アンケートを実施する目的は明確か【必要な情報を得るコツ】

企業がマーケティングの一環でアンケートを実施するとき、目的を定める必要があります。目的が不確かなアンケートでは、消費者の本音を引き出すことができません。 もちろん、アンケートを行う「大目的」は消費者の気持ちを探ることですが、それでは目的として大きすぎるため大雑把な回答しか得られません。 マーケティングに使える消費者情報は、もっと詳細かつ繊細でなければなりません。したがってアンケートの目的は「小目的」でなければなりません。 アンケートの目的の重要性と目的の設定の仕方について解説します。

「アンケートなんて」という人がいる理由

アンケートのマーケティング効果を疑っている人は少なくありません。そのような人は「消費者の気持ちは移り気で、捕らえることなどできない」と考えています。 それはきっと、アンケートを実施して「外れた」経験があるからでしょう。新商品の試作品の感想を尋ねるアンケートを行って「発売されれば買う」という回答が大半を占めたのに、いざ発売したら売れなかった場合「アンケートが外れた」となります。 しかしこの場合、アンケートの能力を疑うのではなく、アンケートの仕方を検証したほうがいいでしょう。なぜならアンケートはいまだにマーケティングの有力手法のひとつだからです。そして間違った仕方のアンケートは、消費者の意向を正しく汲み取ることができません。 そして目的を設定しないアンケートや、目的が大きすぎるアンケートは「外す」確率が高くなります。それくらいアンケートにおける目的の設定は重要です。

目的とゴールを明確にわける

アンケートの目的は、アンケートのゴールから導き出していきます。アンケートのゴールは、マーケティングのゴールと同じでよいでしょう。 目的とゴールは、例えば以下のような関係になります。 アンケート 目的

目的の例とゴールの例

例えば、顧客満足度の向上をゴールに据えるのであれば、アンケートの目的は「顧客の不満を聞き出すこと」「顧客が何に満足するのかを聞くこと」と設定することができます。 掃除機の新製品に関するアンケートであれば、「現行の掃除機の不満点を教えてください」「これまで使った掃除機のなかで最も満足度が高かった製品名、またはメーカー名を教えてください」といった質問を設定することができます。 また販売数量を増やすことがゴールなら、アンケートの目的は率直に「消費者が買いたいと思っているか、買いたくないと思っているかを聞くこと」と設定できます。 売上高を上げることがゴールなら、目的は「お金を使うタイミングを聞く」「お金を支払いたくない理由を聞く」となり、利益を上げることがゴールなら、目的は「高額商品を買う理由を聞く」「高額商品を買わない理由を聞く」となります。 ゴールが明確であれば、アンケートの目的も鮮明になります。

目的が明確なアンケートは確度が高まる

なぜ、目的が不明瞭なアンケートは外すことが多く、明確な目的があるアンケートは当たるのでしょうか。それは目的が明確なアンケートは確度が高まるからです。 確度とは、確実さの度合いのことです。 アンケートの目的を設定すると、スタッフのなかから、消費者に尋ねたいことが提案されるはずです。その提案はそのままアンケートの質問になります。先ほど紹介した目的が、どのような質問を生み出すか考えてみましょう。 <「お金を使うタイミングを聞く」が目的のアンケートの質問例> ・収入はいくらですか(200万円未満、200万円以上500万円未満、500万以上1,000万円未満、1,000万円以上) ・預貯金はいくらありますか ・1年間に家電に費やす金額はいくらですか ・1年間にスマホや携帯に使う金額はいくらですか ・2泊4日のハワイ旅行に出かけたとします。旅費や宿泊費を除いたお小遣いはいくら持っていきますか(クレジットカードでの支払い分も含む) ・外出先でコーヒーが飲みたくなりました。どうしますか(目の前の喫茶店に入る、コンビニのコーヒーを買う、急いで自宅に帰ってコーヒーを淹れる) こうした質問を繰り返すことで、回答者の金銭感覚を「あぶり出す」ことができます。

目的が変わると手段が変わる

アンケートの目的によって、アンケートの手段が変わってきます。アンケートには、街頭での聞き取り、電話での聞き取り、ネット調査などの手段があります。 街で買い物をしていてテンションが上がっている人の意向を知りたいのであれば、街頭アンケートがよいでしょう。アウトドア調査をしたいのであれば、各地のキャンプ場に出向いて、バーベキューをしている人たちに聞き取りするとよいでしょう。 インターネット関連の情報を得たいときは、ネット調査が向いています。 アンケートの目的が固まると、聞くべき人がわかります。すると、聞くべき人が多くいそうな「場所」が推測できます。最近はネット空間がその場所になることがあるので、アンケートの手段は数多く持っておいてください。

アンケート会議に「偉い人」を参加させよう

アンケートの目的づくりには、しっかりと会議を開いて検討を重ねるべきです。数人の担当者が集まって「なんとなく」決めるのではありません。 その会議には、中小企業なら社長にも加わってもらいましょう。大企業でも、アンケートを実施する部門を統括する役員にきてもらいましょう。 アンケート自体はマーケティングの一工程にすぎないので、スタッフが進めて構いません。しかしアンケートの目的づくりは、自社の消費者をイメージすることに他なりません。自社の消費者イメージは、入社10年以下の従業員より、経営陣のほうがより明確なはずです。 そして社長や役員は常に「お客様を知りたい」と考えているはずです。社長や役員がアンケート会議に参加すれば、スタッフたちに消費者に尋ねるべきことを指示できます。 アンケート・チームのメンバーと社長や役員が一緒にお客様や消費者について語り合えば、アンケートの目的はより鮮明になるはずです。

まとめ~インタビューが上手な記者になろう

新聞や雑誌には、頻繁にインタビュー記事が登場しますが、読み応えがある記事とそうでない記事があります。インタビュー記事を面白くするのは、記者の質問の質です。 優秀な記者は、インタビューの対象者から特別なエピソードを引き出すために、事前に入念にその人について調査します。インタビューの対象者の周辺の人に接触して話を聞くことすらあります。つまり、大インタビューをするために小インタビューをするわけです。 アンケートを実施するときも、それくらい入念に準備してください。自分たちは消費者の何を知っていて何を知らないのか、自社の製品やサービスを買ってもらうには消費者の心をどのように動かさないとならないのか――といったことをアンケート・チーム内で議論して、社長や役員の意見も聞いて、アンケートの目的をつくりましょう。

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<参考>
  1. なぜアンケートを行う目的を明確にしなければならないのか(経営MAGAZINE)
  2. 成果を生み出す戦略的なアンケート調査とは(プロセス・マネジメント)