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会社用格安スマホ「サンブレイズフォン」の開発秘話を株式会社アメグミ、常盤瑛祐CEOにインタビュー

2016年に設立されたスタートアップ、株式会社アメグミ(本社・東京都千代田区)。

同社は機能を最小限にしたスマホ「サンブレイズフォン(SUNBLAZE Phone)」を開発・販売していることで知られていますが、その端末の月額使用料はスマホでは破格の500円。

この価格の秘密は、ユーザーやエンジニアへヒアリングを実施し、その結果を基にOSから作成したこと。

アメグミのCEO常盤氏に同スマホの開発の極意をインタビューしました。

アメグミが開発・提供するサンブレイズフォンとは

常盤氏:アメグミの主力製品は、4,000円で提供されている格安スマホ「サンブレイズフォン」ですが、このスマホは、スマホ本体は中国で製造し、OSを自社で開発したもの。

これまでに1,000台を生産・販売するなど売れ行きは好調で、2020年5月現在、新たに2,000台を発注しています。

インド、ブラジル、ミャンマー、ルワンダで販売実績がありますが、日本のビジネスシーンでも機能を最小限にした格安スマホの需要があることから、2020年2月、企業に対して1台月額500円で貸し出すサービスを始めました。

資金集めも順調で、ディー・エヌ・エー(DeNA)共同創業者の川田尚吾氏や、フリークアウト・ホールディングス代表取締役の本田謙氏などから1.3億円の投資を受けています。

起業のきっかけはスケールができてデータが集まるビジネスを、と考えたこと

編集:起業のアイデアはなんだったのでしょう?

常盤瑛祐CEO インタビュー

                             (写真: インドでニーズ調査をする常盤瑛祐CEO(左))

常盤氏:そうですね、元々、4年前、タラがGPSとか電話の履歴を使ってマイクロファイナンスをするアプリを展開していて、僕はビジネスのデータ分析を仕事としていたんですけど、スケールができてデータが集まるビジネスをしたいと考えたのが最初のきっかけです。

編集:起業して3か月でインドに行った、というのは勇気がある、すごいと思うんですが、インドに行ったきっかけと目的はなんだったのでしょう?

常盤氏:インドに行った理由というのは、そもそも、ビジネスは単価×人数、なので、単価が大きくて人数が少ないか、単価が小さくて人数が多いか、のどちらかになるんですが、ソーシャルビジネスの場合、そして、貧困層という人数が多い方を狙うとなると、日本で貧困層というと人数がいなくてビジネスになりづらい、なので、中国と比べると経済が解放されていてやりやすく、インドネシアと比べて成熟しきっておらず、アフリカよりは経済成長してきている、ということからインドを選びました。

インドで低所得者層・中間層の労働者300人に「困っていること」を聞く

編集:インドに行って、どういう活動を始めたのでしょう?いきなりマーケティング・リサーチを始めたのでしょうか。

常盤氏:会社を設立して1カ月経ったころに、日本で起業家の懇親会があって、そこで日本語を流暢に操るインド人と知り合ったのですが、その人が、インドで知人を紹介してくれると言ってくれたので、その人のつてを使ってインドに行った、という形ですね。

僕は、インドの公用語であるヒンディー語を話すことができないので、懇親会で知り合ったインド人に知人を紹介してもらって、インド・リサーチの通訳をしてもらいました。

ヒアリングの内容としては、みんなが使っている物でないとデータが集まらないので、車とかバイク、SNSと求人サービス、モバイル、という5つのカテゴリで困っていることが無いかをひたすら聞きました。

編集:ここで、SNSとか求人サービスを見ようと思った理由とか、ここに課題があるんじゃないのか、と思ったきっかけはありますか?

常盤氏:大事なのは、みんなが使っているサービスでデータが集まる、ということで、次はどういう目線でプロダクトに落とし込むか、というところがあるけれど、大企業は、100%があったら80%の人が抱えるニーズを狙っていくんですね。一方、AmazonやFacebookなどのスタートアップの場合、熱狂的な少数派の人たち、小さい市場を独占する、というのがあって、インド市場の場合、10人中1人狙うだけでも1億人いるので全然サービスになる、10%の割合でニーズが共通していればいい、という考え方でした。そして、10%なら大企業も狙わないだろう、という発想で始めました。

編集:具体的に、どういう課題があるという仮説があったのでしょうか?

常盤氏:仮説は全然なかったです。

ブルーカラーとかローワーミドルインカムの人たちはインカムが無いので、仕事に関するニーズはあるだろうな、というざっくりした仮説はあったけれど、そこでビジネスを立ち上げられたらスケールするだろう、というざっくりした感じで。仮説よりは、そこで何かしらのサービスを立ち上げたい、という目的の方が強かったですね。

編集:SNSとか求人サービスを見てコメントとかを集めていく、というイメージですか?

常盤氏:路上でヒアリングをして、「なんで?」「なんで?」と困ったことを聞いていく、という感じですね。

編集:路上というのは、いろんな人に普段の生活を聞いて、「何か困ったことありますか?」とい聞いていく感じですか?

常盤氏:聞くことはさっきの5つで、「車に関して困っていることありませんか?」「携帯に関して困っていることありませんか?」という聞き方ですね。

編集:調査期間は1週間だったのでしょうか?それとも、3日くらい聞いて仮説を立てたのでしょうか?

常盤氏:リサーチ期間は1週間で、大都市のハイデラバードと、地方都市のエルルの2カ所で、下層中間層(ローワーミドル層)や労働者など約300人に、ひたすら困ったことを聞きました。

編集:300人というと結構大変な数だと思うんですが、どういう人に聞いたんでしょう?

常盤氏:基本は紹介でした。インド人はコミュニティが強く、「この人紹介してあげるよ。」という感じで繋がっていくので、そこで聞いていく、という感じです。

インタビューの中で10%から20%に共通した課題に注目

編集:困っていることを中心に300人にインタビューして、どういうことが見えてきたんでしょうか?

常盤氏:そこで見えてきたのがモバイルにつながるところで、ラムが足りない(スマホの目盛)とか、スマホを使ってない人はフィーチャーフォンで十分、という答えが返ってきました。

「ラムが足りないっていうのはなんで?」と聞いたら、「動作が安定しない」「タップしても動かない、重たい」、「フィーチャーフォンで十分なのはなんで?」と聞くと「スマホで遊ばない」「仕事で忙しいから遊んでる暇がない」という生活の流れが返ってくるという感じですね。

「生活が忙しいのはなんで?」と聞くと、親が病気だったり子どもの教育にお金が必要と返ってくる、という感じですね。

編集:300人のインタビューでいろんな人がいろんな答えをしたと思うんですが、なんで携帯・スマホの課題が気になったのでしょうか?

常盤氏:そもそも、携帯について聞こうと思っていた、というのがまずあって、その課題が共通して10~20%いた、その10~20%を解決できれば、インド人の10~20%を取れるだろうと思ったからです。

深堀する工夫は「なんで?」「なんで?」と5W1Hをひたすら聞くこと

編集:質問している時に、こう聞けばこう返ってくる、という感じの深堀の工夫とかあれば教えて下さい。

常盤氏:アンケートでいうと、「なんで?」「なんで?」というのが大きいですね。

なぜそう思っているのか、何をどう感じているのか、という5W1Hでひたすら聞いていく、というのが重要だと思います。

あと、ヒアリングに限らず、インタビューとかマーケットにしたら全部だと思うけれど、「こうですよね」とか「こういうことが欲しいですか?」という誘導はせず、基本的にはオープンクエスチョンで、相手と会話するように、返ってきたことに関して聞く、というのが重要だと思います。

編集:なるほど。誘導とか押し付けずに自由に話してもらう、というのが工夫としてあったということですね。

常盤氏:押し付ける、というのはまずダメだし、例えば「毎日美味しいご飯食べたいですか?」というのはみんなが「yes」と答える内容なので、そこで美味しいご飯を提供するサービスをつくっても本当にお金が払われるかどうかは分からない、というのはありますね。なので、そういう場合は、「ご飯で困っていることはありますか?」とか、「毎日ご飯美味しく食べれてますか?食べれてないのはなぜですか?」という質問をしないとダメですね。

ヒアリングから見えてきた2つの課題と仮説

編集:なるほど。300人ぐらいの人からモバイル周辺の課題が見えてきた、ということですね。そこで、新たな仮説が生まれたと思うんですが、例えば、さっきラムが足りないとかあったけれど、他にこういう部分に問題がある、というのが何個か見えてきたんでしょうか?

常盤氏:根本的な課題として、なぜスマホがもっさりしているのか、という技術的な問題が1つ生まれました。それと、フィーチャーフォンで十分と思っている人は、親の病気を治したり、子どもの教育費でもっと稼ぎたいと思っているけど、もっと効率的な稼ぎ方を考えないのはなぜなのか、という仮説が生まれました。

あと、なんでその状況を誰も解決できていないのか、というのがもっと大きな仮説ですね。

編集:なるほど。

1つの課題の仮説を固めつつ、その課題がなぜ解決されないのか、ということを新しく調べた、という感じですか?

常盤氏:そうですね。日本に帰国後、技術的な問題と、効率的にお金を稼げない訳をひたすら調べました。

日本でスマホ・エンジニアへヒアリングを実施

編集:日本に帰国後、インドで得られた洞察を再度整理したと思うんですが、どういう作業をしたのでしょうか。Excelでまとめたとか、本を読んだとか具体的に教えてもらえますでしょうか?

常盤氏:まず、なんでもっさりするのか、という技術的部分を調査しました。

モバイル関連のエンジニアとかにヒアリングして、そこで分かったのがアンドロイドの場合、グーグルプレイの審査基準が甘い、ということと、OSのアップデートを、スマホ・メーカーが管理しているという2つのことです。

あと、効率的な稼ぎ方をしないのはなぜか、というところは、そもそもリテラシーが高くないので、こう風にした方が良いのではないか、という風に考えられずに、今あるスキルのところをひたすら頑張る、と考える、というところが強いということが分かりました。

アプリでマイクロファイナンスができると話しましたけど、お金がない場合、アプリをダウンロードしてお金を借りる、という方法があるけれど、リテラシーが無いためそれができない、というところがありますね。あと、既存のプレーヤーとして何で解決出来ていないか、解決手段が無いか、というところを調べました。

編集:既存のプレーヤーというと、たとえばどういうプレーヤーでしょう?

常盤氏:サムスンとかoppoとか、AppleとかHUAWEIとか、そういうスマートフォンの会社があるのに、なんでもっさりしないスマホを創れないのか、なんでマイクロファイナンスを周知する人がいないのか、YouTubeとかインスタグラムとかがフィーチャーされて仕事向けのアプリがCMとかで流されないのはどうしてなのか、というところが気になりました。

問題に対する解決策をエンジニアへのヒアリングで模索

編集:エンジニアとかに質問した、という話がありましたが、エンジニアに話を聞くときに、その人たちをどう集めたのかとか、技術的なことを深堀するときに苦労したこと、どういうところに気を付けてもやもや感をクリアしていったのかとか教えて下さい。

常盤氏:苦労ということはないですね。元々エンジニアリングが好きだったので、本を読んだりイベントに参加して勉強したり、ネットとかでエンジニアのアカウントを見付けて話をさせてください、という感じで進めました。

編集:ちなみに、どれくらいの人数に聞いたのでしょう?

常盤氏:合計だと50人くらいですね。

優秀な人2・3人とか4・5人に聞くとだいたい意見が共通するので、そこで十分なところはあるんですけど。

編集:いろんな人に聞いて課題点を潰していったと。

50人くらいに聞いて出てきたのが、自分でOSを作れるんじゃないか、という仮説なのでしょうか?

常盤氏:そこでまず出てきたのがGoogleプレイの審査基準の問題と、OSのアップデートが来ない、というアンドロイドOSの問題ですが、アンドロイドOSはオープンソースだから、オープンソースをそのまま使って新しいアプリストアを作ってOSのアップデートをちゃんとやればできる、という風に思いついた感じですね、

編集:なるほど。

ヒアリングする中で、合ってるのかな、という不安は無かったのでしょうか?

常盤氏:無かったですね。単純に分からないことを聞いてその答えが返ってきたので。何で処理能力が問題となるのか、というところはコンピュータサイエンスを勉強したので、不安は解消されました。

編集:自分がイメージしている問題はこうだな、というのがあっても深堀していくと実はそうじゃない、というコメントが出てきたときに、自分をニュートラルにする方法とかありますか?

常盤氏:そもそも、自分のことはそんなに信じていなくて。自分の考え方でやってもうまくいかない、という人がいっぱいいるから、自分の考え方でやってもうまくいかない、と思っていたので、分からないことは人に聞きました。

あと、ブルーカラーの人、ローワーミドルインカムの人を支援したい、という自分の思いはあったけれど、手段を何にするか、ということは決めていなかったので、そこはユーザーにヒアリングして調べていったという感じですね。

編集:例えばどういう風に調べたとかありますか?

常盤氏:まずは、既存のスマートフォンのプレーヤーを調べるというところで、AppleやGoogle、HAUWEI、サムスンとかを調べました。そのときちょうど盛り上がってきたのがシャオミで、シャオミの本を読んだりしました。あと、ビジネスモデル全史とかをよんだりしました。

編集:本を中心に読んだ、という感じですか?

成功の秘訣はビジネスモデルを変えること

常盤氏:そうですね。シャオミはその時上場してなかったけど、GoogleプレイやAppleストアの市場規模とか四半期の出荷台数とか、インドのスマートフォンのシェアとかを調べました。そこから発見したのがスマートフォンメーカーの中で強いところはビジネスモデルが違う、ということが大きなものでした。

普通、スマホ・メーカーは、原価に対して利益をうわ乗せして売るけれど、シャオミが面白かったのは、利益を上乗せしていないということ。当時、シャオミは後発でインドでうまくいくのかといわれていたけれど、ビジネスモデルを変えたことで「1位」の座を手に入れたんです

イノベーションのジレンマとか、破壊的イノベーションとかを調べると、破壊的イノベーションの定義としてビジネスモデルを変えること、ということがあって、既存のプレーヤーが出来ていないのはビジネスモデルを変えられないから。シャオミが、ローワーインカムじゃなくアッパーミドルのところでシェアをとれたのは最初からビジネスモデルを変えられたからという仮説が建てられたんです。

ヒアリングをすすめる中で大変だったのは認識の齟齬を埋めること

編集:なるほど。インドでヒアリングして、帰ってきてエンジニアにヒアリングしたり自分で調べたりして、という中で、自分が思っていたことと全然違う、という答えやヒアリングしてよかった、と思ったことはありますか?

常盤氏:ほとんどの人はスマートフォンの市場は大企業しかできない、と思っているし、なんでシャオミが強いのかも知らない。顧客に対する考えはヒアリングすればOKなんですけど、エンジニアを仲間にするときとか、投資家からお金を集めるときとかは、認識の齟齬を埋めるのが大変でした。

編集:認識の齟齬は何と何の?

常盤氏:実際に起きていることとそれを知らない人がいる、ということですね。

なんでシャオミが強いのか、とか、なんでスマホでスタートアップがやっていけるのか、ということは何度も説明しないと分かってもらえなかったです。

編集:そこを重点的にしらべたりエキスパートにヒアリングした、という感じですか?

常盤氏:そう、ヒアリングしてこの人がこう言っているから問題ないですよ、とひたすら説明するという感じですね。

編集:エキスパートとか業界の人に結構ヒアリングしたという感じですか?

常盤氏:もちろん。そもそも、動作が安定しない・もっさりしているという問題がソフトウェアの問題なのかハードウェアの問題なのか、ということは気になりました。ハードウェアの問題だったら工場のせいなのでスタートアップがどうにかできるものではないので。そこをつぶすためにフォックスコンの人に聞きました。

エキスパートに聞くため展示会などさまざまなところに顔を出す

編集:フォックスコンの人ってエキスパートの人だと思うんですけど、そのエキスパートに聞く方法ってどういうことをしたんでしょう?

常盤氏:フォックスコンはたまたま日本にVCがあったから幸いだったというか、IoTの展示会でたまたま知り合うことができました。いろいろなところに顔を出す、というのが大事だと思います。あと、「こう思うんですけど」じゃなくて、「なんでこうなんですかね?」という聞き方をしないといけないですね。

編集:展示会とか集まっているところに行って、名刺交換してブースに飛び込んだんでしょうか?

常盤氏:僕が出展して、そこに来ていただいたんです。

その時は企画書しか展示してなかったんですけど(笑)

編集:なるほどね。その出展した目的はいろんな人に見てもらう、ということなんですかね。

常盤氏:ヒアリングはすごく大事ですね。製品造る前に企画書のレベルでいろんな人に話を聞くことは、小さく検証する、という意味があって。ヒアリングってアウトプットなんですけど、アウトプットからでもインプットできるので、企画書だけでもアウトプットした方が良いですね。

編集:商品を出す前に、ヒアリングとか自分の商品を出すとパクられる、というメンタルを持っている人もいると思うんですけど、その辺はどういう考え方でやってますか?

常盤氏:僕の場合特殊かもしれないんですけど、元々NPOとかソーシャルビジネスとか考えていたので、だれかがやってくれるといいな、と思っていたんです。

スタートアップは大変、ということが分っていたので、誰かがやってくれるんだったら助かる、くらいに思っていました。

企業家の友達に聞いたこともあるけど、パクられたことはない、といっていました。それは、みんな自分がやりたいことがあって、他のことには意外とすぐには飛びつかない、という感じですね。

編集:面白いですね。

展示会でヒアリングして、という時期が続いたんでしょうか?

常盤氏:2017年の1月にインドに行って、2月にOSでやろうとなって、3月から6月まで調査をして、7月にCTOと出会って、というタイムスケジュールでした。

製品開発のプロセスへ

編集:そこからエンジニアと製品を開発していったという感じですかね。

その途中でヒアリングとかアンケートをとったりとか結構したんでしょうか?

常盤氏:ヒアリングというか、次のレベルはスマホを作ったとして、どういうアプリを入れてどういう人に売るか、ということが決まっていなかったんです。ブルーカラーの人に小売店から売ろう、という風に考えていたけれど、販売方法もターゲットも決まっていなかったんです。

今は農業で農家の人に配っていく、という風に決まっていますが、その時は農家、というのも決まっていなくて、ブルーカラー、ということだけが決まっていました。

編集:今までのプロセスの中で感触があった瞬間とか、まずいんじゃないか、という瞬間とかありました?競合が強すぎる、とか、技術的に無理かもしれない、とか。

常盤氏:ヒアリングでエンジニア・OSのエキスパートの人に聞いていたので、技術的には無理じゃない、ただ、お金の面で、ハードウェアを作れるのかな、というところは心配でした。

小売店から販売する、というのも商社の人がのってくるかな、と思ったし、生産するためのお金もちゃんと集まるかな、と。

今は原価35ドルって分かっているけど、当時は原価がもっとかかると思っていたんですよね。なので、オーダーが1万台、となったときにお金がかかるな、と思ってました。お金と販売チャネル、ハードウェアがちゃんと作れるかな、というところですね。

課題抽出で大事なことは「相手の目線で聞く」こと

編集:最初のアイデアをつくるところと実際に実行していくところの2つに分けるとすると、最初の課題抽出のところで大事だな、と思うところはありますか?

常盤氏:一番大事なのは、自分のバイアスを持たずに、なぜなのか、というところに軸をおくということですね。相手の生活を軸にして相手の目線で聞いていく、ということ。

あと、なぜそこをだれも解決していないのか、ということもすごい重要ですね。

競合有意性とか顧客の声、というけれど、顧客が既存のサービスで満足していないからそこに解決する必要性とかチャンスとか、技術的な要因があったりする、ということであって、顧客のニーズを聞くだけじゃなくて、顧客がなぜ他のサービスで満足できていないのかは聞くべきですね。

そうすると、結果的に顧客のニーズイコールポジショニングになるので、そこを聞けるといいですね。

プレーヤーには「その課題がなぜ解決できないのか」を聞く

編集:なるほど。後半でエキスパートにヒアリングをした時に工夫したこととか注意すべきこととかありますか?

常盤氏:エキスパートも重要なんですけど、競合とか業界に強い人に「なんでそれが解決できていないのか」を聞く。

受益するユーザーがいて、提供するプレーヤーがいる、潜在顧客からはニーズを聞いて、今度はプレーヤーに「なんでそこをやっていないのか」という解決策について聞く、というのが重要ですね。

編集:プレーヤーは普通に答えてくれる感じなんでしょうか?

常盤氏:普通に、というか、プレーヤーといっても社長じゃなくて社員さんならその大変さを分かっているので、「頑張って」と、若い企業家に教えてくれる人はいますね。

もちろん、企業秘密は教えてくれないけれど、何でそこをやらないのか、ということは最低限仮説として教えてくれますね。

編集:なるほど。ヒアリングして仮説を作って、実行する、いい例だと思います。

会社が今、こういうことをやっている、というアピールはありますか?

常盤氏:日本の方で、端末が必要な方がいれば連絡ください(笑)

編集:そこはしっかり載せておきます。

マーケティングで重要なのは「ユーザー目線」であること

常盤氏:そもそも、何でマーケットリサーチを重要視したか、というと、一番大きいのは大学の時にグラフィックデザインを勉強したということ。グラフィックデザインってマーケティングプロセスの中で考えると一番下流なんですね、

マーケティングの定義って調査・分析から始まって、課題を設定して、STP、そして4Pがあって、そのプロモーションがグラフィックデザインなんです。

だから、グラフィックデザインをやると必然的にマーケティングの勉強になる。顧客によって好きな色あいとか使われる俳優とか違う、というそこからユーザー目線というのを考え始めたんですね。

編集:なるほど。

常盤氏:それから学生の時にサークルでマーケティングを教わって勉強した、という感じですね。

編集:そこでマーケティングの大事さを理解した、ということですね。

常盤氏:そうですね。そこから思ったのが、ブルーオーシャンとかレッドオーシャンとかマーケットインとかプロダクトアウトとか言われるけど、やっぱり重要なのは課題解決なので、顧客のニーズを聞いて課題解決さえできればレッドオーシャンの中にも何かのサービスはあるし、プロダクトアウトじゃなくてマーケットインになる、と思いました。

編集:なるほど。

勉強になりました。

ありがとうございました。

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<参考>

5000円スマホめざすOS開発のアメグミ、2000万円調達

仕事向けスマホ開発のアメグミ、ロックダウン中にインド法人設立完了。インドの雇用創出やオンライン農業管理のために動く。

株式会社アメグミのプレスリリース一覧

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常盤 瑛祐