デザインシンキング

【デザインシンキング】浸透しない理由と獲得すべき理由

経済合理性があり、イノベーションの起爆剤としても期待されている「デザインシンキング」。

経済産業省と特許庁によって「デザインシンキング」による経営である「デザイン経営」が推奨されていますが、日経XTRENDによると、デザインシンキングを導入している企業は15%であり、社内にデザインシンキングが浸透している企業は5%にすぎません。

「これまでのやり方では、うまくいかないのではないか」と感じている経営者や管理職やビジネスパーソンは、すぐにでもデザインシンキングを取り入れたほうがよいでしょう。

この記事では、以下の内容について解説します。

・なぜ日本企業にデザインシンキングが必要なのか

・なぜ日本で定着しないのか

・定着させるにはどうすればよいのか

デザインシンキングの基礎知識がない方は、最終章の「そもそもデザインシンキングとはなにか」から読むことをおすすめします。

なぜ日本企業にデザインシンキングが必要なのか

デザインシンキングはいわば「新しい思考」です。

したがって、これまで持っていた古い思考を捨てて、デザインシンキングを自分の頭のなかに「ダウンロード」する必要があります。

なぜ、新しい思考が必要になるのかというと、現代のビジネス環境では、これまでの思考が通用しにくくなっているからです。

デザインシンキングが必要な理由は、以下の2点です。

デザインシンキング 必要

「機能と性能では勝負できない」ことによる問題

機能と性能が優れた商品・サービスでも「勝負できない」というケースがあります。

例えば、日本製のスマホ。

日本製のスマホは、機能や性能が劣っているわけではないにも関わらず、世界はおろか、日本国内でも苦戦しています。

この理由として、日本製のスマホには、iPhoneのようなスタイルがなく、中国製や韓国製のような消費者ニーズに従順な姿勢がないことが挙げられます。

また、日本のお家芸だった家電や自動車も、一部の日本メーカーが奮闘しているものの、業界全体が「Japan as Number One」と言われていたころの勢いはありません。

つまり、機能と性能では負けていないのに、勝てなくなっているのです。

この「機能と性能では勝負できない」状況が続けば、日本経済は地盤沈下を起こすでしょう。

そして、イノベーションを興せない国は、イノベーション先進国の下請けになるのです。

「ユーザーが主導権を握った」ことの問題点

「ユーザーが主導権を握った」状態として、最もわかりやすいのがアマゾンの興隆です。

アマゾンは、インターネットで消費者が注文した商品を販売店が宅配便で送るという「商品を買いやすくするサービス」を提供している会社で、数多くの消費者が活用しています。

アマゾンが登場するまでの消費者は、リアル店舗に買いに行ったり、通販を使ったりしていました。

しかし、アマゾンの登場により、「こっちのほうがいい」とアマゾンを利用し始めたのです。

「ユーザーが主導権を握った」ことによって、企業は最早、ユーザーや消費者を「従来の方法では」コントロールできなくなりました。

デザインシンキングなら解決できる

「機能と性能では勝負できない」時代であり、「ユーザーが主導権を握った」時代でもある現代を企業が乗り切るために必要なのが、新しい思考「デザインシンキング」です。

デザインシンキングでは、消費者が心を奪われる見た目、消費者が望むアイデア、消費者に好まれる表現を考えていきます。

機能と性能だけでなく、見た目のよさや新しいアイデア、興味がそそられる表現を具現化すれば、消費者への訴求力が回復するでしょう。

また、主導権を握っているユーザーに対して、企業は商品やサービスのわかりやすさを重視する必要があります。

リアルの販売店がアマゾンとの差別化を図るために「当店は、アマゾンがやろうとしてもできない『おもてなし』で勝負する」と決め、店員に接客教育をして接客スキルが高まったとしましょう。

しかし「おもてなしの質が高い」ということは、販売店を訪れた一部の消費者にしか伝わりません。

「わかりやすさ」を追求するには、従来の思考の延長線上で行うのではなく、従来の思考を捨て去り、デザインシンキングを獲得してから取り組むと良いでしょう。

なぜ日本で定着しないのか

日経XTRENDによると、日本の企業でデザインシンキングが浸透しないのは、「経営者の理解が得られない」「上司の理解が得られない」「同僚の理解が得らえない」「部下の理解が得られない」からとされています。

つまり、社内の誰かがデザインシンキングの重要性に気付き、社内に導入しようとしても、別の誰かが反対または拒絶しているのです。

社長がデザインシンキングを導入しようとしても管理職たちが動かなかったり、マーケティング部門がデザインシンキングを導入しようとしても開発部門が拒否したりしていては、デザインシンキングは浸透しません。

デザインシンキングは「全員に浸透しないと全員に浸透しない」ものなのです。

そして、デザインシンキングが日本企業に浸透しない理由はもう1つ。

それは、ビジネスパーソンたちの頭の片隅に「旧来の思考でも、あと2、3年は十分やっていける」という考えがあるからです。

デザインシンキングを導入するには、経営者からアルバイトまでのすべてのビジネスパーソンの考えを「ガラリと」変えなければなりません。

ビジネスパーソンに「これからは、そう考えるな、こう考えよ」と指示しなければなりません。

それは、相当難しいことです。

「向こう2、3年のうちに、ゆっくりデザインシンキングになればよい」というふうに、のんびり導入できるものではありません。

定着させるにはどうすればよいのか

デザインシンキングの重要性に気がついている人は、その導入が難しいからといってあきらめてはいけません。

なぜなら、デザインシンキングでしか解決できない時代に突入しているからです。

では、どうすれば、デザインシンキングを社内に定着させることができるのでしょうか。

最も効果的な方法は、これです。

・実績を示す

つまり、デザインシンキングでビジネスを進めて、大成功を収めるのです。

もし、経営者がデザインシンキングの重要性に気がついているのであれば、「デザインシンキング実行チーム」をつくってもよいでしょう。

そのチームに、これまで自社が乗り越えられなかった壁に挑戦させ、その成功事例を社内研修で紹介すれば、その他の部署の管理職も、部下たちにデザインシンキングをさせようとするでしょう。

そもそもデザインシンキングとはなにか

ここで、デザインシンキングとは何か、という基本を改めて紹介します。

デザインシンキングとは、「現状を好転させるための道筋を考案する」思考のことです。

「デザイン」と聞くと、見た目を格好よくすることをイメージするかもしれませんが、デザインシンキングの「デザイン」はもっと広い意味のデザインです。

例えば、「商品コンセプトをデザインする」「システムをデザインする」「使いやすさを重視したデザインにする」「効率化をデザインする」「ユーザーの想いをデザインする」こともデザインシンキングのひとつ。

そして「会社全体をデザインする」ことも、デザインシンキングの重要目標です。

デザインシンキングでは、次の5つのプロセスを踏むことになります。

  • 観察・共感(Empathize):ユーザーを観察し、共感する
  • 定義(Define):疑問、問題点、課題をまとめる
  • 概念化(Ideate):疑問、問題点、課題を概念化してチームで共有する
  • 試作(Prototype):試作品をつくり、よりよいアイデアを出す
  • 試行(Test):実際にユーザーに試してもらい、よりよいアイデアを出す

まとめ~抵抗勢力に負けるな

「生産現場での作業の見直し活動」を意味する言葉として「カイゼン」がありますが、「カイゼン」は、いまやさまざまな業界で常識になりました。

しかしトヨタ自動車がカイゼンを始めたころは「労働強化」「労働者いじめ」といった批判があったものです。

デザインシンキングも、カイゼンと似たような経緯をたどるかもしれませんが、現代はビジネスの速度も速いため、デザインシンキングが常識になるのを待っていると手遅れになってしまいます。

抵抗勢力にひるまず、デザインシンキングを取り入れることが大切です。

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<参考>