マーケティングは選べる【マス、ダイレクト、ゲリラ】

マーケティングはかつて、ビジネスを上手に進める手法のひとつでした。ところが今やビジネスの「一丁目一番地」に位置します。マーケティングを無視したビジネスは無謀ですらあります。

これだけ重要性が増したマーケティングですので、種類も増えました。この記事では、マスマーケティング、ダイレクトマーケティング、ゲリラマーケティングの3つのマーケティングを概観していきます。

マーケティング 種類

なぜマーケティングに種類があるのか

マーケティングにいろいろな種類があるのは、釣りにいろいろな釣り方があるのと同じです。釣り人が魚種に応じて釣り方を変えるのは、そうしないと魚を釣ることができないからです。極端な例を紹介すると、真冬の富士五湖の氷上で行うワカサギ釣りの釣り方と、太平洋での捕鯨船団は、両方とも「水生動物を捕獲する行為」ではありますが、まったく形態は異なります。

現代のマーケティングも、ワカサギ釣りタイプから捕鯨タイプまでさまざまあります。

例えば、トヨタの広告宣伝費は年間4,487億円になります。一流大企業の年間売上高より多い金額です。

一方、街中のカフェがSNSでリピーターに来店を呼び掛ける費用は、ほぼ無料です。

そしてマーケティングが「奥深い」のは、トヨタのマーケティングのほうが、カフェのSNSより優れているかというと、そうではないところです。

まず、街中のカフェは大規模マーケティングを必要としません。それは街中のカフェは、「癒し」「隠れ家」「のんびり」「孤独」「静謐」といった価値を提供しようとしているからです。これらの価値は、大規模ビジネスの価値の対極にある、といってもいいでしょう。

したがって、大規模マーケティングでは、街中のカフェの顧客を増やすことはできません。

そして逆に、街中のカフェが展開しているSNSによる小さなマーケティングは、大企業にも有効です。

大企業は今、顧客たちのニーズの多様化に四苦八苦しています。大量生産した商品は見向きもされず、少量多品種生産しなければならないからです。多くの大企業は、少量多品種の商品の売り方を知りません。小さいビジネスが苦手なのです。

そこで今、大企業のマーケターたちは、街中のカフェの小さなマーケティングを応用しているのです。

ビジネスの種類が増えれば、マーケティングの種類も増えるわけです。

マスマーケティングとは

マスマーケティングのマスとは大衆のことです。マスコミやマスメディアのマスです。そしてマス広告という言葉もあります。

ほぼすべての消費者に自社の商品やサービスを一気に知らせるには、マス広告を使ったマーケティングが有効です。

例えば2019年7月、清涼飲料水の王者、日本コカ・コーラ株式会社が、エナジードリンク市場に「コカ・コーラエナジー」を投入しました。

コーラ

画像引用:https://www.cocacola.jp/energy/

エナジードリンク市場は、モンスターエナジーやレッドブルなどが先行していて、コカ・コーラは完全に後手に回っていました。そこで抽選で5万人にコカ・コーラエナジーをプレゼンとするキャンペーンを、発売と同時に始めました。

コーラ

画像引用:https://www.cocacola.jp/energy/guide_ticket.html

これにより、一気に全国民にアピールすることができます。

このようにマスマーケティングは大企業が新規事業を開始したり、社運をかけたプロジェクトを仕掛けたりするときに使われます。

ダイレクトマーケティングとは

ダイレクトマーケティングは、顧客に直接(ダイレクトに)働きかけるマーケティングです。

ダイレクトマーケティングでもマス広告を使うことがあります。では、マスマーケティングと何が違うのでしょうか。

かなり大雑把に両者の違いを説明するとこうなります。

・ダイレクトマーケティングは広告で「買ってください」と依頼する

・マスマーケティングは広告で「どうでしょうか」と問いかける

ダイレクトマーケティングの代表例は、美容商品のドモホルンリンクル(株式会社再春館製薬所)や趣味物品と出版のデアゴスティーニ(株式会社デアゴスティーニ・ジャパン)です。

メーカーが、卸会社などの中間業者を通さず、商品や製品を直接消費者に届けます。消費者は直接代金をメーカーに支払います。

ダイレクトマーケティングを実施すると、中間マージンを節約できるだけでなく、消費者と価値観を共有することができます。

ただ、中間業者の力を借りないことになるので、販路の拡大が限定的になってしまいます。

したがって、ダイレクトマーケティングでコアなファンをつくり、事業が拡大したらマスマーケティングに切り替える、という戦略を取ることもできます。

ゲリラマーケティングとは

ゲリラマーケティングを採用すると、消費者にサプライズを届けることができます。ゲリラマーケティングにおけるゲリラとは「突然」「大量に」「秘密裏に」「意外な方法で」「ユーモラスに」といった意味があります。

アメリカの格安航空会社(LCC)のジェットブルー社は、真冬のニューヨーク・マンハッタンに巨大な氷の塊を置くキャンペーンを行いました。氷のなかには水着やビーチサンダルなどが埋め込まれています。

そして氷の上には「Break out of the NY chill and find your oasis with prizes from Greater Palm Springs.(ニューヨークの氷を壊して常夏のオアシス、グレイター・パーム・スプリングスに行こう)」と書かれた看板が掲示されています。

通行人は、この氷を割れば、なかの商品をもらうことができます。

ツイッター

画像引用:https://twitter.com/gigantevaz/status/685197360356560897

これはジェットブルー社が、砂漠のリゾート地「グレイター・パーム・スプリングス」の観光団体とタイアップした企画です。

いきなり都市部に氷を置く意外性、氷を破壊させるユーモアがあります。

そして上記の写真のように、ツイッターで全世界にキャンペーンの様子が知れ渡りました。

まとめ~だから面白い

マーケティング論やマーケティング学は、大学の経済学部や商学部で人気の講義になっています。それはマーケティングが面白いからです。

マーケティングは、成功と失敗がすぐにわかる点で、エキサイティングな業務です。また消費者を直に感じることができるので、やりがいを感じやすい仕事でもあります。

企業の担当者が、自身の手持ちの札として多くのマーケティング手法を持っていれば、この仕事はさらに楽しくなるでしょう。

 


<参考>

  1. 「広告宣伝費」が多いトップ300社ランキング(東洋経済)
    https://toyokeizai.net/articles/-/187757?page=2
  2. コカ・コーラエナジー、誕生。(コカ・コーラ)
    https://www.cocacola.jp/energy/
  3. ドモホルンリンクル(再春館製薬所)
    https://www.saishunkan.co.jp/domo/
  4. デアゴスティーニ(デアゴスティーニ)
    https://deagostini.jp/series.php
  5. 世界のS&M企業の、衝撃!ゲリラマーケティング事例7選(宣伝会議)
    https://www.advertimes.com/20160315/article220020/
  6. ツイッター投稿
    https://twitter.com/gigantevaz/status/685197360356560897