調査におけるリサーチとサーベイの違いとは?【使い分けのコツ】

「リサーチをかけておいて」

企業のマーケティング担当者は、上司から頻繁にこうした指示を受けていると思います。

リサーチは市場と消費者を知るための重要ツールです。そしてもうひとつ市場を知る手段があります。それはサーベイです。

リサーチもサーベイも「調査」と訳されますが「やること」は異なります。混同されやすい両者ですが、使い分けることで市場を多面的に把握できるようになるでしょう。

言葉の定義

マーケティングの話に入る前に、純粋に英語としての意味を押さえておきましょう。

朝日新聞の辞書サイト「コトバンク」によると、両者は次のような意味になります。

・research:調査、研究

・survey:調査、測量

1番目の意味は両者とも「調査」となっています。しかし2番目の意味は「研究」と「測量」になっていて違いが出ています。

研究をするためには測量が必要です。一般的な用語としては「リサーチするためのサーベイ」といった使い方になりそうですが、「サーベイのためのリサーチ」と表記しても間違っているという印象は持たないでしょう。

実はマーケティング実務でも、リサーチとサーベイは混同されています。サーベイをしているのに「リサーチをしている」と表現しているケースは少なくなりません。

そこでこの記事では、両者をそれぞれ次のように定義して考察していきます。

サーベイ リサーチ 違いマーケティングで「調査」といえば、大体はリサーチのことです。したがってこの両者をしっかり理解しようと考えている方は、サーベイを先に理解しておき、「サーベイ以外はすべてリサーチ」と覚えたほうが効率的に学ぶことができるでしょう。

サーベイとは?

企業がマーケティングを行う目的は、消費者を取り込むことですが、その「消費者と呼ばれている人たち」は、誰のことで、どこにいるのでしょうか。渋谷にも秋葉原にも日本橋にも銀座にも消費者はいますが、その人たちは自分の会社の消費者でしょうか。その人たちは、自分の会社がマーケティングすべき対象でしょうか。

このように考えると「消費者とは何なのか」という疑問がわいてくると思います。そのようなときサーベイを実施すると、おぼろげだった消費者の輪郭が、くっきりとみえてきます。

マーケティングはPDCAの繰り返しのなかで行われることが多いので、そこで行われる調査対象は、大抵は輪郭がくっきりした消費者です。このときの調査がリサーチです。

輪郭がおぼろげな消費者を対象にした調査であるサーベイはあまりマーケティングのなかでは出てきません。

企業が消費者と距離を置くイメージ

企業がサーベイを行うとき、消費者を取り込む目的はいったん保留しておきます。サーベイの調査対象はおぼろげな存在なので、サーベイの結果、何もつかめなかったとしてもそれはそれで一定の成果になるからです。

例えば、東京でビジネスを展開している東京の企業が、市場が飽和状態になってきたことに危機感を持ち、「これから地方の消費者を取り込んでいこう」と考えたとします。この段階では北海道から沖縄までの間のどこに自社の潜在顧客がいるかわかりません。そこで大規模な調査をかけます。

この調査はサーベイと呼んだほうがいいでしょう。

サーベイを実施するとき、企業と消費者には距離があります。そしてサーベイでは、消費者との距離を保ったまま実施することが一般的です。そのほうがより客観的に調査対象の像を捕らえることができるからです。

主に大規模

サーベイは元々、政府や国際機関が実施する調査手法でした。その手法をマーケティングに応用したわけです。

したがってサーベイは大体大規模に行われます。「世界銀行が開発途上国で行ったサーベイ」「東南アジアにおいて20年以上にわたって実施されてきた生活水準測定サーベイ」といったように使います。

リサーチとは?

サーベイではないマーケティング調査は、すべてリサーチと考えてよいでしょう。

企業と消費者をつなぐイメージ

リサーチは企業と消費者を結ぶ目的で行います。または、「あの消費者とつながりたい」と考えている企業がまず着手すべきことが、リサーチです。

ある企業が、自社の商品は秋葉原の若者にこそ支持されるはずだ、と考えたとします。このときのマーケッターには、秋葉原の若者の像や、自社商品を若者が使っているシーンを思い浮かべているはずです。

もしくは、原宿店では販売好調なのに、渋谷店では売れ行き不振が続いていたとします。この企業はなんとか渋谷の若者も取り込みたいと考えるでしょう。

ターゲットとなる消費者は明確なのに、その人たちの本音をつかめないとき、リサーチを実施することで自社の弱点がわかります。

大規模と小規模がある

リサーチには大規模なものと小規模なものがあります。

大規模な調査を実施するとき、リーダーはそのプロジェクトにどのような名称をつけたらよいでしょうか。

リーダーが「○○リサーチ」と命名すると、スタッフたちに「その消費者を獲りに行くぞ」というメッセージを伝えることができます。

「□□サーベイ」と名付けると、スタッフたちに「客観的に市場を把握することに重点を置こう」というメッセージが伝わります。

リサーチには小規模なものがあります。「20代主婦の午前中の消費行動に関するリサーチ」や「就活生の必須アイテム・リサーチ」など、ニッチ市場を探すときもリサーチが便利です。

「ちょっと知りたい」「短期間で把握したい」というときに簡易リサーチを何度も実施することは有効です。

まとめ~使い分けてスキルアップを

マーケターの日頃の業務では、圧倒的にリサーチのほうが多くなるはずです。「どのようにすればこの商品を買ってもらえるか」と意識しながら調査していれば、それはほぼリサーチです。

そして、「いつも実行しているリサーチでは消費者も市場も把握できない」と焦り始めたとき、サーベイを意識してみてはいかがでしょうか。マーケティングをしているエリアには、消費者も市場もないかもしれないからです。

現在のマーケティング・エリアだけでなく、その周辺も調査対象にして、予断や仮説を極力排除して客観データを集めることに集中してサーベイを展開すれば有益な情報が得られるでしょう。

リサーチとサーベイを使い分けることで、マーケターとしてのスキルは向上するはずです。

 


<参考>

  1. リサーチ(コトバンク)
  2. サーベイ(コトバンク)

  3. まちがいだらけのサーベイ調査(ジュセッペ・イアロッシ著)