海外4社のマーケティング事例|自社のマーケティングに役立つアイデアも

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海外のマーケティング・キャンペーンには、日本人のマーケターでは発想できないようなアイデアが詰まっています。

そのアイデアの中には、マーケティングの企画づくりに行き詰まったときに参考になるものも少なくありません。

今回は、コカ・コーラ、ナイキ、イケア、コストコのマーケティングを詳しくみてみましょう。

4社の特徴

コカ・コーラ、ナイキ、イケア、コストコのマーケティングの詳細をみる前に、それぞれの企業の特徴を大まかに確認しておきましょう。

海外 4社 マーケティング
4社のマーケティング・コンセプトの説明文を極限まで短くすると、いずれもわずか2項目に凝縮されます。

コカ・コーラとナイキは両極端なコンセプトを2つ組み合わせていて、イケアとコストコは、方向性が異なるコンセプトを2つつなげています。

この概念図を頭に入れておくと、「自社に合ったマーケティング」や「参考になるマーケティング」を発見しやすくなるでしょう。

コカ・コーラは「古い方法」をIoTで斬新にした

日本コカ・コーラ株式会社(以下、コカ・コーラ)は「Coke ON」キャンペーンで使用するスマホ・アプリが1,500万ダウンロードを突破したと発表しています。

Coke ONというマーケティング・キャンペーンの特徴を一言で説明すると「自販機とIoTで古い手法を斬新にした」ということ。

Coke ONの仕組みはとても単純です。

自身のスマホにCake ONアプリをダウンロードし、Coke ON対応の自販機から飲み物を購入する際にブルートゥースで接続すると、アプリにスタンプを貯めることができます。

スタンプが15個集まると、飲み物が1本プレゼントされるというものです。

このルールは、老舗商店街で何十年も前から行われているスタンプカードと同じですが、Coke ONマーケティングが成功したのは、コカ・コーラにしかない資源と最新機器を使ったからといえます。

コカ・コーラは大量の自販機を有していますが、これは最早「小売インフラ」といってもよいレベルのもの。

その結果、Coke ON対応自販機もすぐに17万台を用意することができたのです。

そしてコカ・コーラは、自販機をネットにつなげIoT化したのです。

このような取り組みにより、使い古されたスタンプ制度を最新マーケティング・キャンペーンにリニューアルすることに成功しました。

リアル店舗とスマホを融合させたナイキ

ナイキの「ナイキ・バイ・メルローズ」のマーケティングの特徴を一言で説明すると「スマホでリアル店舗での買い物を変えた」となります。

ナイキは顧客の買い物体験の高度化を図り、「ナイキ・バイ・メルローズ」を導入しました。

ナイキ・バイ・メルローズを導入しているのは、ナイキのロサンゼルス店とニューヨーク店。

ニューヨーク店は6階建てのビルで、延べ床面積は約6,000平方メートルありますが、買い物客たちは事前にスマホに専用アプリをダウンロードして買い物をします。

アプリを使えば、更衣室に商品を持ってきてもらうことも、スタイリストの予約も、支払いも可能です。

また、ナイキ・バイ・メルローズは、顧客に割引情報や最新商品の情報を送信することもできますが、ナイキ・バイ・メルローズの導入により、ナイキのネット販売の売上の4割がアプリ経由となりました。

そして、スマホ・アプリのユーザーは、ネット通販ユーザーに比べて3倍も多く買い物をしています。

顧客が「どれほど強く」高度な購買体験を待ち望んでいたかがわかる事例といえるでしょう。

イケアはユーモアCMで潜在顧客に接近

イケアは、他の家具店とまったく違う売り方をしていることで知られています。

例えば、普通の家具店はベッド・コーナーにベッドを並べ、本棚コーナーに本棚を並べますが、イケアは、店内にイケア家具だけで構成するモデルルームをつくり、ライフスタイルを提案します。

また、店内にレストランやキッズルームを設置して、家具を求める人以外の人を集めて家具を売る手法を編み出しました。

イケアのマーケティングの特徴は「モノを求める消費者に対しても、エモーショナルな部分を無視しない」といえるでしょう。

イケアのマーケティングは、そのひとつひとつがマーケターの参考になるものですが、ここではイケアのユニークなテレビCMを紹介しましょう。

イケアは1980年代にアメリカ進出を果たしますが、イケアのビジネスモデルは、デザイン性に優れた家具を格安で売るというもの。

それに対してアメリカ人は「古きよき家具」を長く使う風習があったため、苦戦しました。

そこで制作されたのが逆転の発想を利用したテレビCMです。

CMの内容はというと、まず、アメリカの独身女性の部屋が映し出されます。

その部屋のソファの横の小さなテーブルの上には赤い電気スタンドが乗っていましたが、女性は、その赤い電気スタンドを通りのゴミ置き場に捨ててしまいます。

外は雨が降り、赤い電気スタンドはびしょ濡れになります。映像はあたかも、赤い電気スタンドを捨てられた子犬のよう描きます。

映像は再び女性の部屋を映しますが、ソファの横の小さなテーブルには、すでに新しくて小粋な電気スタンドがのっていて、もう赤い電気スタンドには帰る場所はありません。

哀愁が溢れるシーンですが、そこに突如1人の男性が現れて

「古いものに哀愁を感じますか? 新しいほうがよいに決まっているじゃありませんか」

と言い放ち、イケアのロゴが現れるというものです。

このCMは以下のURLで視聴できます。

https://www.youtube.com/watch?v=aC0AHHslzVc

30年以上も前のCMですが、そのCMを紹介したのは、「家具店がコンテンツを重視している」ことに注目したからです。

このCMは「直接的には」イケアの家具を紹介していますが、「間接的かつ潜在的には」ユーモアで潜在顧客とつながろうとしています。

例えそれがPR用のコンテンツであっても、コンテンツのクオリティが高ければ、消費者はそれをみて楽しむことができます。すると消費者は、そのコンテンツの発信者(ここではイケア)に良い感情を抱きます。

コンテンツの質が高くても、家具に対してよい感情を持ってもらうことはできませんが、そのコンテンツで良い感情を抱かれれば十分有益です。

「安物」はともすれば悪い感情を抱かれやすいものですが、高品質のテレビCMを見た消費者は、イケアの安い家具に「だけは」悪い感情を抱きません。

そうなると安さが純粋な高付加価値として認知され、ファンが増えるわけです。

コストコはあえて壁を設ける

コストコは極めてアメリカナイズされたスーパーマーケットです。そのアメリカンな感じが受けて、日本でも確実に売り上げを伸ばしています。

しかし、メード・イン・アメリカを日本に直輸入して失敗した事例は数多あります。

コストコはンなぜ日本で成功できたのでしょうか。

コストコのマーケティングの特徴を一言で説明すると「アメリカナイズの日本ナイズ」です。アメリカらしさの尖った部分だけを残し、それ以外はほとんどすべてを日本流にしています。

コストコは自社の形態を会員制倉庫型店と称していますが、実態はスーパーマーケットです。スーパーに買い物に行くのに、顧客は年4,400円の会費を払わなければなりません。しかも店内の陳列は棚に商品を置いただけで、小分けもしません。客は大量に買わなければなりません。

これらはいずれも、アメリカらしさの尖った部分です。

また、コストコは広告をほとんど出しません。広告を出さないので、日本に進出した当初は知名度を上げることに苦労しました。しかし認知度が一定程度に達すると「広告を出さない」ことが消費者に高く評価されるようになります。

「コストコの商品が安いのは、広告にお金をかけず、客に還元しているからだ」と理解してもらえるようになったからです。

日本人は世界で最も商品クオリティに「うるさい」客、といわれています。そして日本人の消費者は、安い商品をみると「なぜ安いのか」「なにかズルいことをしているのではないか」と疑います。

しかし「広告にお金を使っていないから安い」ことがわかっていれば、安心して買うことができます。

コストコは、「会費を徴収する、大量に買わせる、CMを出さない」といったように、会社と顧客の間にあえて壁をつくります。

潜在顧客の一部は、壁に嫌気をさしてコストコで買わないでしょう。しかし壁を乗り越えてきた顧客は、コストコ・バリューを発見します。そうした顧客はロイヤリティが高い顧客になりやすいという特徴があります。

そして、壁を乗り越えさせることもマーケティング戦略になっています。壁を乗り越えた顧客は「自分はコストコ・バリューを正当に評価できる消費者である」という自己満足が得られるのです。

まとめ~エッセンスを抽出しよう

海外のマーケティングのコンセプトをそのまま直輸入しても、日本では効果をあげることはできません。

海外マーケターのコンセプトを「丸パクり」するのではなく、そのエッセンスを読み解き、そこに独自のアイデアを盛り込めば、日本で十分通用するキャンペーンを展開できるでしょう。

今回は4社のマーケティング戦略について紹介しましたが、それ以外の企業のマーケティング戦略からアイデアを見出し、自社のマーケティングに役立ててみてはいかがでしょうか。


<参考>