マーケティングにおけるポジショニングの意義

マーケティングはプロセスが重要で、基本的に次のように流れていきます。

マーケティング ポジショニング

この記事で解説するポジショニングは、「市場調査→セグメンテーション→ターゲティング」を終えた後の作業になります。

ポジショニングの目的は、顧客に自社の製品やサービスを印象づけることです。

これに失敗すると、マーケティングが成功しないのは明らかです。

したがってマーケターのなかには「ポジショニングが最も重要」と指摘する人がいるほどです。

ポジショニングの概要

企業のマーケティング・チームがポジショニングに取り組むのは、市場調査とセグメンテーションとターゲティングが済んだ後になります。

つまり、チームのメンバーは、市場の様子や消費者マインド、自社の強みと弱みをしっかり把握できていることになります。

その状態で、ポジショニングでは何をするのでしょうか。

 消費者の印象に残るナンバー1を目指す

ポジショニングでは、消費者の心にアプローチして、自社製品を印象付けることを目指します。

このときマーケティング・チームが注意しなければならないのは、ナンバー1になることです。

なぜなら、消費者はナンバー1の商品しか思い浮かべないからです。

実験をしてみましょう。

次の( )のなかに何を入れるでしょうか。

・コーラといえば( )

・ポテトチップスといえば( )

・ファストファッションといえば( )

瞬時に、(コカ・コーラ)(カルビー)(ユニクロ)が入ったのではないでしょうか。ペプシが好きな人も、湖池屋のポテトチップスが好きな人も、しまむらの服をよく買う人でも、「といえば」と聞かれると、つい(コカ・コーラ)(カルビー)(ユニクロ)を想起してしまうのです。

これがナンバー1の強さです。

この強さをマーケティングに活かそうというのが、ポジショニングの考え方です。

しかし、すべての企業やすべての商品やすべてのサービスが、その市場でナンバー1になれるとは限りません。

だからこそ、ポジショニングが重要になるのです。

なぜ「ポジショニングが最も重要」といわれるのか

ポジショニングとは「位置を獲る」という意味です。

では、マーケティング・チームは「どの位置」を獲ればいいのでしょうか。

もちろん、ナンバー1の位置です。

その市場のトップ企業でなくても、また、トップ集団に入っていない企業でも、ナンバー1を獲ることができます。

マーケティング・チームでオリジナルのジャンルを定め、そのジャンルのなかでナンバー1を目指せばいいのです。

例えば、中小の食品メーカーが新規事業としてポテトチップスの製造を始めるとします。この食品メーカーが、カルビーよりも多くポテトチップスを生産・販売することは不可能です。

しかし、「酒粕で味付けたポテトチップス」というジャンルを定め、そのジャンルのなかでナンバー1を目指すことは現実的です。

この説明を聞いた人のなかには「オリジナルのジャンルを定め、そのジャンルのなかでナンバー1を目指すのは姑息ではないか」と感じる人がいるかもしれません。

しかし、その考え方は正しくありません。

なぜなら消費者は、ナンバー2の商品を待っていないからです。ナンバー2の商品が市場に投入されても、消費者は既存のナンバー1の商品を買い続けるでしょう。つまり、売れません。したがってマーケティングを行う意味もありません。

マーケティングとはどのように売るかを考える営みであって、消費者が待っていないものを無理矢理売る方法を考えることではありません。

つまり、マーケティング・チームが考える「オリジナルのジャンル」とは、消費者が気がついていないだけで潜在意識のなかでは欲していたジャンルなのです。

オリジナルのジャンルを考えることこそ、マーケティング・チームの仕事の醍醐味であり、そのジャンルで「絶対に勝つ」方法を考えることが、チームメンバーの責務になります。

ポジショニング・マップとは

ポジショニングに取り組むとき、次のようなポジショニング・マップをつくるとよいでしょう。

高価
定番 新機軸
安価

例えば「酒粕ポテトチップス」は、普通の塩味やコンソメ味とはかなり違う味になるので、新機軸の商品になります。また酒粕を加工してポテトチップスにまぶさないとならないので、コスト高になり販売価格も高くなります。

したがって酒粕ポテトチップスは以下のポジションになります。

定番の塩味ポテトチップスとは対極の位置になることもわかります。

高価 酒粕ポテトチップス
定番 新機軸
塩味ポテトチップス 安価

ポジションが塩味ポテトチップスと対極になるということは、マーケティングも塩味ポテトチップのマーケティングと真逆になるはずです。

ポジショニングの次の作業工程はマーケティングミックスです。

マーケティングミックスでは具体的な施策を考えていくので、ポジショニングの段階でマーケティングの方向性をしっかり決めておく必要があります。

ポジショニングで重視したい6つのポイント

ポジショニングの作業をするときは、次の6つのポイントを押さえておいてください。

・価格(高いか安いか)

・新しさ(新しいか伝統的か)

・機能性(機能的か趣味的か)

・デザイン性(デザイン重視か実用性重視か)

・感情面(感情に訴えるか実用性重視か)

・社会性(社会的か個人的か)

この6つのうち1つでも多く含まれた商品やサービスは、ヒットする確率が高くなります。

ただ、お互いに矛盾する場合があるので、6つすべてをそろえる商品やサービスをつくることは容易ではありません。

先ほど、以下のようなポジショニング・マッピングをつくりました。

高価
定番 新機軸
安価

これは、価格と新しさを検討したわけです。

マーケティング対象となる商品やサービスによって、次のようなポジショニング・マッピングをつくることもできます。

デザイン性
趣味的 機能的
実用性
感情に訴える
個人的 社会的
性能を重視する

このように6つのポイントを変えながら、自社製品がナンバー1を獲ることができるポジションを探していきます。

まとめ~市場を創造する楽しさ

ポジショニングの仕事を、既存の市場から分け前をもらう、という思考で進めると楽しくないでしょう。

そうではなく、新しい市場を創造する、と考えるとポジショニング業務が楽しくなります。

消費者が「なるほど、こういう市場があったのか」と驚くようなポジションやジャンルを考案してください。


<参考>

  1. ポジショニング戦略|マーケティングで重要な差別化と独自化の方法(Web活用術)
  2. ポジショニング(AXIS)