「アンケートは水もの」と感じている経営者はいないでしょうか。
「アンケート結果が完全に的外れだった」と感じたことがあるマーケターはいないでしょうか。
新製品に関するアンケート結果で「売れる」と確証できたのに、いざ発売してみたら「さっぱり」ということも珍しくありません。
なぜ、このような事態が起きるのでしょうか。
そしてなぜ、それでもなお、アンケートはマーケティングの重要ツールとして生き残っているのでしょうか。
それは「信頼できるアンケート結果」はマーケティングの成否を左右する重要な資料であり、やり方さえ間違えなければ、確度が高いアンケート結果を得ることができるからです。
アンケートを実施する前に、関係者全員で作戦会議を開きましょう。
そこで打ち合わせすべき項目のすべてを紹介します。
アンケートを実施する前に決めること
アンケート会議では、以下の7項目に取り組むようにしてください。
いずれも重要な準備なので詳しくみていきます。
目的を決める
アンケートは消費者の意向を把握する目的で行いますが、1回のアンケートで知ることができる内容は意外に限られています。
したがって、目的を絞ってアンケートの質問を構成する必要があります。
例えば、「消費者がこの商品を好意的に思っているかどうか知りたい」という目的は大きすぎます。
望ましい目的は、「商品をどのようなときに使っているか」「使い勝手が悪いと感じるポイントはどこか」といった小さなものです。
目的が小さいほど、確度が高い情報を得ることができるからです。
ターゲットを決める
誰にアンケートに回答してもらうかはとても重要です。
しかし、「なんとなく全員の意向を聞きたい」と考える経営者は少なくありません。
アンケートは、大きすぎる目的を達成できないのと同じように、すべての人の意向を捕らえることもできません。
例えば「20代男性」だけでも、ターゲットが広すぎるかもしれません。「20代の学生」「20代の職業経験3年以上の男性」といったようにターゲットを狭めるほど、よい結果が得られるでしょう。
結果の仮説を立てる
アンケートを始める前に、担当者は、どのような結果が出るか予想しましょう。
例えば、新製品の販売開始から半年が経ち、売上が芳しくないために欠点を洗い出す目的でアンケートを行うとします。
このとき、アンケートのスタッフは、消費者が不便に感じている点や製品の欠点を予測しながらアンケートの質問を考えていくとよいでしょう。
つまり、スタッフなりに売れない理由の仮説を立てるのです。こうすることで、アンケート結果が出たときに、仮説が正しかったのか間違っていたのかがわかります。
もし仮説が正しかった場合、問題解決はスムーズに進むでしょう。アンケート・スタッフがわかっている欠点であれば、開発陣や営業担当者も承知しているはずだからです。そして消費者も同じ欠点を指摘していることがわかったので、その欠点は「当然改善すべてき内容」と社内で認知されます。
もし仮説が間違っていたら一大事です。つまり、その企業は消費者の意向を完全に読み違えているからです。しかし、一大事を見える化できたことは、アンケート実施の大きな成果といえます。
実施期間を決める
アンケートはいつ実施するかも大切です。
回答内容が季節の影響を受けることもあるからです。
したがって、実施期間は短いほうが理想です。
しかし、短期で実施するには人手が必要になるのでコストがかかります。
また、大規模アンケートを実施する場合は、短期では物理的に不可能なことがあります。
集計方法を決める
アンケートを回収し終えたら、集計しなければなりません。
集計には単純集計やクロス集計があるので、統計学的手法を駆使してアンケート結果のなかに隠れている「消費者の声」を上手に拾い出しましょう。
分析方法を決める
集計は機械的に進めることができますが、集計結果を分析するのはアナログ的な手法が必要です。
分析とは、数字が持つ意味を言葉で表現することです。
また、分析は厳密に行わなければなりません。
例えば、「強く支持する:35%」「やや支持する:32%」と出たとき、「支持層:67%」とひとくくりにすることは、どの企業でも行います。
しかし、それ以上に大切なのは、「なぜ32%の人は支持しているのに強い支持にならないのか」を考えることです。アンケートを実施していなければ、検討できなかった課題です。
なぜ重要なのかというと、「やや支持している」人は、時間の経過とともの「支持しない」層に転ずる危険があるからです。
回答率を上げる取り組みを決める
冒頭で、実際の消費者行動が、アンケート結果に反する内容になることがある、と紹介しました。これが起きるのは、確度が高くないアンケートを実施してしまったからです。
では確度が高いアンケートはどのように実施すればいいのでしょう。
回転率を上げればいいのです。
これはとても大切なので、次の章で詳説します。
こうすれば回答率が上がる
例えば、1,000人にアンケート用紙を配布して100人しか回答しなかったら、900人の意向は未知のままになってしまいます。
もし、未知の領域のなかに「消費者の本音」が隠されていた場合、100人の回答を集計・分析しても消費者の本音をみつけることはできません。
したがって回答率を上げることが、アンケート結果の信憑性の向上につながるのです。
回答率を上げるには、質問数を少なくしたり、選択肢を減らしたり、質問の文面を答えやすくする必要があります。
また、社運をかけた新製品のマーケティングでアンケートを行う場合は、回答者に謝礼金を支払ったり、回答者のなかから抽選でプレゼントが当たるようにしてもよいでしょう。
まとめ~「答えていただく」気持ちで臨もう
アンケートは、担当者が手間をかけるほど精度と確度が増します。
そのためにはまず、自分たちや自社が本当に知りたいことを明確にする必要があります。
そして、アンケートの回答者は「適当に答える」と疑ってかかりましょう。
それは、消費者は簡単には本音を明かさないからです。また、無意識に「嘘」を回答する人もいます。人というものは、いくら匿名のアンケートでも、自分をよくみせたいと考えるからです。
本音を引き出すアンケートを実施するには、事前の作戦会議がとても大切です。
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<参考>
- 成果を出す!アンケート作成業務に必須の7つのポイント【アンケート作成編】(シナジーマーケティング)
https://www.synergy-marketing.co.jp/blog/enquete-created-seven-point-making-section - アンケート作成にコツはある?設問や回答率アップのために考えること(PSPED BITS)
https://www.pi-pe.co.jp/solution/article/enquete_system/140/