企業が成長していくためには、新規事業を立ち上げて成功させる必要があります。しかし、会社として新しく取り組むプロジェクトを、すべて成功に繋げるのは難しいでしょう。
そこで今回は、新規事業の成功例に共通するポイントを紹介します。記事の後半では、他社の実際の成功例について知ることができるので、これから新規事業に携わる人にとって参考になる情報をゲットできるでしょう。
この記事は、次のような人におすすめの内容です。
・新規事業の企画や運営を任された人
・新規事業を成功させるための方法が知りたい人
・他社での新規事業の成功例をチェックしたい人
新規事業はなぜ必要なのか?
企業は、「商品やサービスを提供する市場が絶えず変化するため」そして、「企業における人材育成のため」新規事業に取り組む必要があります。それぞれの理由について、簡単に説明していきます。
新規事業の必要性①市場の変化
企業が売上を維持したり、更なる成長を目指したりするためには、市場で商品やサービスを販売し続けなければいけません。世界にはたくさんの企業がありますが、その中には「それほど大きな売上がなくても普通の生活ができればいいから、新規事業に取り組む必要はない」と考えているところもあるでしょう。
しかし、市場のニーズは絶えず変化します。したがって、ヒットした商品が数年後に市場ニーズを満たしているとは限りません。むしろ、商品を購入する消費者のライフスタイルは変化するので、改良もされずに販売されている商品が消費者ニーズを満たしている可能性はかなり低いといえるでしょう。
こうした理由から、大きな売上の獲得を目指していない企業も、新規事業に取り組む必要性があるといえます。
新規事業の必要性②人材育成
新規事業に取り組む企業の中には、その目的を社員の人材育成としているところもあります。特に、若手社員に新規事業の取り組みを任せることで、実践的にビジネスを学んでもらう機会になります。
当該若手社員の実力がアップすれば、企業としてのレベルも上がるメリットがあるでしょう。新規事業の立ち上げで若手社員を将来の経営幹部候補として育てていく会社もあるほどです。
このことから、新規事業の立ち上げは将来の人材投資的な意味もあるといえます。
新規事業の成功例に共通するポイント
冒頭で触れた通り、新規事業を立ち上げたからといって、必ず成功する保証はありません。しかし、企業としては、立ち上げるからには何としてでも新規事業を成功させたいと考えるでしょう。
そこでこの章では、新規事業の成功例に共通している4つのポイントを紹介します。
・人材とチームの意欲
・ターゲットが明確
・自分の強みが活かせる市場
・検証スピードが早い
以上4つの成功例のポイントについて、具体的な内容を見ていきましょう。
人材とチームの意欲
企業が成功するためには、新規事業を運用する人材が重要です。優秀な人材を育成し、チームの意欲を高めなければ、どれだけ良い新規事業でも成功につながることはありません。
チームに所属する人材1人ひとりが、自分の力をしっかり発揮できる環境を整えた状態で、初めて新規事業を運用できるのです。
ターゲットが明確
新規事業の成功例の特徴として、ターゲットが明確であることが挙げられます。新規事業を立ち上げる際には、ターゲットをぼんやりとではなく、できるだけ具体的に設定することがおすすめです。
例えば、「20代女性」をターゲットにするよりも「東京都に住む学生の20代女性」にした方が、ニーズを掴みやすくなったり、新規事業の魅力を最大限に引き出せるなどの効果が期待できます。
自社の強みが活かせる市場
自社にとって何から何まで初めての新規事業よりも、自社がすでに持っている強みを活かせる市場を選んだ方が成功しやすくなります。新規事業を立ち上げる前に、まずは自社の強みと弱みを洗い出してみるといいでしょう。
検証スピードが早い
企業として新しく事業を立ち上げるときは、物事を慎重に考えなければいけません。しかし、チャンスを逃さないことも大切です。ベストな機会で行動するためには、新規事業のリスクや体制などについてスピーディに検証する必要があります。
あまり時間をかけていると競合他社にせっかくのチャンスを取られてしまうこともあるので注意しましょう。
新規事業の成功例
最後に、他社の新規事業における成功例を紹介します。
今回は次の5つの成功例をチェックしていきましょう。
・三井物産(ボイスタート)
・YPER株式会社(OKIPPA)
・ダイハツ工業(らくぴた送迎)
・三菱商事(食べるスープの専門店)
・パーク24(タイムズカープラス)
ボイスタート
三井物産のボイスタートは、シニア世代に向けて開発されたAIスピーカーです。同社はAIスピーカーのほとんどが若者向けであることに気付き、シニア世代に向けた商品を開発しました。
ボイスタートの最大の特徴は、機械に苦手意識を持つ人が多いシニア世代のために、声だけで操作できるようにしたところ。音楽鑑賞やラジオ視聴はもちろん、天気やニュースを確認できたり、防災情報を聞いたりすることもできます。
また、ボイスタートには、家族で離れて暮らしている人のための見守り機能も搭載。LINEを登録するだけでボイスタートを通して簡単に声かけができるのでとても便利です。今後は、自治体などとの連携強化で更なるサービス展開が予定されています。
OKIPPA
OKIPPAは、Yper株式会社が開発した置配洋の折りたたみバッグです。日本郵便では、配達先が不在の場合の受取り方法として置配を選択できますが、安全に置配を利用するには専用のバッグを用意しなければならず、バッグの大きさや素材などによって値段は変わりますが、だいたい5,000円~20,000円の価格帯です。
そんな中、4,000円を切る値段の置配バッグOKIPPAを販売しているのがYper株式会社です。OKIPPAは、無料で配信されている専用アプリを利用すれば、到着する予定の荷物を一元管理できる点も魅力の1つ。
荷物が到着するとスマホに通知が来るうえ、再配達の依頼もOKIPPAのアプリからできます。OKIPPAを購入すれば、アプリから盗難保険にも申し込めるのでもしもの事態にも備えられます。
一般的な置き配バッグより低価格で、利便性が高いことがYper株式会社の成功の要因といえるでしょう。
らくぴた送迎
らくぴた送迎は、ダイハツ工業が開発したデイサービスの利用者向け送迎サービスのこと。道路の混雑などによって通所介護施設のドライバーが利用者の自宅に時間通りに到着できていないことに目を付けたダイハツ工業が、GPS装置なしで送迎に最適なルートを表示するシステムを開発したものです。
その日の利用者の出席状況に合わせてルートを変更したり、あまり仲が良くない利用者などの同乗を避けたりできるのもらくぴた送迎の魅力。ニッチな市場ではありますが目の付けところが良く、成功した例といえるでしょう。
食べるスープの専門店
三菱商事は食べるスープの専門店として、1999年にスープストックトーキョーを始めました。スープストックトーキョーがオープンした当初は、女性一人で気軽に食事ができる店がありませんでした。
同社はこの潜在ニーズ目をつけたのです。店の雰囲気に拘るだけでなく、スープに使用する素材や栄養価に気を配ったことでたくさんの女性からの指示を得られました。
タイムズカープラス
タイムズカープラスは、パーク24が運営しているカーシェアサービスです。カーシェアサービスに力を入れている企業は他にもたくさんありますが、タイムズカープラスの圧勝となっています。
この要因として、タイムズカープラスが利用者が歩いて行ける範囲内にカーシェアの拠点を設置したことがあります。全国各地にたくさんの拠点を設置するのではなく、消費者のニーズ(すぐそこで車を借りられること)を満たせるサービスを提供したことがパーク24が事業を成功させた秘密といえるでしょう。
まとめ
企業は、タイミングを見て新しい事業を立ち上げる必要があります。今回紹介した成功例を参考に、自社の魅力を最大限引き出すことができる新規事業を検討してみましょう。
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<参考>
新規事業開発の成功例/失敗例に共通する要因とは?(ProSharing)
新規事業を作る際に役立つ事例9選 成功する新規事業に共通する要因とは?(THE OWNER)