報の流出などの被害を出さないためにも、企業のセキュリティ対策や安全性の向上が課題です。
中国で行われているOMOの事例
中国には、
- 「Baidu」
- 「Alibaba」
- 「Tencent」
という有名なインターネット企業があります。
このうち、「Alibaba」と「Tencent」は、「Alipay」や「WeChatPay」という決済サービスを導入してことで有名です。
それでは、中国で実際に行われているOMOの実例を紹介していきます。
「周黒鴨」×「WeChatPay」のスマート店舗
インターネット企業の「Tencent」は、飲食業界のスマート化にも取り組んでいます。
その具体例が、鴨肉加工食品の小売店「周黒鴨」と「WeChatPay」との提携です。
顧客が初めて店舗に来店するときにチャットアプリ「WeChat」上でアカウントを取得して顔認証をしておけば、次回からは顔認証のみで入店が可能となります。
そして、お会計はセルフレジに搭載されている認証装置で顔認証することで、決済が可能です。
つまり、現金やクレジットカードを財布から出したり、スマホでQRコードを読み取ったり、オンライン決済する手間を省くことができるのです。
AIの進歩によるスマート化が実現した例であり、中国でいかに商品・サービスの購入に対するスピードへのニーズが高まっているのか、という事例だといえます。
ダウンロードの必要なし!ミニプログラム「小程序:シャオチェンシュ)」
インターネット企業「Tencent」は、2017年に、インストールやダウンロード不要のミニプログラム「小程序:シャオチェンシュ)」をリリースしました。
このプログラムの機能は画期的であり、駅でQRコードをスキャンするだけで電車の発着時刻を教えてくれる機能などが搭載されています。
このミニプログラム「小程序:シャオチェンシュ)」は、チャットアプリ「WeChat」上で動くプログラムであり、導入さえしておけば自由に扱うことができます。
ちなみに、日本では電車の発着時刻を確認する際は、モバイル端末などに専用のアプリをインストールしますよね。
そして、起動して操作してようやく発着時刻を確認できるというシステムです。
中国では、このような手間のかかる行動は敬遠されてしまいます。
つまり、行動1つ1つを簡素化し、容易に扱えるシステムが好まれる傾向があるのです。
インターネット企業「Tencent」は、ミニプログラム「小程序:シャオチェンシュ)」でオンラインとオフラインを融合させました。
まとめ
O2Oのビジネスモデルに代わりOMOが主流となっている現代では、オフライン店舗とオンライン店舗の境界がなくなりつつあります。
そして、OMO先進国の中国では、日本と比べても遥かに顔認証の導入やキャッシュレス決済が進んでいます。
OMOの導入にあたり、セキュリティ対策に関する課題は残りますが、ユーザーが便利なツールを求めていることから、今後もOMOは成長し続けることでしょう。
中国で実際に行われているOMOを例に、我が国日本でも取り組みを強化している企業が増えています。
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<参考>
- オンラインとオフラインの融合「OMO」とは(Techfirm Blog)
https://www.techfirm.co.jp/blog/online-merges-offline - OMOとは?オムニチャネルの次の新しいマーケティング概念であるOMOを徹底解説!(ecbeing)
https://www.ecbeing.net/contents/detail/181 - OMOとは:O2Oとの違いとアフターデジタルのマーケティング(EC-ORANGE)
https://ec-orange.jp/ec-media/?p=25725