効果的なマーケティングを行うにはターゲティングが重要となりますが、ターゲティングにおいて、位置情報を活用する動きが進んでいます。
位置情報を活用するメリットや位置情報を取得する手段、実際のマーケティング事例について、まとめてみました。
位置情報がマーケティングに有用な理由とは
近年、スマートフォン等の位置情報を活用したマーケティング手法が広がりを見せています。
位置情報がマーケティングに有用な理由は、WebサイトやSNSなどから取得したユーザー情報と比較して、「よりリアルなユーザー行動」が把握できるため。
従来のオンラインマーケティングでは、オンラインから離れたユーザーのリアルな行動を把握することが難しく、クーポンやアンケートといったアナログ手法に頼る部分も多くありました。
しかし、スマートフォン等の位置情報を活用すれば、オフライン後のユーザーのリアルな行動を把握することが可能となります。
オフライン後の行動履歴を知ることができれば、高精度なマーケティングが可能となるのです。
位置情報を取得できる3つの手段
位置情報を取得する計測手段には、「GPS」「ビーコン」「Wi-Fi」の3つがあります。
それぞれどういうものなのか、メリット・デメリットをあわせて、以下で詳しく解説します。
GPS
GPSの正式名称は「Global Positioning System」。
知っている方も多いと思いますが、GPSは、宇宙にある測位衛星から送られる情報から位置を特定するシステムです。
もともと軍事用として使用されていたものですが、民生用としてカーナビゲーションなどに活用されてから、広く普及。
現在はカーナビのほか、タクシー業界や地図アプリ、防犯やゲーム、スポーツやカメラなど、多用途に使われています。
しかし、GPSは衛星を使うため、電波が遮断される建物の中や高架下、地下などで効果を発揮できないというメリットも。したがって、大都市圏などの都市部は苦手なエリアでもあります。
Wi-Fi
Wi-Fiとは、IEEE802.11規格に準拠する無線LANシステムのこと。Wi-Fiルーターがあれば、スマホやタブレット・パソコン等のWi-Fi対応端末と接続して使用することができます。
WiFiを活用すれば、電波強度と滞在時間、営業時間などを分析することにより、位置情報を取得することができます。
GPSを活用できない建物や地下でも活用できるのがメリットとして挙げられますが、ホットスポットの範囲から外れると利用できず、アクセスポイントが多くないと正確な位置情報の取得が困難なことがデメリットとして挙げられます。
ビーコン
ビーコン測位は、音楽データ通信などでおなじみのBluetoothを利用した屋内測位システムのいことです。ビーコンの技術は、正確には「Bluetooth Low Energy」を使用するシステムであり、屋内空間に設置することにより、スマートフォンの位置情報を取得することができます。
設置が比較的簡単で利用しやすい点がメリットとして挙げられますが、電波干渉によって精度が著しく落ちるために、信号の半径が決して広くはありません。
位置情報によるマーケティング事例
続いて、実際に位置情報によるマーケティング手法を駆使している具体的な企業の活用事例を見てみましょう。
アサヒビール
アサヒビールは、LINEが提供する「LINE Beacon」を採用しています。「LINE Beacon」とは、ビーコンを商品棚に設置し、Bluetoothを介してLINEのアプリに情報を発信するというシステム。LINEユーザーがビーコンの通信範囲内に入ると、LINEアプリがサーバーと通信し、キャンペーン告知やクーポンなどの情報をユーザーのスマートフォンに送信する仕組みです。
同社は、2019年に実施した3つのキャンペーンにLINE Beaconを利用しました。同年8~10月に大手スーパーなど計2万7000店を対象に実施したキャンペーンでは、一部チェーン店の商品棚にビーコンを設置。LINEでアサヒビールのアカウントと「友だち」になっている客が棚に近づくと、ビーコンからキャンペーン情報が届くようにしたのです。
対象店舗で対象商品を購入したレシートを送ると、商品券やポイントなどが当たるプレゼントを実施し、好評を博しました。
Francfranc
雑貨・家具販売店を運営するFrancfrancでは、Eコマースショップを展開してネット通販を行っていますが、売上の9割は実店舗が占めています。そこで、同社は、来店率向上のために広告出稿を活用しました。
Francfrancは、来店者が広告を見て来店したのかどうかを把握するために、位置情報をもとに来店を促す広告と、ダミーの広告とを比べることにより、位置情報を使った来店計測を実施したのです。
その結果、ダミー広告に触れた人よりも、位置情報を活用して来店を促す広告に触れた人のほうが、来店率が62%も上昇。位置情報を使った広告が、来店促進に効果があることが実証されたといえます。
サンリオピューロランド
サンリオピューロランドでは、Wi-Fiのアクセスポイントを使って、モバイル広告を見た人が実際に来場したかどうかを検証する取り組みを2018年から始めています。
この位置情報マーケティング導入のきっかけとなったのは、これまでに出稿していたネット広告において、広告の効果を測定することができず、社内でネット広告の効果をアピールする手段がなかったこと。
また、来場者がどのように広告に触れたのか、来場者の日常での生活ぶりがまったく見えてこないといった課題を抱えていたのです。
そこで同社では、位置情報データプラットフォームを手掛けるベンチャー企業である、クロスロケーションズの「Location AI Platform」を導入。
AIが提案した顧客エリアに広告を配信したところ、効果を確認することができたのです。また、広告配信の費用対効果の基準となるデータを収集できたことから、社内の広告配信の仕組みづくりにも着手。
位置情報から来場者がよく利用する園内のエリアや施設、ショップ等のリストが把握できるようになったため、より効果的なマーケティング実績を得ることができたのです。
まとめ
位置情報の活用により、「よりリアルなユーザー行動」が把握でき、高精度のマーケティングが可能となります。
今回紹介した内容を参考に、位置情報の活用を進めてみてはいかがでしょうか。
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参考
デジタルマーケティングを加速させる位置情報活用の最前線(マイナビニュース)