マーケティングにおいて重要視される「ニーズ」と「シーズ」という考え方。
「ニーズ」や「シーズ」という言葉は耳にしたことがあるけれど、一体どういう意味を表すのか分らない、という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、ニーズとシーズの意味と違い、マーケティング戦略におけるニーズとシーズの重要性について紹介します。
意味や使い分け方が良く分からないという方は、ぜひ参考にしてください。
ニーズとは?
ニーズとは、「必要」「需要」「要求」の意味をもつキーワードであり、マーケティング用語として用いられる際には、「消費者が具体的に求めているもの」「生活する中でないと困るもの」を表します。
ニーズの具体例として挙げられるのは、食品やスマートフォン、衣類や車など。
「のどが乾いたから水が飲みたい」「連絡するためにスマートフォンが欲しい」「移動するために車が欲しい」など、「必ず要るもの」として捉えられるのがニーズです。
商品やサービスを購入する際も、「必要性」があるかどうかが重視されます。
例えば、「仕事で必要だからスーツが欲しい」「交通手段として車が欲しい」など。
しかし、田舎に住む人にとっては移動手段としての車が必要である一方、交通網が発達している都会に住んでいる人にとっては車は必ずしも必要とされないもの。
このように、ニーズは、すべての人にある感覚であるものの、すべての人が等しく感じるものではないものです。
したがって、ニーズを分析する際には、ターゲットをしっかり見極めることが重要となります。
シーズとは?
シーズとは「種」のこと。
企業が持つ独自の材料や素材、技術力や企画力などを指します。
これらの素材や技術力を生かして生み出された新しい商品やサービスで新しい価値を消費者に提供し、ビジネスの構造を変える可能性をもっています。
ニーズ志向とシーズ志向の違いは何?
前項で、ニーズとシーズの意味について紹介しましたが、ここからは、ニーズ志向とシーズ志向の違いについてみていきましょう。
ニーズ志向とシーズ志向の違いを一言で表すと、「消費者視点」なのか「生産者視点」なのかということ。


具体的には、「ニーズ志向」とは、消費者が求めているもの、既に顕在化しているニーズを追求して商品を作り、その商品やサービスの優位性をアピールして売り出すスタイルであり、「シーズ志向」とは、企業が、自社の技術やアイデアを元に、新しい商品やサービスを生み出し、市場を新たに作っていくスタイルです。
ニーズ志向の例には、前項で挙げた食品やスマートフォン、車や衣類などがあります。
ニーズ志向の商品やサービスは、いずれも需要が高く、消費者の需要が途切れることがありません。また、すでにある商品であっても、他社より高機能で価格の安い商品であれば、消費者のニーズを満たすことができます。
その例として挙げられるのが、中国企業が製造・販売する低価格帯のスマートフォンです。
すでにニーズのあるスマートフォンという分野の市場において、中国企業のスマートフォンは低価格・高品質という優位性でアピールし、商品を売っています。
シーズ志向の例としては、iPhoneやGoogle Glass、自動操縦車などの製品が挙げられます。
これらの製品は、類似品のない革新的な商品として市場に売り出され、消費者のニーズを獲得したことで大ヒットしました。
シーズ志向で生み出された商品やサービスが売れるには、消費者の潜在的なニーズを満たすものであることが大切です。
ニーズ志向とシーズ志向のそれぞれのメリットについて紹介してきましたが、それぞれの志向にはデメリットもあります。
ニーズ志向のデメリットは、類似する商品やサービスを販売する企業が他にもあるため、市場の独占が難しい、ということ。
一方、シーズ志向のデメリットは、企業側の技術やアイデアに基づいただけの商品やサービスでは、消費者が興味を持たず、販売しても売り上げにつながらないということ。
つまり、ニーズ志向もシーズ志向も、リサーチによって市場で競争力のある商品やサービスを生み出すことが重要です。
ニーズとシーズは戦略を立てる際に重要
ニーズとシーズは、マーケティングで良く用いられる用語です。
前項までに、ニーズとシーズの意味やその違いについて紹介してきましたが、どちらもマーケティング戦略を立てる際に重要です。
市場を独占できるような新しい独自の商品やサービスを生み出すには、シーズ志向による開発が必要となりますが、消費者のニーズとかけ離れた商品やサービスでは、売れません。
つまり、シーズ志向だけで生み出した商品やサービスから消費者ニーズを生み出すことは難しいことであり、シーズ志向から売れる商品やサービスを生み出すには、市場を調査して、潜在的なニーズを知ることが大切となります。
その一方で、市場の調査を重視しすぎると、生まれた商品やサービスが、既に市場にある商品やサービスと似たものであったということも。
このことから言えるのは、市場調査は大切だけれど、市場調査を重視しすぎないことがシーズ志向では大切となるということです。
また、シーズ志向でビジネスをすすめる企業には、資金力と世の中の流れを読む力が大切になります。
今、企業におけるマーケティングで重視されているのは、シーズ志向よりニーズ志向。
類似品が数多くある市場では、市場調査によって多様化する消費者ニーズを掘り下げ、ニーズに合う商品やサービスを生み出してタイミング良く提供するというニーズ志向によるマーケティング戦略が有効です。
ニーズ志向でビジネスをすすめる場合、既存の商品やサービスと似て異なるものを生み出すアイデア力が重要となります。
まとめ
いかがでしょうか。
「ニーズ」と「シーズ」は、どちらもマーケティングで良く用いられる言葉ですが、その言葉のもつ意味は大きく異なります。
それぞれの意味を正しく理解して、使い分けられるようにしましょう。
また、マーケティング戦略を立てる際には、消費者視点を大切にするのか、新しい価値観を生み出す生産者視点を大切にするのかによって戦略が異なります。
ビジネスを発展させるには、ニーズとシーズはどちらも重要です。
重視する方向性によって、ビジネスの進め方を検討していくと良いでしょう。
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