3分でわかる市場調査とは?新規事業を成功させる鍵になる【事例紹介】

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

間違った市場調査は、太平洋の真ん中で投網を投げるようなものです。投網は、河川で使えば広い範囲の魚を捕らえられますが、太平洋で使うには小さすぎます。

市場調査も同じで、「市場」や「消費者」を捕らえようとしても、一企業が実施する規模では捕らえきれません。そこで市場を細分化したり、消費者を分類したりして、その狭い範囲の市場や消費者を調査する必要があります。

そのためには、市場調査の目的を明確にする必要があります。

市場調査を実施するときに必要になる目的設定と、具体的な調査方法について解説します。

そして市場調査が大成功を呼び寄せた事例として、明治のザ・チョコレートの開発チームの取り組みを紹介します。

市場調査とは何なのか

市場調査は何なのでしょうか。それを知るには、市場とは何かを知らなければなりません。

企業やビジネスパーソンにとっての市場には次のようなものがあります。

  • 自社の商品やサービスを売る場所
  • 消費者が居る場所
  • 多額のお金が動く場所
  • 広告を出す場所
  • ライバル会社が活躍している場所

もちろん市場はこれだけではありません。企業やビジネスパーソンが「勝負をかける場所」が市場になります。

市場が明確になれば、市場調査の目的を細分化することは難しくありません。

何のための市場調査なのか

市場調査はマーケティングの一環として行われるので、市場調査の目的とマーケティングの目的は一致させても構いません。

したがって市場調査の目的は、新製品を投入するため、売れ行き不振のサービスを巻き返すため、値上げを実施しても売上高が落ちないか探るため、などあらゆる内容にすることができます。

調査方法の種類とその狙い

市場調査の調査方法はいくつかありますが、ここでは以下の4つを紹介します。

市場調査

販売促進調査は、販売額を増やすために有効な手段を探す調査です。販促の手段には、広告やイベント、広報活動など多数あります。そして販促手段によって届く顧客層や、顧客への食い込み度合いが異なります。さらに、販促手段によってコストがまちまちです。

そこで、いくつかの販促手段を試験的に作成し、調査対象者に「どれが心に届くか」を尋ねるわけです。

商品開発調査は消費者ニーズを探る調査であり、最も基本的かつ重要な調査といえるでしょう。「このような商品が発売されたら買いたいですか」と直接尋ねてもよいですし、開発部門が「何を開発したらいいのか」と悩んでいる場合、消費者が何にお金を使っているのか探ることもできます。

満足度調査では例えば、自社製品や他社製品の使い心地を調べたりします。商品やサービスのなかには、それを売っている企業自身がなぜ売れているのかわからないこともあります。それではいつ売上高が落ち込むかわかりませんし、改良を加えるタイミングもわかりません。それで顧客に、どこに満足しているのか尋ねるわけです。

また満足度調査は、どうしてもライバル製品を追い越せないときに行っても有効です。

価格調査は、なかなかデフレ経済が終焉しない日本のマーケットでは特に重要視されています。原材料や人件費のコストは上昇しているのに、消費者は値上げを許しません。したがって企業は、値上げをするときは1円刻みで設定価格を検討します。それには厳格な価格調査が必要になります。

市場調査によって成功した明治ザ・チョコレート

2017年に、明治の高価格帯の板チョコ「ザ・チョコレート」が爆発的なヒットを記録しました。従来の2倍の価格にも関わらず、1年で3,000万枚も売り上げたのです。

しかし大ヒットを記録したのは2代目で、2014年に発売された初代ザ・チョコレートは、品質の高さからチョコレート・マニアには注目されたものの、ヒットと呼べるほど売れたわけではありません。

2代目がヒットしたのは、パッケージでした。

ザ・チョコレートのスタイリッシュなパッケージ

出典:明治の公式ホームページ

https://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/

日本製の板チョコとは思えないスタイリッシュな外観です。これならちょっとしたお土産にすることもできます。それでいてザ・チョコレートは、高いとはいえ1枚数百円でスーパーやコンビニで購入できる手軽さがあります。

マーケティングではいつも「そう」ですが、成功事例をみると「正解はこれしかない」と思えます。ザ・チョコレートのパッケージも製品もコンセプトも「売れて当然」と思わせる説得力があります。

では明治はどのようにして、ザ・チョコレートのマーケティングの正解を見つけたのでしょうか。

パッケージの責任者である「明治ザ・チョコレート専任課長」は、「自分でも、このパッケージを見たときは売れるのか不安だった」と振り返っています。つまり専任課長自身、個人的にはそのデザインに好感を持ったものの、斬新すぎて今一つ確信を持てなかったわけです。

そして案の定、役員たちも冒険的すぎるとして、反対しました。

ちなみに、明治の定番の板チョコのパッケージは以下のとおりです。ザ・チョコレートの突き抜け具合は明白です。

明治の定番商品のパッケージ

出典:明治の公式ホームページ

https://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/mchoco/

しかし専任課長は、反対する役員に「このザ・チョコレートのターゲット層はあなたの年代ではない」と言い放ちました。それで役員が折れ、このパッケージで発売することにして起死回生の大ヒットを勝ち取ったのです。

ではなぜこの専任課長は、不安を抱えながらも、そこまで「啖呵(たんか)」を切ることができたのでしょうか。それは消費者調査でよい結果が出ていたからです。なんと9割以上の客(調査対象者)がパッケージのデザインに好感を持ったのです。

明治の経験則では、どれだけ手ごたえのある新製品でも、客の好感度はせいぜい7割が限界でした。したがって9割の賛同は「かつてない客の圧倒的な支持」だったわけです。

市場調査(ここでは消費者調査)の数字は、不安になっている担当者を勇気づけ、反対する役員を押し切る説得力を持っているのです。

まとめ~数字の力、声の力

市場調査には数字の力と声の力があります。定量調査で得られる数字は、経営者でも覆すことはできません。定性調査で得られる消費者の生の声は、経営者の指示より当を得ていることがあります。

市場調査の2つの力は、マーケティングの推進力になります。それだけに、市場調査の目的や方法が不適切で、間違った数字が出てしまうと、「市場調査で売れると判断して投資を拡大したのに、さっぱり売れない」といった結果を招くことになります。

市場調査を何のために行い、どのように行うかは、十分検討を重ねる必要があるでしょう。

 


<参考>

  1. ザ・チョコレート(明治)
    https://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/lineup/
  2. ザ・チョコレート(アマゾン)
    https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88-%E6%98%8E%E6%B2%BB-%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%A450%EF%BD%87%EF%BC%B810/dp/B07TS6N6NM/ref=asc_df_B07TS6N6NM/?tag=jpgo-22&linkCode=df0&hvadid=342472996038&hvpos=1o1&hvnetw=g&hvrand=15669630034063857232&hvpone=&hvptwo=&hvqmt=&hvdev=c&hvdvcmdl=&hvlocint=&hvlocphy=1009054&hvtargid=pla-785163376298&psc=1&tag=&ref=&adgrpid=71768199107&hvpone=&hvptwo=&hvadid=342472996038&hvpos=1o1&hvnetw=g&hvrand=15669630034063857232&hvqmt=&hvdev=c&hvdvcmdl=&hvlocint=&hvlocphy=1009054&hvtargid=pla-785163376298
  3. 「あなたの年代がターゲットではない」上司へ放った“あのひと言”の真相|明治のチョコレート革命(リクナビNEXTジャーナル)
    https://next.rikunabi.com/journal/20180221_c/
  4. ザ・チョコレート 商品価値を体験を通じて伝える(日経XTREND)
    https://trend.nikkeibp.co.jp/atcl/trn/column/17/110600040/111000008/