機械学習はAIの要素の1つですが、この機械学習を活用することで効果的な広告配信が可能です。
この記事では、広告分野へ機械学習を導入することによるメリットや企業の実際の取り組みについて解説します。
機械学習で自動化できる?
「機械学習とAIは同じもの」と思う方もいるかもしれませんが、AIは「作業を自動化する技術」であり、その手法の1つが「機械学習」です。
つまり、機械学習はAIの要素の1つであり、「機械学習とAIは同じもの」ではありません。
機械学習は、入力されたデータをもとに機械が学習し、与えられるデータの認識や分類を行っていきます。
既存のデータを参考にすることで、入力されたことのないデータについても分類したり識別したりすることが可能となるのです。
機械学習に多くのデータを与えれば与えるほど、精度の高さが期待できます。
広告分野における機械学習の活用事例
機械学習による広告配信は、下の図の流れに則って実践されます。
広告分野における機械学習の活用について、実際の企業の事例を紹介していきます。
ニトリ
ニトリといえば、家具取扱店として多くの人に知られている企業ですが、ニトリでは、「目標来店コンバージョン単価」を導入しました。
目標来店コンバージョン単価とは、Googleがベータ機能として新たに開発した機械学習を活用した自動入札のこと。
このシステムでは、リアルタイムで計測される来店者データを機械学習で処理して、設定された目標(来店コンバージョン単価)を達成できるように入札単価調整を行います。
それぞれの広告主ごとに、リアルタイムで蓄積される広告配信データをもとに改善される目標来店コンバージョン単価の導入により、ニトリは広告経由の来店者数を増やすことに成功しました。
サイバーエージェント
サイバーエージェントは、機械学習エンジニアやリサーチサイエンティストを導入しています。
サイバーエージェントは、アメーバブログやAbemaTVなどのサービスを提供していることでも有名ですが、これらのサービス改善を目的として大量のデータを毎日収集しています。
このデータと機械学習を組み合わせることで大きな成果に繋げたのです。
例えば、機械学習エンジニアは、サービスが抱える課題に対して、機械学習の技術を蓄積されたデータと結び付けて課題解決の提案から実行までを行ったり、サービスの信頼性や安全性を維持するため、ユーザにとってより良いコンテンツを配信するための推薦や悪質な投稿の検知、収益性の高い広告セグメントを作成するためのユーザ属性推定などを担っています。
また、機械学習をはじめ、コンピュータビジョン、計量経済学、HAI/HCI、自然言語処理などを研究するリサーチサイエンティストも活躍しています。
サイバーエージェントの取り組みから得た技術が、アドテクノロジー(広告テクノロジー)に応用されています。
エイビーロード
エイビーロードは、主に海外旅行や格安航空券などを取り扱っている企業です。
このエイビーロードは、「機械学習×クリエイティブ」により、クリック数を53%、コンバーション数も44%上昇させることに成功しています。
実際にエイビーロードが行った施策内容は、AdWords上に異なる訴求軸や切り口を持った広告文のデータを活用した機械学習です。
エイビーロードは、過去にさまざまなバリエーションで広告文を発信して分析。
それらの実績値をもとに、機械学習を活用した仕組みを取り入れたのです。
その手法は次のとおりです。
- Google CloudのNatural Language API技術を応用
- 機械学習を用いて広告文を単語レベルで分解
- それぞれの単語とその単語に紐づいているクリック率のデータを元に、最もクリックされている単語を統計的に算出
- 算出された単語のデータのうち成果の高いものから順番に並べる
- 上位の単語を多く含んだ新しい広告文を作成
こうして、インプレッション数の44%アップに対し、クリック数が53%上昇、コンバージョン数も44%アップさせることに成功しました。
機械学習で広告を最適化するツール
ここでは、機械学習で広告を最適化するためのツールについて解説していきます。
Kenshoo ECOMM
「Kenshoo ECOMM」は、グローバル企業Kenshoo Ltd.が開発したAI(人工知能)によってAmazon広告の運用を自動的に最適化することができるツールです。
日本市場におけるAmazon広告APIに対応し、Amazon広告の入札や広告費用配分を最適化するためのAI(人工知能)として活用することができます。
Marin Software
Marin Software社といえば、オンライン広告運用プラットフォーム「Marin Enterprise Edition」であり、ソーシャル広告や検索、ディスプレイと外部データを活用した高度な広告運用が可能です。
自動広告クリエイティブテスト機能による広告運用の最適化やFacebook広告の最適化、リターゲティング広告への対応などが特徴です。
Google「ローカルキャンペーン」
Googleの提供する「ローカルキャンペーン」は、Google 広告を使って実店舗への来店を促すことを目的としたものです。
スマートな広告掲載が可能で、マップやGoogle検索ネットワーク、Googleディスプレイ ネットワーク、YouTubeなどで宣伝することができます。
入札単価や数行の広告文などの設定をするだけで多くのユーザやターゲットに繋がることができるというのが特徴です。
まとめ
機械学習を導入すれば、これまで難題だったデータ分析をスマートに行うことができます。
実際の企業の取り組み例を参考に、機械学習による広告配信の自動化を検討してみてはいかがでしょうか。
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参考
- 【広告経由来店者数36%増】ニトリが機械学習を使ってディスプレイ広告の入札を自動化した結果MarkeZine)
https://markezine.jp/article/detail/29572 - ローカル キャンペーンについて(Google広告ヘルプ)
https://support.google.com/google-ads/answer/9118422?hl=ja - Amazon広告を最新AIツールで最適化するKenshoo ECOMMによる広告運用代行サービスを開始(PRTIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000000532.html