ファネル理論とは【マーケティングの基礎知識】

容器から容器に液体を移す時に用いられる「漏斗(じょうご)」。

注ぎ口が大きく、細い容器へも液体を漏らさずに移すことができてとても便利なものですが、マーケティング分野にもこの「漏斗」に例えた理論があります。

漏斗のことを英語でファネルといいますが、マーケティング分野のファネル理論がこれに当たります。

このファネル理論は、マーケティングで良く用いられてきましたが、最近のSNSマーケティングには適合できないとされています。

しかし、「だからこそ」、ファネル理論を知ることで、マーケティングのダイナミズムがみえてきます。

ファネル理論の基礎知識と、現代的な解釈について解説します。

なぜファネルなのか

ファネル理論がファネルと呼ばれるゆえんは、以下のイラストをみていただければ一目瞭然でしょう。

マーケティングファネル

マーケティングでは、スタート時点を大きくとらえ、見込み客が漠然と商品やサービスに接触できる機会を考えます。

その次に、購入意図を持たずに商品に接触した客に、購入の意図を持ってもらうキャンペーンを展開します。

そして最後に、購入を決断させる仕掛けを用意するのです。

ファネル理論のポイントは次の2点です。

  • 認知度アップから始める
  • 全員に購入させなくてよい

認知度アップから始めるということは、裏を返すと、顧客獲得から始めるわけではないということです。

マーケティングの最終目標は顧客の獲得ですが、それを最初に持ってこないところがポイントといえるでしょう。

また、商品を知った全員が買う必要はありません。

このように紹介すると「商品を認知した全員に買ってもらうのが理想なのではないのか」という疑問がわくと思いますが、ファネル理論では、そうは考えません。

ファネル理論では、百発百中のマーケティングはないと考えるため、最初から百発百中の目標は掲げません。少し俗な表現をすると「欲を出しすぎない」ところがポイントであり、ファネル理論は「理論」でありながら、実践的な考えに則しているといえます。

ファネル理論では、目標顧客数を設定したら、「その顧客数を獲得するためには、その何倍の人に認知させなければならないか」と逆算していきます。そうすることで、スタート時点の「見込み客が漠然と接触する」ためのキャンペーンの規模が自ずと決まるのです。

AIDMAの進化形だが、古さが目立ち始めた

ファネル理論をさらに詳しくみていきましょう。

ファネル理論は、サミュエル・ローランド・ホール氏が、自身のAIDMA理論を進化させて構築したものです。

AIDMAは、アテンション(認知)、インタレスト(興味)、デザイア(欲求)、メモリー(記憶)、アクション(行動)の頭文字を取ったものであり、AIDMA理論は、A→I→D→M→Aの順にマーケティングを展開すると、潜在顧客が「素直に」購入できるようになる、という理論です。

潜在顧客の認知を高めるには、広告活動を大規模に展開する必要がありますが、これは、ファネルの上部の広大な部分に当たります。

そして、興味を持つ人、欲求を持つ人、記憶する人と進むうちに、その人数はだんだん減ります。ファネルが、下部に向かうほど絞られていく形と同じです。

最終的に購買行動を起こす人は、認知した人の1,000分の1や10,000分の1になっているでしょう。

つまりファネル理論とは、AIDMA理論の「潜在顧客の人数」にフォーカスを当てたもの、といえます。

ところが、ファネル理論は古くなってしまいました。それは2000年以降になって、ビジネスシーンの中心にインターネットが登場したからです。

それにともなって、ファネル理論もリニューアルが求められるようになりました。

SNSの「拡散」機能を理論に盛り込む

ファネル理論は「たくさんの人に知ってもらえれば、そのうちの何人かは買ってくれるだろう」という戦略です。

しかし、インターネットの普及とSNSツールの「せい」で、広告の価値と広告への信頼性は著しく変化しました。

消費者は「広告による認知度アップ戦略は、お金目的のもの」と疑うようになり、SNSによっていくらでも最新情報や本音情報が手に入るようになったのです。

そこでマーケティングで注目されるようになったのが「拡散」という技法です。

企業のマーケティングチームは、AIDMAのアクションで商品を購入した客に、SNSで商品情報を拡散してもらうように仕向けています。

例えば、あるメーカーのマーケターが、商品のパッケージを写真写りが良いものにリニューアルしたとします。

商品を購入した客は、インスタグラムにその商品の写真をアップして「こんなにかわいいボトルになった」と拡散してくれるというわけです。

広告は要らないのか

インターネットやSNSを使った拡散は、ファネル理論で絞り込んだ顧客たちに認知度を高めてもらう戦略です。

つまり、拡散は認知度アップの作業であり、ファネル型マーケティングでは、冒頭に位置する広告活動が、認知度アップの役割を担っていました。

では広告活動は不要になり、ファネル理論は崩壊したのでしょうか。

そうではありません。

なぜなら、SNS情報はオーソライズされていないからです。

オーソライズとは「正当と認めること」「承認されること」「正式と認定されること」と訳されますが、SNSで情報を得た潜在顧客たちは、心のどこかで「SNSの情報はリアリティがあるが、もうすこしオーソライズされてから購入したい」と考えます。

広告を疑った消費者は、真の情報を求めてSNSに向かいましたが、SNSはSNSで「素人の情報発信者が多い」という欠点を抱えていたため、消費者には「SNS情報を本物の広告で確認したい」という欲求が生まれたのです。

不安定な状態にある潜在顧客には、広告が効果的です。

広告は、「企業」が、オーソライズされた広告代理店やメディア、媒体を通じて商品をPRするもの。

つまり、ファネル効果で絞り込まれて商品の購入に到達した顧客が、SNSの「逆ファネル」効果で認知度をアップさせていくのが、現代のマーケティングスタイルといえます。

このようにファネル理論は、リニューアルして生き残っているといえるでしょう。

まとめ~進化は変化

マーケティングには、数十年にわたって揺るがない真理を説明する理論と、トレンドをとらえた理論の2種類が存在します。

ファネル理論は後者といえますが、トレンドが去ったからといって、トレンド型の理論が不要になるわけではありません。

ファネル理論は、SNSマーケティングに適応するために変化して生き残っています。

マーケターは、マーケティングの進化をとらえて、自らの業務を変化させていく必要があるでしょう。

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