
目次
アンケートは分析しなければ「無」に等しい
アンケート業者はクライアント企業に 1)どのような情報を期待しているのか 2)回収したデータをどのように活用するのか 3)アンケート結果をどのように予測しているのか といったことを尋ねるでしょう。 自社のポジティブな情報を知りたいのか、それとも悪い評判を調べたいのかで、アンケート用紙に記載する質問内容も、アンケートの実施方法や実施場所も変わってきます。 アンケート業者からヒアリングを受けるだけで、かなり多くのノウハウを吸収できるでしょう。 例えば、ある男性がある女性に、自分のことをどう思っているか知りたがっていたとします。このとき「僕のことを好きですか」と尋ねた場合と、「僕のことは嫌いですよね」と尋ねた場合では、回答が変わってくる可能性があります。また、同じ質問でも、公園で尋ねた場合とレストランで尋ねた場合で、答えは変わってくるでしょう。 アンケートも同じです。 そして、アンケートは、回収した後に集計して分析することが重要です。 企業がアンケートを実施すると、社長や経営陣や幹部社員たちは結果を早く知りたがります。彼らは、よい回答も悪い回答も待ち望んでいます。 そのため、しっかり集計・分析せずにアンケート結果を渡してしまうと、渡された人たちは「思ったよりプラスの意見が多く安心した、継続しよう」「辛辣な意見がある、現場の社員はけしからん」というふうに、抱いている印象によって結果を判断してしまいます。 これではアンケートを行う意味がありません。 アンケートはマーケティングの重要ツールであり、アンケート結果は客観的なデータです。 よい業績または悪い業績のエビデンス(証拠、根拠)になり得ますが、アンケート結果が価値を持つのは、適切に集計・分析を行ったときだけです。 集計と分析をしないアンケートは、ほとんど「無」に等しいといわざるを得ません。単純集計とは
アンケートの集計方法はいくつか種類がありますが、ここでは単純集計とクロス集計を解説します。 まず、単純集計ですが、これはその名のとおり、アンケートの回答数を単純に数えただけです。 例えば、コーヒーショップをチェーン展開している会社が、客に「コーヒーの味の感想」を尋ねたとします。 選択肢は「苦いから好みだ」「酸味が強く好みだ」「苦いから嫌い」「酸味が強く嫌い」の4個用意したとします。 以下の集計は、単純集計です。Q:コーヒーの味の感想は? | ||
苦いから好みだ | 100人 | 14.9% |
酸味が強く好みだ | 243人 | 36.2% |
苦いから嫌い | 166人 | 24.7% |
酸味が強く嫌い | 163人 | 24.3% |
計 | 672人 | 100.0% |
クロス集計とは
クロス集計の解説をする前に、先にクロス集計した表をみてみましょう。Q:コーヒーの味の感想は? | |||
苦いから好みだ | 男性 | 28人 | 4.2% |
女性 | 72人 | 10.7% | |
酸味が強く好みだ | 男性 | 108人 | 16.1% |
女性 | 135人 | 20.1% | |
苦いから嫌い | 男性 | 123人 | 18.3% |
女性 | 43人 | 6.4% | |
酸味が強く嫌い | 男性 | 105人 | 15.6% |
女性 | 58人 | 8.6% | |
計 | 672人 | 100.0% |
Q:コーヒーの味の感想は? | ||||
苦いから好みだ | 男性 | リピーター | 10人 | 1.5% |
男性 | 非リピーター | 18人 | 2.7% | |
女性 | リピーター | 32人 | 4.8% | |
女性 | 非リピーター | 40人 | 6.0% | |
酸味が強く好みだ | 男性 | リピーター | 93人 | 13.8% |
男性 | 非リピーター | 15人 | 2.2% | |
女性 | リピーター | 54人 | 8.0% | |
女性 | 非リピーター | 81人 | 12.1% | |
苦いから嫌い | 男性 | リピーター | 33人 | 4.9% |
男性 | 非リピーター | 90人 | 13.4% | |
女性 | リピーター | 32人 | 4.8% | |
女性 | 非リピーター | 11人 | 1.6% | |
酸味が強く嫌い | 男性 | リピーター | 38人 | 5.7% |
男性 | 非リピーター | 67人 | 10.0% | |
女性 | リピーター | 38人 | 5.7% | |
女性 | 非リピーター | 20人 | 3.0% | |
計 | 672人 | 100.0% |
クロス集計には適切な質問設定が重要
クロス集計をするには、適切な質問を設定しなければなりません。 つまり、質問をつくる際に、「コーヒーの味の感想を知りたい」とするだけではなく、「男女ではどれくらい差が出るだろうか」「リピーターだけの意見を聞きたい」といったように、知りたいことを細かく出していかなければなりません。分析とは
適切な質問を設定すれば、あとはクロス集計を工夫するだけでさまざまな分析ができます。 新規客を増やしたければ、非リピーターの数字を追っていけばいいですし、女性客を増やしたい場合は、女性の数字だけを追うこともできます。 アンケートの集計結果を分析するときは「ネガティブな数字」を素直に受け入れる姿勢が大切になります。 例えば、先ほどのアンケートでは「苦いから好みだ」と答えた男性リピーター客は1.5%しかいません。 このコーヒーをこのまま売り続ければ、男性客はどんどん減っていくため、コーヒーの売り上げを良くするには、ブレンドをして苦味を落とすという対策が有効です。 つまり、ネガティブな数字こそ、明日のビジネスのヒントになります。まとめ~質問、集計、分析を三位一体で進める
アンケート結果を実際のビジネスに役立てるのは簡単ではありません。 しかし、アンケート結果の分析の精度を高めれば、業務の具体的な改善対策を練ることができます。 分析の精度を高めるには、経営者や管理職が、アンケートの集計結果を「穴が開くほど」みて、数字のなかに隠れている「知りたいこと」を探さなければなりません。 そうすることによって、数字のなかに「知りたいこと」が入っていないことに気付くこともできるので、アンケートの担当者に次のアンケートで質問を加えるように指示することができます。 アンケートの業務は「質問の設定→集計→分析」という流れで進みますが、質問は、「分析結果の仮説(知りたいことの予測)→集計結果の予測→質問づくり」という流れでつくっていきます。 質問と集計と分析はアンケートの三種の神器です。無料お役立ち資料フォーム
<参考>