一昔前は「体裁が悪い」という理由で、仕方なくホームページをつくっている会社もありました。
しかし今や、企業のサイトは商品やサービスのPRから、顧客の確保、仕事の獲得までを担っています。
サイトが最大の稼ぎ頭になっている会社もあるでしょう。
経営者は、自社のサイトやライバル会社のサイトのアクセスログを解析しているでしょうか。解析結果の報告すら受けていない、という社長はいないでしょうか。
社長は、アクセスログ解析の結果を踏まえて、サイトの編集方針を担当者に伝えなければなりません。
ユーザー(閲覧者)の気持ちはうつろいやすく、自社サイトを小まめにアップデートしていかないと、すぐに飽きられてしまいます。
そこでこの記事では、ほとんどアクセスログをチェックしてこなかった人向けに、基礎的な知識を解説していきます。
アクセスログとは
アクセスログとは、ユーザー(閲覧者)がどのようにサイトを閲覧・利用したのかがわかる記録のことです。ユーザーは特別な操作をしなくても、あるサイトを閲覧しただけで少なくとも次の5つの事項をサイト運営者側に知られてしまいます。
企業としては、ユーザーに関する次の5つの情報を簡単・確実に手に入れることができるわけです。
<アクセス時刻>
アクセス時刻とは、ユーザーがサイトを閲覧した時刻のことです。
ユーザーがサイトにアクセスするたびにアクセス時間が記録されるので、アクセス回数もここからわかります。
<リクエスト・ファイル>
ユーザーが検索エンジンでサイトを選んだり、ブラウザにサイトアドレス(URL)を入力したりすると、サイトが表示されます。表示されたサイトのことをリクエスト・ファイルといいます。
アクセスログにはリクエスト・ファイルのURLが表示されます。
<リファラー>
リファラーは、検索エンジンやリンク元などのことです。検索ワードもリファラーでわかります。ネット広告もリンク元のひとつです。
<ユーザーエージェント>
ユーザーエージェントはブラウザのことです。代表的なブラウザには、グーグル・クローム、ファイヤーフォックス、マイクロソフト・エッジ、インターネット・エクスプローラーなどがあります。
<IPアドレス>
IPアドレスとは、パソコンをインターネットに接続したときに、プロバイダからそのパソコンに割り当てられる番号です。IPアドレスはインターネットに接続するたびに、オリジナルの番号が割り当てられるので、警察などが本格的に操作すれば個人を特定することができます。
もちろん一般的なアクセスログ解析ではそこまでしませんが、IPアドレスがわかれば、1人のユーザーがどのページをみたのかがわかります。
アクセスログから何がわかるのか
サイトは、アクセス数(閲覧数)が多いほど優れているといえます。しかしアクセスには、質が高いアクセスと、質が低いアクセスがあります。たまたま検索でヒットしたから閲覧された場合は、質が低いアクセスといえ、それをいくら増やしても売上にはつながらないでしょう。
そして質が高いアクセスかどうかは、アクセスログを解析しないとわかりません。アクセスログでは以下の3つのことがわかり、それによって企業は、売上を伸ばすために「できること」が増えます。
ユーザーがどこから来たのかがわかる
アクセスログのリファラーをみれば、ユーザーがどこからそのサイトに来たのかがわかります。例えば、グーグル検索から来るユーザーが多ければ、グーグルの検索アルゴリズムとサイトの編集内容の相性がよい状態にあることがわかります。企業にとってその状態は、とても歓迎できるものです。
しかしグーグルの検索アルゴリズムや相性は、常に変化します。つまり、ある日急に、グーグル検索から来るユーザーが激減するかもしれません。
したがって、定期的にリファラーをチェックしておき、経由ルートが変わったら素早く対策を打ち出さなければなりません。
また、リファラーを解析することによって、ネット広告からサイトに来るユーザー数がわかります。広告効果を確認することができるので、無駄のない広告出稿ができるようになります。
ユーザーは何を知りたいのかがわかる
アクセスログを解析すれば、1人のユーザーがそのサイトに何分間滞在したのかや、どのページを閲覧したのかがわかります。それがわかると、ユーザーが何を知りたいのかがわかります。
例えばトップページのリンクボタンからページAに流れるユーザーが多いことがわかったとします。しかし、ページAでの閲覧時間が短かったとします。
すると、トップページのデザインはきちんとページAに誘導できているものの、ページAの内容がつまらない、とわかります。
そこまでわかれば、担当者がページAのコンテンツを充実させればいいだけです。
また、リファラーでは、グーグル検索の検索ワードがわかります。例えばカフェのサイトにやってくる人の多くが「渋谷、カフェ、かき氷」を検索していることがわかれば、渋谷でかき氷が流行しているかもしれない、と推測することができます。
それがわかれば、インスタ映えするような新しいカキ氷メニューをつくることで、ライバル店に勝つことができます。
質の高いユーザーかがわかる
アクセスログには、「ページビュー(PV)の数」と「セッションの数」という2つの数字があります。PVは、1人のユーザーが閲覧したページの数です。例えばあるユーザーが、トップページをみて、その後ページAを閲覧すれば、そのサイトのPV数は2と出ます。
一方のセッション数は、1人のユーザーがそのサイトを訪れた回数です。トップページをみた後にページAに移っても、セッション数は1と出ます。
したがってPV数とセッション数がほぼ同じなら、ほとんどのユーザーはそのサイトを利用していないと推測できます。すなわち、質の低いユーザーです。
一方で、セッション数は少ないもののPVが多ければ、ヘビーユーザーがいると推測できます。つまり質の高いユーザーです。
質の高いユーザーは、有望なリピーター客になります。
まとめ~解析がサイトの編集方針を決める
アクセスログを解析すれば、サイトの編集方針が決まります。そして、アクセスログを解析しなければ、編集方針はわからない、ということでもあります。
サイトはものすごいスピードで陳腐化します。陳腐化とは、ユーザーに飽きられる状態のことです。陳腐化したサイトではもう稼ぐことはできません。
したがって企業は、常にサイトに新しいコンテンツを盛り込み、鮮度を保たなければなりません。
サイトの更新にはコストがかかるので、最安で最大の効果を挙げるために、アクセスログを厳格に解析しユーザーの心理を読み解きましょう。
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<参考>