"marketing" and "innovation"

ドラッカーが提唱する「マーケティング」と「イノベーション」とは

マーケティングは、客を集めて商品やサービスをたくさん売る取り組みであり、イノベーションは、これまでに存在しなかったものを生み出して大成功に導くこと。つまり、マーケティングとイノベーションは全然違うものである。

――このように理解している人がいたら、考えをあらためる必要があるかもしれません。

なぜならマーケティングとイノベーションは切っても切れない関係にあるからです。

経済の大先生は「イノベーションはマーケティングの初歩である」と言っています(*1)。

*1:http://service-innovating.jp/pdf/22_miura_vol5_2011.pdf

「イノベーションはマーケティングの初歩である」とは

マーケティングの神様、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker、1909~2005年)は著書「イノベーションと企業家精神」のなかで、イノベーションはマーケティングの初歩であると説いています。

この指摘は、マーケティングとイノベーションとは別のものであると考えていた人を驚かすものでしょう。

しかし、マーケティングとイノベーションは両方同時に追い求める必要があります。

ドラッカーは企業を

  • その目的は顧客の創造
  • 経済成長を担う機関
  • 発展する経済にのみ存在しうる

とし、

  • 静的な社会における中間商人は、手数料収入を得るブローカーにすぎない(企業とは呼べない)

と述べています。つまり、ドラッカーの見解によると、企業は成長と拡大と変化を起こす機関であり、それをしない集まりは単なるブローカーにすぎないわけです。

そして、企業がこれだけの大事業を行うには、マーケティングもイノベーションも必要になるのです。

「本物の企業」を把握できたところで、そもそもの疑問に戻りましょう。

ドラッカーは、マーケティングが欠落した組織は企業ではなく、企業は、マーケティングを通して自らの目的を達成すべきだ、と述べています。このことから、マーケティングは、企業にとって「大きな取り組み」であるといえます。

また、ドラッカーは、イノベーションについて、より優れた商品やサービスを創造すること、としており、このことから、イノベーションは企業にとって「突出した取り組み」であるといえるでしょう。

ドラッカーはマーケティングをこうみている

ドラッカーは、マーケティングの姿を「かつては、工場が生産した商品を売っていたが、今は、市場が必要とするものを工場で生産して売る。」と説明しています。

現代の経営者とマーケターは、「工場が生産した商品を売る」企業と、「市場が必要とするものを工場で生産して売る」企業では、後者が成功することを知っています。

「工場が生産した商品を売る」企業と、「市場が必要とするものを工場で生産して売る」企業の違いは、生産から商品販売に下っていくのと、市場から生産に上っていくこと。つまり、商品から始めるか、市場(顧客)から始めるか、の違いです。

ドラッカーは、マーケティングは営業活動よりも大きな活動であり、営業部門だけにマーケティングを任せてはいけないとしていますが、マーケティングは、顧客の観点から企業の全事業を見渡し、全社的に取り組む必要があるもの。

全社的に取り組むには、顧客のニーズを満たし、顧客に貢献することが求められます。

企業が顧客のニーズを満たす製品やサービスをつくれば、顧客はその製品・サービスを自ら買いにきます。つまり、究極のマーケティングは、企業活動としての営業を不要とするものであり、営業活動を一生懸命行って「買って買って」と顧客にせっつくことは、ドラッカーからすると、マーケティングが足りないということになるのです。

ドラッカーはイノベーションをこうみている

さて、マーケティングに真剣に取り組んでいる経営者やマーケターほど、「一生懸命マーケティングをして顧客のニーズを把握して、商品やサービスを改良しているのに、飛ぶように売れる状態にはならない」と感じるものです。

その状態から脱却できないのは、イノベーションを起せてないからかもしれません。

ドラッカーは、イノベーションを起したいと思っている企業に、次のようなアドバイスを送っています。

  • イノベーションは、事業のあらゆる段階で行われる
  • 設計、製品、価格、顧客サービス、マネジメント、組織づくりのそれぞれに、イノベーションがある

この2項目だけでは、なかなかイノベーションの本質を見抜くことはできないかもしれません。なぜなら、この2つのアドバイスは「当たり前のこと」をいっているように聞こえるからです。

しかし、「イノベーションは、発明そのものではない。イノベーションは技術だけではない。」と加えるといかがでしょうか。

イノベーションは発明と似ています。確かに、電気を発明すれば大きなイノベーションになります。しかし、すべての企業が、電気のような世紀の大発明をしなければならないわけではありません。

現代の経営者やマーケターが考えなければならないイノベーションとは、「社会的なコンセプトであり、経済的なコンセプトである。」といえるでしょう。

まとめ

ドラッカーは

「マーケティングは全社的な取り組みであり、イノベーションとは社会的・経済的コンセプトづくりである」

としています。そして、

「マーケティングが説かれ、教えられ、信奉されながら、それを実行するものがあまりに少ない」

とも述べています。本物のマーケティングと本物のイノベーションは、簡単には成立しませんが、企業はマーケティングとイノベーションの両方に取り組むことが大切です。

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<参考>

ピーター F. ドラッカー

ドラッカーにおける「マーケティング」と「イノベーション」