アンケートの【回収率】を上げたい「何をすればいいのか」

アンケートは、マーケティングの方向性を決める消費者心理を把握するための重要な手段です。

また、マーケティングが終了した後の成果調査にもアンケートは有効です。

しかし、アンケート結果が消費者心理を正しく反映しないこともあります。

その場合、アンケート結果で「売れる」と確信できた新商品がまったく売れないといった事態に陥ります。

アンケート結果には、信憑性が高いものと低いものがあり、それを決定づけるのが回答率です。

アンケートの回答率を上げるには、次の5項目に取り組む必要があります。

アンケート 回収率

ひとつずつ解説していきます。

回答率は「信頼性」に関わる重大事

回答率を上げる方法を紹介する前に、回答率の高さがどれほど重要なのか解説します。

アンケート結果を分析するときに、10人のうち9人が「はい」と答えた内容は、5人が「はい」と答えた内容より真実性が高い、と判断すると思います。

しかし、統計学的には、必ずしもそれが正しいとは限りません。

なぜなら、そこには回答率が吟味されていないからです。

アンケートを2回行って、以下のような結果になったとします。

1回目:サンプル数1,000人、回答者数100人(回収率10%)

2回目:サンプル数100人、回答者数90人(回収率90%)

この場合、2回目のほうが信憑性の高い結果が得られます。

1回目のほうが回答者数が多いので、より民意を反映した結果が得られそうな気がしますが、そうではありません。

なぜなら、回収率が低いということは答えなかった人が多いということで、「民意の拾いこぼし」が大きいからです。

さらに詳しく解説します。

1回目のアンケートで「この商品が好きか」という質問に90人が「はい」と回答したとします。すると、回答者数は100人なので、その商品の支持率は90%となります。しかし、このアンケートでは、その結果に喜ぶことはできません。

例えば「回答しなかった900人が回答していたら、全員が「いいえ」と答えていた」と仮定してみましょう。すると、サンプル数1,000人のうち「はい」と回答した人は90人だけになるので、支持率は9%にまで落ちます。

もちろん、「回答しなかった900人が回答していたら、全員が「いいえ」と答えていた」というのは架空の数字であり、回答しなかった人たちの意向は知ることはできません。

しかし、次のことは厳然たる事実として残ります。

・回答率10%のアンケート調査の場合、結果として支持率90%と出ても、実際は9%の可能性を否定できない

つまり、「1回目:サンプル数1,000人、回答者数100人(回収率10%)」のアンケートは、結果が90%と出ても9%の可能性もある信憑性が低いアンケートといえます。

では、2回目のアンケート「サンプル数100人、回答者数90人(回収率90%)」はどうでしょうか。

このアンケートの回答者90人のうち「この商品が好きか」という質問に81人が「はい」と回答したとします。この場合、商品の支持率は90%です。

そして「アンケートに回答しなかった10人全員が「いいえ」と答えていたかもしれない」と仮定してみます。

その場合でもサンプル数100人のうち81人が「はい」と答えているので、商品の支持率は81%の効率を維持しています。

すなわち、次のことがいえます。

・回答率90%のアンケート調査の場合、結果として支持率90%と出たら、どれほど低下する可能性を加味しても81%にしかならない

したがって信憑性が高いアンケートといえます。

これが「回答率の高さの威力」です。

適切な人に対して行う

アンケートの回答率を上げるには、適切な人に対して行う必要があります。

アンケートというマーケティング手法は、少なからず人々のボランティア精神に頼る部分があります。

そのため「答えたくない」と思わせてしまったら、答えてもらうことができません。

例えば、キャンプ場にいる人たちは、ゲームに興味がない確率が高いでしょう。なぜなら家のなかで過ごすより戸外で過ごすことを好む人がキャンプをしているからです。したがって、キャンプ場にいる人たちやアウトドア好きな人たちは、ゲーム関連のアンケート対象として相応しくありません。

しかしゲーム会社が、アウトドア好きの人にゲームをしてもらいたいと考えたら、キャンプ場の人たちこそ、「適切な人」になります。

アンケートを実施する前に「誰に聞くか」を十分検討しましょう。

適切な質問を考える

アンケートでは、質問の設定が重要です。

そして、質問の文章も軽視できません。

回答者が「何を尋ねられているのかわからない」と感じたら、回答を中断してしまうでしょう。

アンケートの質問が完成したら、必ずシミュレーションしましょう。社内の人たちに回答してもらい、意見を募るとよいでしょう。

適切な場所で行う

アンケートを街頭で行うのか、ショッピングモールで行うのかで、対象者の回答したくなる気持ちが変わってきます。

街頭であれば、回答者には、アンケートに答えているところを知り合いにみられないというメリットがある一方で、落ち着いて回答できないというデメリットがあります。

ショッピングモール内はその逆で、回答者は落ち着いて回答することはできますが、近所の人が通りかかるかもしれないので、ここでは答えたくないと感じるかもしれません。

アンケート対象として適切な人が答えやすい場所を考えましょう。

適切な方法で行う

アンケートにはさまざまな方法があります。

例えば、スタッフが直に聞き取る方法、スタッフが電話で聞き取る方法、アンケート用紙を郵送する方法、インターネットを使った方法などがあります。

アンケート対象が答えやすい方法を選びましょう。

適切なインセンティブを与える

アンケートに答えてくれた人に抽選でプレゼントを贈るようにすると、回答率は確実に上がります。

また、プレゼントを用意することができない場合、アンケートの意義をしっかり伝えるだけで、回答率が上がります。

例えば、次のようなことを伝えてみてはいかがでしょうか。

・このアンケート結果は業務改善に使います

・このアンケートは地域振興策を練るうえで重要な資料になります

回答者に「じゃあ協力しよう」と思わせることが大切です。

まとめ~データ収集の重要性を意識して

アンケートは、貴重なデータを集めることができる重要な調査活動です。

アンケート結果に消費者の気持ちが反映されていないと、企業は間違ったマーケティングを進めていくことになります。

そして、消費者の気持ちを汲み取るには、回答率を上げる必要があります。

アンケート業務に携わるスタッフは、「アンケート対象者全員に答えてもらいたい」という気持ちで、すべての作業を見直しましょう。


<参考>

  1. サンプル数や回答数よりも回収率が大事な理由――調査・リサーチ・統計の基礎その3(Web担当者Forum)