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「イシュー」とは|アイデア出しで重要な「イシュー」について分かりやすく解説

「それはいいアイデアだね」という言葉は、ビジネスシーンで頻繁に登場します。

しかし、無数のアイデアのなかで芽が出るのは、ほんの一部です。そして、芽が出たアイデアから花が咲くのは、その一握りだけ。

経営者もビジネスパーソンも、花が咲く確率が高いアイデアを探し求めていると思いますが、アイデア出しのとき「イシュー」から始めることが大切です。

ビジネスのアイデア出しをイシューから始めるのは「当然のこと」と思われがちですが、実行できていない経営者やビジネスパーソンは意外に多くいます。

そこでこの記事では、「イシューからアイデアを出す」ことの重要性を考察していきます。

イシューの正体

イシュー(issue)とは、論点、課題、問題という意味を持つ言葉。

イシューの重要性を説いたのは、ヤフーの役員だった安宅和人氏であり、安宅氏は著書「イシューからはじめよ」(英治出版、2010年)で、価値ある仕事は、イシューの質で決まると指摘しています。

客のイシューを探す

1人のビジネスパーソンにとってのイシュー(課題や問題)も、ある会社のイシューも、その正体は「客のイシュー」です。

「自分や自社の客のイシュー」が「自分や自社のイシュー」になっていなければなりません。

例えば、Webシステム会社が仕事を獲得するには、客のWebシステム上のイシューを解決できなければなりません。つまり、Webシステム会社は、「客のイシュー」を「自社のイシュー」として考えなければなりません。

客のイシューを自分や自社のイシューに置き換えることができたとき、よいアイデアが生まれ、よいビジネスになります。

「客のイシューの自社イシュー化」は意外にできていない

客のイシューを自社のイシューにすることは、簡単なようでいて、難しい作業です。

ではなぜ、客のイシューの自社イシュー化は簡単に見えるのでしょうか、そしてなぜ、実際は難しいのでしょうか。

「企業の当然の役目だ」と思うと簡単に見えてしまう

客のイシューを自社のイシューにすることが、なぜ簡単に見えるのかというと、企業の存在意義は、客にソリューションを与えることにあり、企業が存続できるのは、客のイシューを解決し続けているからです。

しかし、経営者の「我が社は客のイシューを解決し続けている」という自負が強すぎると、客のイシューを見失うことになりかねません。

客のイシューは意外に見えづらい

客のイシューは、簡単には見えません。

例えば、「チーズをベースにしたスイーツが食べたいけど、『これだ』というものがなかなか見つからない」という客のイシューがあったとします。

スイーツメーカーがこのとき「客のイシューは見えている」と思ってしまうと、客のイシューを見失うことになります。そして、チーズスイーツの試作品を10個つくっても、その客は満足しないでしょう。

しかし、真剣に客のイシューを追求し続けたスイーツメーカーだけは、数個の試作品で、その客が満足するチーズスイーツをつくりあげることができます。

真剣に客のイシューを追求すると、例えば、客が「甘みのなかに、少しだけ塩気があると嬉しい」と思っていることを突き止めることができるでしょう。

なぜ客のイシューを見失うのか、なぜ自社イシュー化できないのか

客のイシューを自社のイシューにすることが難しいのは、経営者やビジネスパーソンが簡単に客のイシューを見失うため。

そして、客のイシューを見つけても、それを自社イシュー化できないからです。

「自社なら、自分なら解決できる」と考えている経営者やビジネスパーソンは、客のイシューを見失います。

そして、客のイシューを発見できても、「自社の、自分の解決方法なら有効だ」と考えている経営者やビジネスパーソンは、自社イシュー化できません。

つまり、「解決ありき」の思考では、客のイシューを見つけることができず、見つけても自社イシュー化することができないのです。

コカ・コーラも客のイシューを見失った過去を持つ

「イシューと解決」の関係の前に、世界的な企業であるコカ・コーラが客のイシューを見失った過去について紹介します。

コカ・コーラは、2019年に、エナジードリンク「コカ・コーラ エナジー」を販売しました。発売からわずか5週間で2,000万本を突破する好調ぶりです。

しかし、コカ・コーラは2012年に「バーン(burn)」というエナジードリンクし、すぐに撤退した過去があります。

コカ・コーラの担当者によると、バーンにもエナジードリンクに求められる成分が十分に入っていましたが、ブランド化がうまくいかず、失敗したとされいます。

エナジードリンクを愛飲する多くの人は、成分表を見て、「この成分が多く含まれるから、これを飲もう」と考えるのではなく、「レッドブルを飲みたい」「モンスターを飲みたい」など、銘柄買いをします。

コカ・コーラはバーンで、客のイシューを把握できていなかったのです。

コカ・コーラは、イシューに基づき、「コカ・コーラ」の名称をメーンにした「コカ・コーラ エナジー」をつくりました。

「べた」なネーミングですが、客はそのネーミングから「あのコカ・コーラが作ったエナジードリンク」と知ることができたのです。

「イシューと解決」ではイシューを優先させよ

「コカ・コーラ エナジー」の担当者は、バーンの失敗のあと、何度も消費者調査を行いました。バーンで失敗してから、客のイシューの探求の重要性に気がついたのです。

拡大の一途であるエナジードリンク市場に参入したものの、「優れた成分を含むエナジードリンクなら売れるはず」という思考のために、客のイシューを見失ったのです。

「解決できればいいんでしょ」はエゴでしかない

「客のイシューを解決すればいいんでしょ」と勘違いしている経営者やビジネスパーソンは少なくありません。

「客のイシューを解決すればいいんでしょ」という考えは、「当社には解決策があるから客にソリューションを提供できる」という「解決ありき」の思考です。

客が求めているのは、「単なる解決」ではなく「イシューの解決」です。

「解決ありき」の思考とは

先ほどから紹介している「解決ありきの思考」とは、解決から逆算して製品をつくったり、アイデアを練ったりする考え方のことです。

業績をあげている会社や経験豊富なビジネスパーソンは、すでに多くの解決策を持っています。

そのため、「この解決策を使えるニーズを探そう」と考えがちですが、これは、解決を優先させ、客のイシューを後回しにした考え方です。

イシューを深掘りせよ

なぜ「解決ありき」の思考では不足なのかというと、客のイシューの深掘りができなくなるからです。

客のイシューを深掘りすると、「それは、うちの会社では解決できない」という部分が見えてきてしまいます。

このとき、「解決ありき」の思考の人は「それは、うちの会社では解決できないが、こういう解決方法はありますよ」と考えてしまいがちですが、これは、客のイシューを無視したも同然です。

客のイシューを無視した解決策を、客は求めません。

「イシューと解決」であれば、イシューを優先させることが大切です。イシューを優先させるとは、イシューを深掘りすることに他なりません。

イシューを深掘りできるかどうかで決まる

成功率が高いアイデアを出すには、客のイシューを深掘りしていかなければなりません。

経営コンサルタントの田所雅之氏は著書「入門 起業の科学」(日経BP社)のなかで、客のイシューを深掘りするには、次の3点が必要であると指摘しています。

イシュー

客が抱えているイシューが深刻なほど、それを解決できるアイデアは大きな収益を生みます。なぜなら、客は、深刻なイシューを解決できるのであれば、コストを惜しまないからです。

しかし、深刻なイシューは、解決が難しいだけでなく、「イシューそれ自体をとらえること」も困難を極めます。簡単に発見できるイシューなら、客が自分で解決できているからです。

そこでアイデアを考えるときは、対象とする業界や企業について、高い専門性を活かして調べなければなりません。高い専門性とは、その業界のエキスパート並みの知識といってもよいでしょう。

そして客のイシューは、業界内や現場に眠っていることがあります。そのためアイデア出しをするときは、客の業界や客の現場に赴いて、実際のイシューを見る必要があります。

また、客のイシューは市場環境によって変化します。

例えば、小売業のマーケティングニーズは、クラウド化やキャッシュレス化が進んだことで大きく変化しています。これまでPOSレジの情報だけで十分なマーケティングができていたのに、クラウド化して情報収集の速度を上げたり、客の購買履歴を調べたりしないと、使えるデータを集められないようになりました。

客のイシューを自社イシュー化するには、市場環境の変化に敏感になっていなければなりません。

まとめ~「顧客のために」が上滑りになっていないか

客のイシューを自社のイシューにしたり、自分のイシューにしたりすることは、究極の顧客主義といえます。

ところが「顧客のために」と言い続けている企業の多くは、客のイシューを見失っています。

本気で「顧客のため」のアイデアを出すなら、すでに存在する自社の解決策を保留するくらいの覚悟が必要です。

そして、深掘りした正真正銘の本物の客のイシューに合わせて、ソリューションをアップデートしなければなりません。

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参考

イシューからはじめよ

コカ・コーラがエナジードリンク再挑戦 撤退経験から見えた勝算(日経×TREND)

「コカ・コーラ エナジー」販売好調!発売からわずか5週間で早くも2,000万本突破!(日本コカ・コーラ株式会社)

burn撤退、コカ・コーラ エナジーの戦略(エナジードリンクマニア)

入門 起業の科学 (日本語) 単行本