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KPIの概要とそのメリット
企業のゴールには、1)利益を挙げること、2)社会貢献、3)従業員の幸福の実現の3つがあります。しかしいずれも、小さな業績を長年の積み重ねていくことでしか実現できません。 つまり、小さな業績の評価と、長年にわたる業績の評価が必要になります。これがKPIです。 そして経営者や管理職やプロジェクトチームのリーダーは、社員やスタッフたちがすべきことを明示して、それを達成できたら評価しなければなりません。 また、社員やスタッフたちがすべきことの集大成がゴールになるように「すべきこと」を設定しなければなりません。 これが「KPIを使った仕事の進め方」になります。KPIの進め方
KPIは次のように進めていきます。 ・ゴールとの関係を決める ・KPIの要素を選ぶ ・KPIルートをつくる いずれも重要なので、のちほど章をあらためて詳しく解説します。一般従業員こそKPIを使おう
KPIは業績を正しく評価する指標ですので、経営者や管理職にとって便利なツールです。KPIを使えば業績を正しく把握できるので、なぜ利益が出ているのか、またはなぜ損失が多いのかがわかります。これがKPIを使うメリットです。 そしてKPIは、一般従業員こそ使うべきでしょう。上司からの指示された仕事を完成させるには、複数の業務をこなさなければなりません。ひとつの仕事の完成は、複数の業務の完成の積み重ねなので、ひとつひとつの業務が「ほぼ完璧」でも、完成した仕事は「大きくずれる」ことがあります。 そのためには、ひとつひとつの業務を「完璧」に仕上げる必要があります。 完璧かどうかを評価するのが、KPIです。KPIを身につければ、システマチックに完璧な仕事を遂行できるようになります。 これもKPIを使って仕事をするメリットです。ゴールとの関係を決める
それではKPIの進め方をみていきましょう。まずはKPIとゴールとの関係を決める必要があります。 KPIを使って仕事をしたほうがよいのは、ゴールに最短距離で到達できるからです。すべてのビジネスパーソンは、ゴールに到達しなければなりません。そして優秀なビジネスパーソンは、最短コースを進んでゴールに到達しています。 ゴールに到達するには、障害を除去しながら、目標をクリアしていく必要があります。 例えば、月間販売100個の商品を、月間販売1,000個にする仕事が与えられたとします。このとき、顧客がいない、販売店が少ない、といったことが障害になります。そして、まずは早期に200個にする、1年以内に月500個にする、といったことが目標になります。 KPIはこれらの障害と目標のひとつひとつについて、業績評価をします。そして障害や目標のことを「KPIの要素」といいます。 次の章で、KPIの要素の選び方を紹介します。KPIの要素を選ぶ
KPIの要素選びは重要です。要素が間違っていては、業績を正しく評価できても、ゴールまでの道のりは短縮しません。 したがって、プロジェクトチームでKPIに取り組むときは、チームのメンバー全員でKPIの要素を洗い出しましょう。そして要素をメンバー全員で共有化しましょう。 例えば、月間販売100個の商品を、月間販売1,000個にするためにプロジェクトチームが編成されたとします。このときの要素としては、次のようなものが挙がるでしょう。 ・顧客を増やす ・販売店を増やす ・販売員を増やす ・新しい販売方法を生み出す ・早期に月200個を達成する ・12カ月以内に月500個を達成する ・18カ月以内に月1,000個を達成する 要素が7つ挙がりました。これが評価の指標、つまりKPIになります。 顧客を増やしたら、「業績」として「評価」することができます。販売店が増えたら、やはり「業績」として「評価」します。月200個を達成しても「業績」として「評価」します。 しかしこれらをバラバラに遂行することはできません。そこでKPIの要素が明確になったら、KPIルートをつくります。KPIルートをつくる
KPIルートは、いわば作業手順のようなものなのですが、その手順書が完成すると、まるで都市部の複雑な国道ルートのようになるので、そのような名称になっています。 月1,000個プロジェクトの以下の7つの要素を使ってKPIルートをつくってみましょう。 ・顧客を増やす ・販売店を増やす ・販売員を増やす ・新しい販売方法を生み出す ・早期に月200個を達成する ・12カ月以内に月500個を達成する ・18カ月以内に月1,000個を達成する(ゴール)
実行する
KPIルートが完成し、月1,000個プロジェクトメンバー全員で共有できたら、あとは実行に移すだけです。KPIルートとおりに進めましょう。そしてKPIの要素が達成できた段階で評価しましょう。 先ほどのKPIルートによれば、「月100個」から4本の枝が出ています。すなわち「月200個」「販売店を増やす」「販売員を増やす」「新しい販売方法を生み出す」は同時並行で実行する必要があります。 したがってプロジェクトチームを4班にわけて実行させます。 例えば「月200個」班は、工場に出向いて月200個を生産できるのか確認しなければなりません。なぜなら現状は月100個しか売れていないので、工場は「これからも月100個つくればノルマを達成できる」と考えているかもしれないからです。 「販売店を増やす」班は、対象商品を取り扱ってくれる販売会社を回る必要があります。そして「販売員を増やす」班は自社販売の強化策を練ります。「新しい販売方法を生み出す」班は、イベントやキャンペーンや広報活動、広告などを検討します。 そしてプロジェクトチームのリーダーは、それぞれの要素に期限や目標値を決めて、メンバーに伝え、進捗状況を管理します。 そしてメンバーが期限内に目標を達成したら評価を行い、次の要素である「月500個」や「顧客を増やす」に向けて、班を編成し直していきます。まとめ~採用しない理由がない合理的な方法
KPIは個人が自分ひとりの仕事を進めるうえでも、プロジェクトチームがミッションを完遂させるためにも、業績が落ち込んでいる企業をV字回復させるときにも有効です。 そしてKPIでは、要素を積み上げてゴールを決めるのではなく、ゴールを要素ごとに分解するイメージでつくっていきましょう。KPIの要素は「ゴールありき」で洗い出してください。 プロジェクトチームのリーダーや経営者は、メンバーや従業員に「KPIの要素さえ完遂できればゴールに到達できる」と説明することで、モチベーションを高めることができます。 KPIは、採用しない理由がみつからない、といってよいほどの合理的な手法です。無料お役立ち資料フォーム
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