ユーザーインタビュー デザイン思考

ユーザーインタビューでインサイトを得るために欠かせないデザイン思考とは

見通しや洞察といった意味を持つ「インサイト」。

マーケティングでも良く用いられる言葉ですが、ユーザーインタビューでインサイトを獲得できるかどうかは、インタビュアーの力量次第とされています。

しかし、そこにはいくつかコツがあるもの。

本記事では、ユーザーインタビューでインサイトを得るために欠かせないデザイン思考について、解説します。

デザイン思考とは

デザイン思考とは、デザイナーたちが使っている思考を、一般ビジネスに応用する取り組みのこと。

その特徴と考え方、重要なポイントについて見ていきましょう。

解決志向か問題志向かの違い

デザイン思考の特徴は解決志向であるということ。

解決志向は、解決ありきで物事を考えます。試行錯誤を厭わず、不合理や遠回りに思えるものでも、解決とのつながりが少しでもみえたら念のためトライします。

この解決志向と対立する概念は、問題志向ですが、問題志向では、合理的な方法を考え、それを使って課題を解決しようとします。問題志向は非デザイン思考といえます。

ただ、解決志向(デザイン思考)が正しく、問題志向(非デザイン思考)が間違っている、というわけではなく、解決すべき課題に応じて思考を選択することが大切です。

そして、ユーザーインタビューでは、解決志向=デザイン思考のほうが有利というわけです。

定義→情報収集→アイデア出し→試作→選択→本番実行→検証→再定義

デザイン思考では、次のように考えていきます。

課題の定義→情報収集→アイデア出し→試作→選択→本番実行→検証→課題を再定義

課題を定義したら、情報を集め、集めた情報を元にアイデアを出し試作します。最近よく目にするβ版はこの試作にあたりますが、試作は複数回行い、そのなかからよいものを選択して、本番として実行します。

実行したら、成功しても失敗しても検証。そのなかで見えてきた次の課題について、再定義を行います。そのあとはまた「情報収集→アイデア出し→…」と続いていきます。

重要なのはアイデア出し、柔軟な思考が求められる

デザイン思考の過程のなかで最も重要なのはアイデア出しです。

ポイントは、「アイデア」ではなく「アイデア出し」に力点があるということ。頭のなかのアイデアをどんどん外に出していかなければなりません。

アイデアづくりでは

  • 社会性や人間性を重視する
  • あいまいさをよしとする
  • 手触りなどの感覚的なものを大切にする

ということを意識し、柔軟性を持つようにすると良いでしょう。

ユーザーインタビューとデザイン思考の接点はここ

ユーザーインタビューを行う目的を考えると、デザイン思考の考え方が重要であることがわかります。

ユーザーインタビューは、一般的なアンケートより手間がかかるもの。人と人が濃厚接触するので、インタビュアー(聞き手)には人間性やコミュニケーション能力や臨機応変なトーク力などが求められます。

ユーザーインタビューは難易度が高いマーケティング・リサーチ手法といえますが、それでも企業やマーケターがユーザーインタビューを試みるのは、一般的なアンケートで顧客や消費者の本音を探れないとき、ユーザーインタビューが有効であるため。濃厚かつ上質なインサイトを得られる可能性があるからです。

デザイン思考的なユーザーインタビューとは

デザイン思考でユーザーインタビューをつくる方法を解説します。

誰に聞くかをデザイン思考で考える

ユーザーインタビューは、信頼関係を築く必要があるため、1人1時間かかることもあるもの。したがって、1回で1,000人に意向を尋ねるネット・アンケートのようにはいきません。

インタビュイー(話し手)も厳選しなければならず、その選考にはデザイン思考が役立ちます。

ユーザーインタビューの課題を定義したら、その課題の解決策を持っているであろう顧客に声をかけていきます。

何を聞くかをデザイン思考で考える

ユーザーインタビューでも、一般的なアンケート同様、事前に質問内容を考えておきます。

質問内容もデザイン思考でつくりますが、このとき、解決志向を用いると良いでしょう。

企業がユーザーインタビューを行うとき、スタッフたちで質問を考える会議を開くと思いますが、このとき解決につながる質問をどんどん出していきます。「さすがにこれを聞いたらまずいかな」と遠慮せず、どんどんアイデアを出していきます。

そのなかからよさそうな質問を選んで質問票に書き、実際のユーザーインタビューで使います。

しかし、質問会議で出されたものの、そのあと没になった質問が無駄になるわけではありません。

没になった質問が、インタビューの流れ次第で必要になることがあるからです。インタビューの間に、臨機応変に没になった質問をぶつけてみると、意外な回答が得られるかもしれません。

インタビューは柔軟に

実際のユーザーインタビューでは、デザイン思考のなかの柔軟な思考を使います。

インタビュアーは、インタビュイーの社会的ポジションや人間性を把握することを意識してください。ユーザーインタビューで込み入った質問をするとき、その2つの情報が重要になってくるからです。

質問も答えも、過度に合理性を求めるのではなく、あいまいさを残しておきます。

そして、インタビュアーは、インタビュイーの感覚的な回答を見逃さないようにしてください。「なんとなく~と思う」や「全体的な印象は~だ」や「ぼわーっと~という感じ」といった言葉はキーワードになります。このような感覚的な言葉は、インタビュイーが強く思っているのに、なかなか適切な言葉が浮かばないときに出てきます。インタビュアーが質問を加えたり、一緒に言葉を探したりすることで、インタビュイーの本音に近づくことができます。

集めるのではなく出向く

ユーザーインタビューでは、単純に声を集めるのではなく、インタビュアーが、インタビュアーのホームグラウンドに出向くことも有効です。

多くの企業は、消費者インタビューをするとき、自社の会議室に呼ぶと思いますが、会議室はインタビュアーのホームグラウンドです。インタビュイーは殻をつくってしまうでしょう。

インタビュアーがインタビュイーの自宅に訪問させてもらい、そこで話を聞けば、インタビュイーは殻を取り外して、素顔と本音をさらしてくれるかもしれません。

そこに本当のインサイトがあります。

特に、生活関連のビジネスを手掛けている企業のマーケターは、顧客の自宅をのぞかせてもらうとさまざまな発見があるはずです。それについて質問すれば、インタビューはさらに深まり、より多くのインサイトを収集できるでしょう。

新機軸を打ち出したいならエクストリームユーザー法が有効

これからユーザーインタビューに取り組むマーケターにおすすめしたいのが、エクストリームユーザー法です。

エクストリームユーザーとは、平均的な顧客と比べてはるかに、極端な行動を取る顧客、極端な問題意識を持つ顧客、極端な環境下にある顧客のこと。

エクストリームユーザーの声は平均から大きく外れるため、一般的なアンケートでは、対象になっているのに分析段階でその意見がこぼれ落ちてしまいます。

ユーザーインタビューのインタビュイーを選考するとき、あえてエクストリームユーザーを選べば、新しいものを生み出せる可能性があります。

エクストリームユーザー法の選択も、あえて平均的な意見を無視して合理性を捨てる点で、デザイン思考といえます。

まとめ~1対1になれば喋ってくれるわけではない

ユーザーインタビューはレベルの高いアンケート調査です。一般的なアンケートと同じ質問を用意して、顧客と1対1になって話を聞くだけでは、得られるインサイトが増えることも、質の高いインサイトを得ることもできません。

ユーザーインタビューを設定する際には、デザイン思考が不可欠です。

デザイン思考はビジネスシーンに登場する物事を深掘りするときに有効な手段であり、ユーザーインタビューをデザイン思考で進めると、インタビュイーを深掘りし、マーケティングの参考になるインサイトを得ることができるでしょう。

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<参考>

UXデザインプロジェクトにおけるエクストリームユーザー調査の進め方