VAS法 アンケート メリット デメリット

VAS法とは?アンケートに活用するメリット・デメリットを徹底解説

Visual Analogue Scale法(以下、VAS法)とは、元々医療現場で使われている評価方法のこと。

アンケート調査のときにも有効であるとして、活用されることが増えています。

本記事ではVAS法の基礎知識と、アンケートで使うメリットとデメリットについて解説します。

VAS法とは

VAS法とは、相対化・数値化しにくい情報を相対化・数値化することができる方法であり、変化をひと目で確認することができるもの。

詳しく解説していきます。

相対化・数値化しにくい情報を相対化・数値化することができる

医療現場では、患者の痛みの強さや疲れの度合い、気分の状態が重要な情報となります。しかし、痛みや疲れ、気分を相対化したり数値化したり表現したりすることは、簡単なことではありません。

例えば、次のような質問があったとしましょう。

●疲れをまったく意識しない状態を「疲れ=0」として、5kmほどランニングしたときの状態を「疲れ=100」としたとき、徹夜で仕事をしたあとの疲れはいくつになりますか

5kmランニングの疲れと徹夜仕事の疲れを比べることは難しいため、この設問が答えにくいと感じる人が多いでしょう。

また、ランニングの経験が無い場合、基準となる5kmランニングの疲れを知らないので数値化することができません。

そこでVAS法の登場です。

下の図の青い四角は、左右に動かせるとします。

次の質問であれば、答えることができるのではないでしょうか。

●徹夜をしたあとの疲れの状態を、下の図で示してください。疲れている度合いが弱ければ、青い四角を「疲れていない」に近づけてください。疲れている度合いが強ければ、青い四角を「すごく疲れた」のほうに動かしてください。
ダイアグラム

中程度の精度で自動的に生成された説明

回答者は、疲れの度合いによって青い四角を大きく動かしたり小さく動かしたりすることができます。つまり、自由自在に自己表現できることになります。

しかも自己の思いを、「疲れていない」と青い四角の距離という形で表現できるので、相対化することができます。

変化をひと目で確認できる

VAS法を用いると、変化をひと目で確認することができます。

実際にどのように相対化・数値化していくのかみていきましょう。

例えば、ある患者さんが1月1日に次のように回答したとします。

<1月1日の疲れの状態>グラフ, 箱ひげ図

自動的に生成された説明

青い四角がかなり右に寄っているので、これだけでもこの患者がかなり疲れていることがわかります。しかし疲れの強さは人それぞれなので、この回答だけでは、この疲れを相対化することはできません。

そこで1カ月後の2月1日に、同じ質問をします。そして次のような結果が得られたとします。

<2月1日の疲れの状態>グラフ, 箱ひげ図

自動的に生成された説明

青い四角がかなり左に寄っているので、患者がこの1カ月間の治療や療養で疲れが取れたことがわかります。こうすることで変化をひと目で確認すること、疲れを相対化することができました。

VAS法の「線」に目盛りを振って数値を書き込めば、疲れの度合いを数値化することができます。

VAS法のアンケートへの応用

VAS法は、そのままアンケートに使うことができます。

例えば、企業が自社製品について、顧客に「好きか嫌いか」を尋ねたい場合、VAS法を使わなければせいぜい選択肢に「すごく好き、好き、普通、嫌い、すごく嫌い」を用意することくらいしかできませんが、VAS法を使えば好きの度合いと嫌いの度合いをかなりリアルに回答してもらうことができます。

VAS法はWebアンケートに向いている

ダイアグラム が含まれている画像

自動的に生成された説明

VAS法は、ビジュアルを活用でき特殊な操作を簡単に行えるWebを使ったアンケートに向いています。

一般企業が自社のアンケートでVAS法を搭載したWebアンケートをつくることは難しいので、調査会社に外注することになるでしょう。アンケート調査会社に「VAS法を使ったWebアンケートを実施できるか」と尋ねれば、大抵は対応してもらえるはずです。

VAS法のメリットとデメリット

東洋大学社会学部社会心理学科の山田一成教授らは、VAS法を「回答者が自己の評定結果を連続帯である線分上の長さで自由に回答できる尺度」と定義しています(*1)。

「線分上の長さ」が、青色の四角の位置になります。

ここからは、山田教授らの説のなかから、VAS法のメリットとデメリットを紹介します。

*1:Web 調査におけるVisual Analogue Scale の有効性評価(山田一成、江利川滋)

メリット:回答への動機づけ、微細な差を測定できる

VAS法は気持ちや思いや印象の強さを自由に調整できるので、回答者は自分の気持ちを確実に伝えることができたという満足感が得られます。これは、回答者に、回答の動機を与えることになります。

アンケートには常に、回答者が事実と異なる回答をすると不正確なデータを得ることになる、というリスクがあります。

そのため、回答者に「誠実に答えたい」という気持ちを持たせることはとても重要です。したがって回答への動機づけができることは、VAS法の大きなメリットの1つです。

そしてVAS法は、回答者の印象の微細な差を測定することができます。

通常のアンケートの質問では、「好き」の度合いを測定するとき、設問に「すごく好き」と「好き」くらいしか用意できませんが、VAS法なら回答者は「すごく好き」と「好き」の間も回答することができます。

デメリット:回答が難しい、離脱の懸念

VAS法のデメリットは、回答者が回答しにくいと感じることです。

例えば、以下のVASでは、回答者は自分の気持ちの「よい」の度合いを、どの位置で表現したらよいのか悩む可能性があります。そのような回答者は、「すごくよい」か「よい」のいずれかで答える選択式設問のほうが答えやすいと感じるでしょう。

ダイアグラム が含まれている画像

自動的に生成された説明

そしてVAS法は、アンケート分野ではまだそれほど普及していないので、回答者に「わからない」「面倒そうだ」と思わせてしまうかもしれません。そうなると離脱を招いてしまいます。

また、WebアンケートでVAS法を導入する場合、システムやアプリが必要になるのでコストがかさみます。これもデメリットの1つといえるでしょう。

まとめ~試してみる価値あり

VAS法は特殊なアンケート手法であり、回答者には新鮮に映るでしょう。

アンケートでは回答者に気持ちよく回答してもらう工夫が必要ですが、VAS法はその工夫の1つになります。

VAS法を導入するにはコストがかかりますが、試す価値は十分あるはずです。

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<参考>

Web 調査におけるVisual Analogue Scale の有効性評価(山田一成、江利川滋)

WEBリサーチ(WEBによるアンケート調査)