リサーチデザインとは?【考え方や流れについて徹底解説!】

マーケティングの業務に慣れてきた人は、次は理論的に仕事を進めるようにしてみてはいかがでしょうか。

リサーチデザインを意識してみてください。

リサーチデザインの考え方を取得して、それを実務に応用できるようになると、マーケティングの精度が高まるだけでなく、仕事への向き合い方も変わってくるでしょう。

現代のビジネスパーソンはOJTで仕事を仕込まれることが多いので、「理論より実践」が体に染み込んでいます。実践主義は短期的な業績を上げやすいのですが、ビジネスのネット化やグローバル化、AI(人工知能)の出現といった大きな変化が生じてこれまでの実践経験の効果が薄れたとき、対応に困ることになるでしょう。

一方でリサーチデザインを会得した人は、変化に対応できる「ビジネス体質」に生まれ変わることができるので、時代の移り変わりに翻弄されることはありません。

鈴木教授のリサーチデザインの考え方

この記事で紹介するのは、神戸大学経営学部の鈴木竜太教授のリサーチデザインの考え方です(肩書は2019年7月時点)。

鈴木氏の専門は経営管理です。個人と組織の良好な関係や、若年層ホワイトカラーのキャリア上の課題、チームを有効にマネジメントする方法などを研究テーマに据えています。

理論だけでなく、実地のビジネスにも精通しています。

その鈴木氏は、素晴らしいデータを取ることができても、十分な分析スキルを持っていても、リサーチデザインがよいものでないと、宝の持ち腐れになると指摘しています。

マーケティング動機からマーケティング計画をつくる

鈴木氏の論文「リサーチデザインの考え方」(*)は、大学での研究者の心構えを説いたものです。しかし、研究をマーケティングに、研究者をマーケターに置き換えれば、そのままマーケティング理論に応用できます。

例えば鈴木氏は、「研究動機から研究計画を立てることが重要である」と指摘します。

これは「マーケティング動機からマーケティング計画を立てることが重要である」と言い換えることができます。

マーケターのなかには「目の付け所がよい」と褒められる人がいます。しかしその人が必ずしもよいマーケティングを実践できているわけではありません。

それは、マーケティング動機とマーケティング計画の間に「ある欠落」があるからです。

欠落しているものこそ、リサーチデザインです。

*:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaas/30/3/30_173/_pdf/-char/ja

問題解決の技法であり思考法である

リサーチデザインとは、問題解決の技法であり、思考法です。つまりリサーチデザインを自分のものにするには、考え方からあらためなければなりません。

そしてそれだけのことをする価値が十分あります。それはリサーチデザインを体得すれば、問題をスムーズに解決できるようになるからです。

それでは次に、より具体的にリサーチデザインの実態に迫っていきます。

リサーチデザインの6要素とは

リサーチデザインは次の6つの要素で構成されています。そして鈴木教授は、6つのなかでも問いとリサーチ方法が特に重要であると考えています。

リサーチ デザイン問いとリサーチ方法をフォーカスする前に、6要素の全体を解説します。

マーケティングではテーマづくりから始めます。ヒット商品にも売れない商品にも、どちらにもマーケティングは必要です。そしてヒット商品のマーケティングには、より売れるようにするマーケティングや、モデルチェンジの資料を獲得するためのマーケティングなどがあります。売れない商品のマーケティングにも、売れるようにするマーケティングや、製造を断念するかどうかを決めるためのマーケティングなどがあります。

テーマが決まったら、その背景を明確にしておきます。例えばマーケティングのテーマを「ヒット商品をより売れるようにする」と定めたとします。

ではなぜ、ヒットしているのにテコ入れする必要があるのでしょうか。

例えば、その企業にはその商品しか頼るものがないのかもしれません。もしくは、なぜヒットしているのかその理由がわかっていないかもしれません。

マーケティング・チームのメンバーに、テーマと一緒にテーマの背景を明示すれば、それぞれのメンバーが「自分がすべきこと」を理解できます。

そしてテーマと背景が決まれば、なぜマーケティングをしなければならないか、という問いが明白になるでしょう。この点は重要なので後段で詳しく解説します。

そして先行事例を探したり、マーケティング結果の仮説を立てたりして、リサーチ方法を考えます。リサーチ方法も次の章で紹介します。

なぜ問いが大切か、問いとは何か

問いとは、「なぜうちの会社はコストをかけてこのテーマのマーケティングを実施する必要があるのか」を考えることです。

鈴木氏は、問いよりも結果を先に求めてしまい、問いを軽視する風潮を批判しています。なぜなら、問いが正しくなければ、結果に意味などない、と考えるからです。

これをビジネスの話に置き換えると、あるマーケティングによって利益(結果)が出たとしても、そのマーケティングの問いが正しくないと、成功した喜びが半減する、理解できます。なぜ利益が出ているのに半分しか喜べないのか。それは、まぐれで当たっただけかもしれないからです。

ビジネスは結果(利益)がすべて、と考えることもできますが、それでは虚しさが残るでしょう。社会貢献を考慮したうえで、消費者に歓迎される形でビジネスが成功したときこそ、仕事にやりがいが生まれます。

なぜリサーチ方法が重要か、リサーチ方法とは何か

よい問いができたとしても、マーケティングを実施した結果、利益が出なかったり損失が出てしまったりしては、ビジネスとして成立しません。そうなると、せっかくよい問いの下で始めたマーケティングが全否定されてしまいます。

そこでマーケターたちは、マーケティングの実施方法を吟味して、成功を導くことに専念しなければなりません。

ではなぜ、よい問いなのにきちんとした結果(利益)が出ないのでしょうか。鈴木氏は「問いに見合った適切な調査(リサーチ)が必要である」と述べています。

まさに、リサーチをデザインすることが必要である、ということです。

よい問いに見合った適切なリサーチにするには、次の3点が必要です。

1:適切なリサーチ方法

2:リサーチの仮説が論理的であること

3:リサーチ対象が適切であること

これは示唆に富む指摘といえます。

マーケティングとは市場を徹底的にリサーチして、リサーチ結果を分析して、消費者に歓迎され自社に利益をもたらす企業活動を導きだす営みです。

リサーチ方法が適切でなければ、優良なデータを収集できません。

また、仮説がいい加減では、マーケティングが方向性を失います。

そしてリサーチ対象が間違っていれば、例えリサーチ方法が正しくてもそこから得られるデータが成功を導くことはないでしょう。

まとめ~単なる成功で飽き足らない人へ

リサーチデザインは、少し難しい概念かもしれません。しかし、会社に何度も確実な利益をもたらしているマーケターは、単なる成功ではもう満足できないでいるでしょう。自分のマーケティング手法が「本当に正しいから利益が出せている」のか、「単にまぐれが続いて成功している」のか、知りたいはずです。

また、自分のビジネスが社会に貢献しているところをみたいはずです。

そのためには、リサーチデザインの考え方を身につける必要があります。リサーチデザインのスキルが身につけば、ビジネスが自分の手の平の上にのるようになるでしょう。


<参考>

  1. リサーチデザインの考え方(鈴木竜太)
  2. 鈴木竜太(神戸大学経営学部)