Zenport インタビュー

貿易業界の負を解決するZenport、その核心に迫る

「これまでに20回以上ピポットした」そう語るZenport代表の加世田敏宏氏。そんな彼が挑戦する貿易業界の負をテクノロジーで解決するその方法とは!

編集部:
本日のスタートアップのゲストはZenport代表の加世田敏宏さんです。
よろしくお願いします。

早速ですがいろいろQ&Aをしていきたいと思います。

Toshihiro Kaseda:
はい、宜しくお願い致します!

エネルギー問題に関心が有った学生時代

編集部:
Q: 加世田さんのご経歴を簡単に教えて下さい。

Toshihiro Kaseda:
2015年3月まで東京大学の大学院に通っていました。
同年の4月から6月までトライフォートという会社でディレクター兼エンジニアとして働いた後、7月にZenport(旧Sendee)を立ち上げました。

編集部:
なるほど、東大の大学院だったのですね。東大の大学院は何を専攻されていたんでしょうか?

Toshihiro Kaseda:
学科としては機械工学に所属していましたが、研究としてはエネルギー工学に関することを行っておりました。発電所やエアコンの効率を上げるにはどう設計すれば良いか、みたいなことをやっていました。

高校生の頃からエネルギー問題に関心がありまして。これは本当に。(笑)

編集部:
おぉーエネルギー工学を研究されていたんですね。エネルギー問題に高校から関心があるんなんてすごいですね。

イーロン・マスクですね。笑

Toshihiro Kaseda:
そうなんですよ!思いもよらず笑 だから僕もあとエネルギーと宇宙もやってやろうかなと笑

貿易業務の効率化「Zenport」の威力

編集部:
Q: 現在Zenportというスタートアップを運営しているかと思いますが、どんなサービスでしょうか?また創業された経緯など教えてください。

Toshihiro Kaseda:
ZenportはインポーターのCRMです。
インポーターのセールスマンが営業中に、自分の担当する製品が、サプライチェーン上にあとどれだけ在庫があるのかが、モバイルで簡単に分かるサービスです。
こう言うと、なぜ輸入(貿易)に特化する必要があるのかと思われるかもしれませんが、輸入業務は国を超える、かつ関わるプレーヤーが国内で閉じる売買に比べて圧倒的に多いため、川上から情報を追うことが困難なのです。

編集部:
なるほど。インポーターのセールスマンが在庫の管理を簡単にチェックできるというわけですね。

インポーターは輸入業者という認識であってますか?

Toshihiro Kaseda:
その通りです。

インポーターとは輸入業者という認識で合っています!

編集部:
Techcrunchにも記事になってますね!
貿易業務の効率化クラウドサービス「Zenport」が資金調達とオープンβ公開を発表貿易業務の効率化クラウドサービス「Zenport」を提供するZenportは7月10日、合計2社の投資家から資金調達を実施したと発表した。調達金額は非公開だが、数千万円規模の調達とみられる。同時に、Zenportはこれまでクローズドβ版として提供してきたZenportのオープンβテストを開始すると発表した。TechCrunch Japan

Toshihiro Kaseda:
そうそれ!ただこの頃からは結構コンセプトが変わっています。

編集部:
なんと、そうなんですね。アップデートがあるんですね。

是非ご説明下さい。

Toshihiro Kaseda:
当時は船積管理にフォーカスしていました。かつペインを解決する対象者も輸入業者というフォワーダーという二者を対象としていました。
しかしこの場合、二者を巻き込む必要があるのでスケールが遅くなる、かつ船積管理はペインがあるが、ウチが提供できる価値が既存のものに対して圧倒的に良いとは言えない、という壁にぶち当たりました。
でどうしようかと考えたのですが、ヒアリングを進めていく中で、発注サイクルを最適化するのが難しいというペインが規模、産業を問わず多くの輸入業者様にあることに気づきました。

最初はなぜかと考えていたのですが、先程も申し上げたとおり輸入って変数が多いんですよ。国内の発注→輸送だと、基本的に1:1か1:Nで対応できるのでそこまで困りません。

ただ輸入だと、まず生産の際に、工場から最低発注量を支持されます。ただこれは多くの中小企業にとっては一回で持ってくるには多いので、複数回の船積に別れます。一方で船についても、一つの発注から作られるわけではなく、別で作っていた発注の一部と交わります。輸送費を抑えるため。この時点で発注:船積がN:Nになります。

編集部:
輸入って変数が多いんですね。一筋縄にサービスを提供できないんですね。。

Toshihiro Kaseda:
そうなんですよ!
それでこの船が中でコンテナに分かれて、それが港から別の倉庫に向かってみたいに感じになるので本当面倒なんですよ。これを物流担当の人はエクセルでやっているんですが、何種類ものエクセルを準備している。かつ一つ一つが見にくい、情報の次元が何次元にもなるのに、エクセルは二次元しからないから、横に長くして擬似的に3次元を表現したりしている。

で、こうなると何が起きるかというと、現場のセールスに最適な在庫情報が届かない。この在庫情報とは予約在庫という色がついた情報です。要は自分が今どれだけ売れるのかという情報。

これがわからないと、お客さんに約束したのに実は在庫が無いなんてこともたまに起きる。結果飛行機で臨時で輸入することになる。赤字ですが、お客さんが切れないようにするために。

編集部:
なるほどですね。船積管理のペインを解決しようとしてるサービスや企業が他にもあったということでしょうか?

Toshihiro Kaseda:
これについては、国内にはありませんが、海外にはあります。HeavenとかFlexportとか。詳細を言うと、各々少し違いますが。

編集部:
なるほど、Flexportは聞いたことがあります。

お客さんに約束したのに実は在庫が無いないとは結構たいへんな自体ですね。

自分が売れる商品がどのプロセスに在庫としてあるかが、可視化されて見えるということですね。

Toshihiro Kaseda:
そう、そのとおりです!その情報がわかると、今自分は何をすべきかの意思決定が出来る。倉庫にある在庫を抑えるべきか、他の営業マンの予約在庫を今回は譲ってもらうか、または新しく発注してもらうかなど。

編集部:
https://zenport.io/img/shipment_batch.png
*利用画面

Toshihiro Kaseda:
こういった意味合いから私たちはZenportをインポートセールスアプリとよんでいます。インポート業務の”セールス”をサポートするアプリだよ、と。

編集部:
なるほど、わかりやすい。

Toshihiro Kaseda:
結構SaaSって業務効率化にフォーカスすることが多いと思うのですが、そうなるとキャップが決まってしまうんですよね。あとお金が落ちにくい。やはり経営者は経費削減より、売上増加(or低減阻止)に関心がありますから

だから私達は売上に近いところの訴求できるよう、プロダクトを構築してきました。

編集部:
なるほどですね、輸入業者が商品を売る効率を上げるという事ですね。

発注→船積だけでなく、発注→販売の負も解消したい

Toshihiro Kaseda:
その通りです!あと今後は、発注→船積の部分だけではなく、実際にどれだけ売上が立っているかの情報も取得し、発注→販売までのサプライチェーン全体の情報をカバーしたいと思っています。

この部分は外部のCRM, WMS(倉庫管理システム)との連携を進める予定です。

で、その暁に、売上を最大化する最適な発注(時期、数量)、船積経路をレコメンドしていく予定です。

編集部:
なるほどなるほど。
こちらのブリッジさんの記事中にある。

フェーズ1………Cloud: 貿易管理クラウドソフトとしての「Zenport」を提供、貿易の取引データを収集
フェーズ2………Analytics: 集めた取引データをもとにビッグデータ分析し、ユーザに最適な輸送手段やサプライヤを紹介
フェーズ3………Marketplace: 海上輸送保険など付随サービスの提供、新規サプライヤの紹介を強化
フェーズ4………L/C 決済取引の支援と、それに関連した融資機能の提供
フェーズ5………ブロックチェーンによる決済手段の提供

出典: http://thebridge.jp/2017/07/zenport-funding-from-gree-ventures-genesia-ventures

編集部:

こちらのことでしょうか?

Toshihiro Kaseda:
そうです!今のレコメンドはフェーズ2です。ただブリッジさんの記事のときからは少し登り方が変わっています。

インポーターのセールスプラットフォーム「Zenport」の製品版をリリース株式会社Zenportのプレスリリース(2018年2月26日 10時00分)インポーターのセールスプラットフォーム[Zenport]の製品版をリリースプレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

Ver2.0以降では、オーダー/生産/船積/コンテナ/製品/クライアント等の情報の関係性を、好きな単位で整理いただけるBI機能を充実させるとともに、在庫データとの連携を行い、発注数量の判断サポートやZenport上での社内在庫調整などを実装します。それにより、インポートでの受注から発注のサイクル全体を最適化し、経営判断をサポートしていきます。
またVer3.0以降では、蓄積した情報を元にした融資、保険の提供、更にはブロックチェーンを用いて貨物の移動と決済を同期させるスマートコントラクトを実装していきます。

PRTimesに描いたように、今はこのような登り方を考えています。

編集部:
なるほど、壮大なプランですね。

Toshihiro Kaseda:
そうなんですよ、プランだけは笑

貿易業界✖️ブロックチェーンの可能性

編集部:
Q:少し話しが飛びますが、ブロックチェーンの活用をいろんな企業が活用をしていますが、Zenportではどのように活用される予定でしょうか?

Toshihiro Kaseda:
かしこまりました!
考えとしては2つあります。
1.決済
輸入者と輸出者の決済に使おうと考えています。実は今この決済には一部LC決済という方法が使われています。これは二者が信用の無い場合に、間に信用のある銀行を保証者として立てる決済方法です。しかしこれが面倒かつ、手数料が高いんです。
なので、ここにスマートコントラクトを用いて、モノが送られたら、自動でお金(トークン)が送られる仕組みを作ろうと考えています。実際には超えるべきハードルがたくさんあるので簡単ではありませんが。

2.トラッキング
サプライチェーンの情報を川上からブロックチェーン上に載せて、真贋証明に使おうという試みです。これは今世界中で行われているものです。マースクという世界最大の船会社やIBM、ウォルマートなども取り組んでいます。海外ではBiTAという団体が立ち上がったり。
ただこれも超えるべきハードルがたくさんあります。あとそもそもブロックチェーンを使う必要があるのかという懸念も。ここはやりながら仮説検証していきたいと思っています。

編集部:
なるほど、先端技術をどんどん使っていことされる感じいいですね。

「スマートコントラクトを用いて、モノが送られたら、自動でお金(トークン)が送られる仕組み」こちらはわくわくしますね。

実現できそうでしょうか?

Toshihiro Kaseda:
そうなんですよ!無茶苦茶ワクワクしますよね!
出来ると思います!(超えるべきハードルは多いですが笑)

編集部:
ものすごいですね。めちゃ期待しています。

Toshihiro Kaseda:
実際のモノの情報と、ブロックチェーン上の情報をどう紐付けるとか、何をもってモノが移動したと見做すとか、技術、法律、会計など各側面で問題が山積みです。まあだからこそ、やる意味があると思いますが!

編集部:
なるほど、複雑そうですが、Zenportが解決してくれる事を楽しみにしています。

国際的な組織で、世界に使われる製品を作りたい人WANTED!

編集部:
Q: グリーベンチャーズ、ジェネシア・ベンチャーズ、 DG インキュベーションから資金調達されていますが、資金はどのような所につかっていきますか?

エンジニアの採用でしょうか?

Toshihiro Kaseda
はい、ほぼ採用です。エンジニアとビジネスサイド双方です!

編集部:
現在何名ぐらいのメンバーでしょうか?

Toshihiro Kaseda:
フルタイムは6名です!
私を除く5名のうち、エンジニアは4名、ビジネスサイドが1名です!

編集部:
世界のモノとデータの流れをデザインしたいあなたへ by 株式会社ZenportZenportのデザイン、並びにフロントエンド開発を担当してくれるUI/UXデザイナーの方を募集します。 ハワイ出身のUI/UXエン…

絶賛募集中ですね。

採用メッセージをお願いします。

Toshihiro Kaseda:
私たちは今英語が公用語の国際的なチーム体制を敷いています。今は5カ国から集まったメンバーで活動しています。
これには一つ、組織としてのミッションがあります。
結論を言うと、日本や東京を、世界の優秀な人材が、生きていける場所にしたいなと。
今はナショナリズムが世界を覆っているなと感じてます。それによってアメリカとかヨーロッパとか、これまで人材の受け皿であった地域が機能しなくなってきている。そのため、今どこか第三極が世界で求められてるなと。
でそれが、東京や日本であるべきだと考えています。

言論の自由、治安の良さ、情緒ある文化、美味しい食事、これだけ住むにいい場所は世界にもあまり無いぞと
なら、皆ここで生きてみないかと。ちょうど日本は人口減少に直面していますし、win winだろうと

ただ一方で、多くの場合日本では、日本語が話せないと仕事が出来ない。こうなると、呼びたくても呼べないよね。
だったらそこを変えてみようと。英語が話せて、能力があれば誰でも仕事して、家庭を作って、生活を楽しめるようにしようと。
ただこういうのって行政がやってもあまり変わらないので、一人の個人や一つの組織がまずモデルを示して、周りに影響を与えて行こう

そしたらそれがムーブメントになり、地域や都市や国家が変わるんじゃないかと。なら私達が先ずはモデルを示そうと。とまあ、こんなことを考えています笑

なのでメッセージとしては、国際的な組織で、最初から世界に使われる製品を作りたい人は是非とも来てほしいです!

編集部:
なるほど。熱くてめちゃいいすね。

海外の優秀な人が日本、東京で働ける環境を作っているのですね。素晴らしいです。

輸入業者だけでなく、地域や都市や国家を変えていこうとする熱い加世田さんでした。

本日はお忙しい中有難うございました。

Toshihiro Kaseda:
こちらこそありがとうございました!何卒宜しくお願い致します!

この記事は2018年4月のインタビューの様子を掲載しています。