「フレームワーク」を多く持てば市場分析ができる

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マーケティングの仕事に長年携わっている人が、必ずしも市場分析までできるとは限りません。マーケティングの作業が得意でも、市場や業界や消費者を見極める目を持てるとは限らないのです。

市場分析のスキルを高めたい人には、フレームワークをひとつでも多く身につけることをおすすめします。フレームワークをひとつしか持っていなければ、市場を一方向からしかみることができず、それでは市場の裏側も側面もみえません。

少なくともこの記事で紹介する8つのフレームワークは身につけておきたいものです。

フレームワークを持っている人はなぜ仕事が早いのか

フレームワークとは、考え方のコツです。

例えば工場で警告サイレンが鳴り、オレンジ色の警告灯が光ったとします。このとき作業員は119番通報したり消火器を持ったりします。それは作業員の全員が、オレンジ色の警告灯は火災を知らせていることを知っているからです。

「オレンジ色に光ったら火災を疑え」これが最も単純なフレームワークです。

考え方のコツを身につけると、考えを自動化することができます。また、余計な考えをしなくて済みます。

オレンジ色に光ったら、水漏れを疑う必要はなく、ただ火を消すことに集中すればいいのです。

この記事では8つのフレームワークを紹介しますが、ひとつでも多く獲得すれば、素早く問題に対処できたり、新しいアイデアを提案できたりします。

例えば、「オレンジ色の警告灯と赤い警告灯が同時に光ったら屋根の火災を知らせている」ことがわかれば、消火器を持ってすぐに屋根に向かうことができます。

警告灯の種類と意味を覚えるように、フレームワークを増やしていってください。

8つのフレームワークを一気に紹介

8つのフレームワークをひとつずつ解説する前に、全体像を見渡しておきましょう。

市場分析 フレームワーク

マーケティング業務に携わったばかりの人は、一気に8つのフレームワークを身につけることはできません。さらに、好きなフレームワークから身につけていくことは得策ではありません。

上記の概念図のように、まずは4C、5つの資源、イノベーター理論から身につけていきましょう。

段階が進むにしたがって、フレームワークの内容が難しくなったり管理業務的になったりするからです。

例えばPESTにおける政治に関する視点は、マーケティングを始めたばかりの人は「とりあえずは」無視しておいてよいものです。しかし担当する業務の事業規模が拡大したり、裁量が増えたりしたら、政治や社会を考慮していかなければなりません。

またPDCAは、特に管理職に求められるスキルになります。

あせらず、確実にひとつずつフレームワークを獲得していきましょう。

4Cとは【スタート段階】

4つのCとはカスタマー・バリュー(顧客の価値)、コスト(顧客が負担するコスト)、コンビニエンス(顧客の利便性)、コミュニケーション(顧客との対話)です。

すべてに「顧客の」がついているところがポイントです。

4Cは企業目線やビジネス目線をいったん脇に置いておき、顧客目線でマーケティングを考えていくフレームワークです。

5つの資源とは【スタート段階】

従来の経営資源は、人、モノ、カネといわれていました。しかし現代はそれに情報と時間を加える必要があります。

ITとネットの普及で、情報量が爆発的に増え、時間を大幅に節約することができるようになったからです。

つまりマーケターの武器の数が3つから5つへと、2つ増えたわけです。新しい武器を持っていないマーケターは、新しい武器を持っているマーケターに太刀打ちできなくなります。

イノベーター理論とは【スタート段階】

イノベーター理論は、プロモーションやキャンペーンなど、販売のテコ入れをするタイミングを計るのに有効なフレームワークです。

イノベーター理論ではまず、消費者の購入態度を次の5つに分類します。

・イノベーター:先駆者(2.5%)

・アーリーアダプター:初期採用者(13.5%)

・アーリーマジョリティ:前期追随者(34%)

・レイトマジョリティ:後期追随者(34%)

・ラガード:遅滞者(16%)

ある商品が大流行して、その後、忘れ去られたとします。その間に100人がその商品を購入したとします。その100人は、上記の( )内の割合で割り振られていく、というのがイノベーター理論です。

イノベーター理論は次のように使います。

ある企業が新製品を発売したものの、販売開始から半年が経過しても予想の13%しか達成できていなかったとします。

このとき、13%は2.5%を超えているので、イノベーターたちの取り込みには成功していることがわかります。そしてアーリーアダプターたちの一部も興味を示していると推測できます。

しかし13%は16%(2.5%+13.5%)に届いていないので、アーリーマジョリティはまったく確保できていません。

したがってその企業は、「アーリーアダプターを刺激するプロモーションか、アーリーマジョリティを鼓舞するキャンペーンを打つ必要がある」とわかります。

また、レイトマジョリティやラガードたちの購入が始まったら、そろそろ新製品を投入したり、フルモデルチェンジしたりしなければならないことがわかります。

PESTとは【第2段階】

ビジネスは、商品やサービスを売って料金をいただく営みですが、事業規模が大きくなるとさまざま分野に影響が出てきます。

例えば、事業規模が小さいうちは行政当局が見逃していたビジネスでも、影響力が強くなると法律をつくって規制をかけるようになります。

したがって社運をかけたマーケティングの責任者は、ポリティクス(政治)、エコノミー(経済)、ソサイエティ(社会)、テクノロジー(技術)のPESTを考慮しなければなりません。

3Cとは【第2段階】

3Cとは、カスタマー(顧客)、カンパニー(自社)、コンペティター(競合他社)のことです。3Cも広い視野を持たなければならない役職の人に必要なフレームワークです。

マーケティング・チームが提案したマーケティング案を実行に移すかどうかは、社長や役員が決めます。ときに、優れたマーケティング案が提案されても、廃案にしなければならないこともあります。

それは、マーケティングの視点では「顧客に喜ばれる」と判断できても、経営者たちには「顧客を取り逃がす」と映るからです。

マーケティング・チームに3Cの視点が欠けていて、経営陣が3Cの視点を持っている会社では、マーケティング案の廃案という事態が起こり得ます。

したがってマーケティング・チームのリーダーは3Cの視点を持っておく必要があります。

MECEとは【第3段階】

MECE(ミース)は「重複なく、漏れなく」という意味のMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字を取っています。

マーケティングで重複が発生すると、コスト高になります。マーケティングで漏れが発生すると、機会損失を生みます。

マーケティングを設計したら、常にMECEの視点でチェックする必要があります。

SWOTとは【第4段階】

SWOTはストレングス(強み)、ウィークネス(弱み)、オポチュニティ(機会)、スレット(脅威)の頭文字を集めたものです。

会社や人材には、必ず強みと弱みがあります。マーケティングでは、強みを活かすマーケティングと、弱みを潰すマーケティングがあります。

また、マーケティングは市場に働きかける活動ですが、その市場には機会(商機)がある一方で脅威(損失)が待ち構えています。脅威を回避したり打ち負かしたりして、機会だけを獲得していかなければなりません。

PDCAとは【最終段階】

マーケティングに限らずすべての業務は、計画(プラン)→実行(ドゥ)→改善(アクション)→評価(チェック)のPDCAで回していく必要があります。

そして評価が終ったらまた次の計画づくりに取りかかります。つまりPDCAを繰り返していくことになります。

したがって、PDCAのひとつでも欠けると、次のPDCAに支障が起きます。マーケティング・チームのリーダーは、進捗状況を管理監督しながらスタッフたちに現状がPDCAのどの局面にあるのかを認知させる必要があります。

まとめ~自分もみんなも楽になる

ここで紹介した8つのフレームワークを会得すると、急に仕事が楽になるはずです。上司の指示の意図が「丸見え」になりますし、自分が出した指示とおりにスタッフが動くようになります。

したがって8つのフレームワークを覚えると、周囲の人も仕事がしやすくなります。

マーケティングは「チームワーク」と「段階」が重要になるので、フレームワークという共通言語を理解しておくと、スムーズに仕事が運ぶようになるのです。

 


<参考>

  1. マーケティングの4C(JAIRO)
    https://jairo.co.jp/keyword/605
  2. 経営資源(BIZHINT)
    https://bizhint.jp/keyword/71831
  3. イノベーター理論(J-marketing.net)
    https://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my02/my0219.html
  4. PEST分析(ぺすとぶんせき)(ITmedia)
    https://www.itmedia.co.jp/im/articles/0812/01/news147.html
  5. 3C分析とは〜マーケティングの基礎を覚えて競合と市場を分析しよう(ferret)
    https://ferret-plus.com/66#_ebcv=3kxCAMrX.liskul2so.1
  6. MECEって?ロジカルシンキングの基本的考え方を理解して思考の抜け漏れを防ごう(ferret)
    https://ferret-plus.com/4387
  7. SWOT分析とは?|定義から方法までわかりやすく解説(LISKUL)
    https://liskul.com/swot-30711#
  8. 「PDCA」の意味、きちんと理解してる? ポイントとコツを解説【ビジネス用語】(マイナビニュース)
    https://news.mynavi.jp/article/20180323-604794/