「アンケート調査」は、商品やサービスに対する消費者の意見を知るために用いられるメジャーな手法です。
紙媒体や電話、ネットなど、さまざまな手法でアンケート調査が行われますが、アンケート調査は、実施するだけでは商品やサービスの改善につなげることができません。
アンケート調査で大切なのは、アンケートを「分析する」こと。
この記事では、クロス集計や単純集計など、アンケート分析の方法について詳しく紹介します。
アンケートを有効活用したいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
アンケート分析の基本「データ集計には2種類の集計方法がある」
アンケートは、ただ実施するだけでなく、結果を集計して分析することが重要です。
データ集計の方法には、単純集計とクロス集計の2種類があります。
それぞれの方法について、分かりやすく解説します。
単純集計
単純集計は、Grand Total(グランドトータル)とも呼ばれ、シンプルで分かりやすい集計方法です。
それぞれの質問ごとに、どれくらいの人が答えたのかという人数や平均値、回答比率などを求めます。
アンケートデータ全体の傾向を知ることができる方法です。
例えば、ある商品についての満足度調査をしたアンケートがあったとしましょう。
「大変満足」「満足」「どちらでもない」「不満」「大変不満」の5段階で解答してもらった結果をまとめ、「大変満足」が23%、「満足」が22%、など、アンケートで得られた結果を全体的に把握するのが単純集計です。
クロス集計
クロス集計とは、アンケートの設問の各選択肢の回答数とパーセント値を、集計軸と掛け合わせる集計方法です。
属性ごとに集計することができる方法であり、詳細について知りたいときに用いられます。
クロス集計の場合、前述のアンケート結果を「性別」「年代別」に深堀していくことができます。
深堀した結果、課題を見つけることができますが、アンケートではこの課題を見つけることが重要です。
クロス集計は分析の基礎となる大切なもの
前述したように、クロス集計は、アンケートの結果を性別や年代別などの属性ごとに集計する方法です。
アンケート結果を属性ごとに集計することによって詳しく分析し、より効果的な戦略を立てることが可能となります。
クロス集計のメリットは、性別や年代別といった属性ごとの特徴を知ることができるということ。
アンケートの結果が、実施前に予測していた結果と違った場合、戦略を立て直すことができます。
また、新たな課題の発見もできるため、課題に対する対策を考えることも可能です。
一方で、クロス集計のデメリットとしては、多くの回答数が必要となるということが挙げられます。
アンケートの結果を属性ごとに分けていくと、一つ一つのデータが小さくなるためです。
前出のデータを元にすると、このデータの全体数は370名。
その中から、「10代以下」に絞ると、たった5名しかいません。
これでは、10代以下の特徴としてとらえることができなくなるので、さらに多くのデータが必要となるわけです。
多くの人を対象にアンケートをとるとなると、時間もコストもかかる、というのがデメリットとなるでしょう。
基本的なアンケートの集計・分析方法とは
アンケートの集計方法は、前述した「単純集計」や「クロス集計」が基本となりますが、アンケートには自由記述の回答がある場合もあります。
自由記述のアンケートの集計方法は、その自由記述の回答内容が数値なのか、それとも、文章なのか、によって変わります。
自由記述の回答内容が数値の場合と、文章の場合とに分けて、集計方法を見ていきましょう。
自由記述の回答が数値であるもの
自由記述の回答が数値の場合、数値の
- 平均値
- 中央値
- 最小値・最大値
- 標準偏差
を求めます。
「平均値」や「中央値」、「最小値・最大値」や「標準偏差」とはいったい何をあらわしているのかというと、平均値は、回答で得られた全部の数値データを合計し、データ数で割ったもの。
そして、中央値は、回答で得られたデータを数値の大きい順または小さい順に並べた時に、真ん中の数値のものです。数値の範囲が広く、平均値が参考にならない場合に、中央値を参考にする、という方法がとられます。
最小値・最大値は、回答で得られたデータの中で最も小さい値と大きい値のもの。
そして、標準偏差はデータのばらつきの大きさを示す指標です。
標準偏差を出すには、まず、偏差を求めます。偏差とは、各データの値と平均値の差のこと。平均値を求めてから始めましょう。
偏差を求めたら、偏差を2乗した値を足してデータ数で割る分散を求めましょう。
分散の平方根をすれば、標準偏差を求めることができます。
データのばらつきが大きければ大きいほど、標準偏差の値が大きくなります。
標準偏差については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
標準偏差とは?標準偏差の意味や求め方、求める理由について詳しく解説します
https://kotodori.jp/analytics/what-is-standard-deviation/
自由記述の回答が文章であるもの
自由記述の回答が文章の場合、集計するためにはまず、自由記述の一覧表を作成しましょう。
一覧表を作成する際に、性別や年齢などの属性もあわせて記載しておけば、属性に基づいて情報をまとめることもできます。
一覧賞を作成した後は、「アフターコーディング」や「テキストマイニング」で分析していきます。
「アフターコーディング」は、自由記述を選択肢化します。
自由記述をカテゴリーで分類することで、集計しやすくします。
「テキストマイニング」は、文字列を解析する専用ツールです。
文章を単語や文節で区切り、出現頻度や出現傾向などを解析することができます。
「アフターコーディング」も「テキストマイニング」もデータを「定量化」するので、情報を見落としてしまう可能性があるので注意が必要です。
課題発見につながるアンケート分析の方法
アンケートを行う目的は、商品やサービスの課題を発見すること。
アンケート分析を課題発見につなげるには、まず、大まかに全体像を把握して、細かい条件下で絞り込むようにしましょう。
また、効果的なアンケートを行うためには、アンケートの内容も重要です。
評価について調べる調査を行う場合は、評価に影響する要因についての設問も設けるといいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
アンケートで得られたデータは、分析して課題を見つけることが重要です。
全体像を把握するなら単純集計を、属性に基づいてデータを調べるならクロス集計を、というように、目的に応じて集計方法を選ぶようにしましょう。
また、効果的なアンケートを行うためには、適切な質問を設定することが大切です。
アンケートを実施しようと思っている方は、ぜひ、この記事で紹介した方法を試してみてください。
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<参考>
- 集計の基本(1)単純集計とクロス集計
https://www.macromill.com/tabulation/knowledge/gt-cross.html - クロス集計は分析の基本!
https://www.cross-m.co.jp/column/marketing/util58/ - 【アンケート集計の基本】初心者必見!クロス集計こそ集計の基本であり分析の全て
https://lactivator.net/2018/06/17/crosstabs/#i - 課題発見につながるアンケート分析方法とは?
https://www.emotion-tech.co.jp/resource/2018/questionnaire_analysis - アンケートは分析までが大切。集計や分析の手法とポイント
https://www.pi-pe.co.jp/solution/article/enquete_system/146/