統計グラフを使いわけてスマートなマーケティングを目指す

マーケターには今、エビデンス(根拠、証拠)のあるマーケティングが求められています。

エビデンスがあれば、成功したマーケティング・キャンペーンの勝因を容易に特定することができ、次の成功につなげることができるからです。

逆に、エビデンスがないキャンペーンがヒットしたとしても、まぐれ当たりの「一発屋」で終わってしまうかもしれません。

エビデンスは、統計グラフで見える化することができます。

したがって、マーケターは、自身のキャンペーン企画をプレゼンするとき、統計グラフを使うといいでしょう。

上司やクライアントに統計グラフを示せば、エビデンスの内容を一瞬で伝えることができ、マーケティングは統計グラフによってスマートになります。

統計グラフにはさまざまな種類があるので、それぞれの性質を理解して、用途に応じて使い分けられるようにしましょう。

統計グラフの威力

これまで統計グラフを意識的に使ってこなかったマーケターは、まず、統計グラフの威力を理解しましょう。

先ほど、統計グラフはエビデンスを見える化する、と紹介しましたが、なぜエビデンスの見える化が必要なのかというと、エビデンスには説得力があるものの、伝達能力がそれほど高くないからです。

例えば、次のようなエビデンスがあったとします。

メンバーA:10点、メンバーB:30点、メンバーC:20点

わずか3項目ですが、このエビデンスが持つ意味を理解するには、数字を見比べたり、登場人物を確認したりする必要があります。

この数字を解読すれば、「メンバーBが最も優秀」という事実に説得力が生まれますが、「エビデンスだけの状態」はその事実を明確には伝えません。

これを表にすると、伝達能力が少し向上するため、この数字を理解するスピードが少し速くなるでしょう。

メンバー A B C
成績 10 30 20

項目数が少ない場合、表でも悪くありませんが、これをさらに統計グラフにすると、その威力を理解することができます。

 

統計グラフ

これなら一瞬で「Bがダントツで優秀」「Aは弱い」「Cはまあまあ」ということがわかります。

これが統計グラフの威力です。

それでは次に統計グラフの種類ごとの特徴をみていきます。

棒グラフ

先ほど紹介した統計グラフは、棒グラフです。

統計 棒グラフ

棒グラフはデータ量を棒の長さで表したものです。

データ量を棒の長さにすると、データ量の比較が容易になります。それは多くの人が「長い=多い」「短い=少ない」と変換することに慣れているからです。

データ量を数字で表したほうが正確ですが、数字でデータ量を比較するには「知識」が必要になります。

例えば、世界中のほとんどの人は「5」のほうが「4」より大きいことを知っていますが、「五」と「四」では「五」のほうが大きいことを理解できるのは、漢字を知っている人だけです。

つまり、知識が必要な比較は面倒なのです。

その点、長さは、直感的に理解できます。それは、長さには、長短という価値が含まれているからです。

ただし、長さは、正しいデータを伝えるのが苦手です。そこで統計グラフと数字を組み合わせることで、正確なデータを表示して比較することができるようになるのです。

円グラフ

次に、円グラフの特徴をみていきましょう。

この円グラフは、下記のデータを「%」に変換したものです。

メンバー A B C
成績 10 30 20

円グラフでは、「シェア」がひと目でわかります。

「総計が60のとき、30のシェアは50%」という計算は、暗算で実行するときでもそれなりに時間がかかりますが、上のような円グラフにすれば、Bが「大部分のシェアを占めている」ことが瞬時にわかります。

折れ線グラフ

折れ線グラフでは、推移を知ることができます。

これも元データは同じく、以下のとおりです。

A B C
成績 10 30 20

例えば、Aを第1期、Bを第2期、Cを第3期とすると、「第2期は前期比3倍を達成したが、第3期ですぐに低下した」ことがすぐにわかります。

帯グラフ

続いて、帯グラフを紹介します。

以下の帯グラフは、この表のデータを使って作成しています。

メンバー A B C
1期 10 30 20
2期 20 10 30

棒グラフと似ていますが、A、B、Cの長さが同じになっているところが違います。

帯グラフではA、B、Cが同じ長さになっているため、A、B、Cの優劣を比較することは苦手ですが、それぞれのデータの「構成」がひと目でわかります。

この棒グラフからは、「AとCは第1期から第2期にかけて着実に実績を伸ばしている」「Bは第1期で飛ばしすぎたため、第2期で失速したようだ」といったことがわかります。

レーダーチャート

レーダーチャートでは、データの偏りを知ることができます。

このレーダーチャートの元データも、先ほどと同じものです。

A B C
成績 10 30 20

このデータを「Aを理系科目」「Bを文系科目」「Cを運動・芸術科目」と読み替えると、この成績を残している人は「典型的な理系人間で運動・芸術はそこそこ」ということがすぐにわかります。

まとめ~正しい統計グラフは正しく理解している証拠

マーケティング業務では、プレゼンや企画説明、検証など、「データを他人に知らせる」作業が多数存在します。

しかし、プレゼンを受ける人のほとんどは、データについての予備知識がありません。

そこで、他人にデータを理解させるときに統計グラフを使えば、「データの意味」や「データの性質」を、多くの言葉を費やすことなく伝えることができます。

そして「データの種類」や「データの性質」によって統計グラフの種類を変えれば、説明を受ける人の理解はさらに進みます。

統計グラフを使いわけるには、「データの種類と性質」と「統計グラフの種類と性質」の両方を理解して、両者をマッチングさせる必要があります。

量を示したほうが理解しやすいのか、シェアが重要なのか、時間的な変化を知らせたいのか、割合に意味があるのか――。

データについてこのように考察することで、自ずと最適な統計グラフを選択できるようになるでしょう。


<参考>

  1. グラフの種類と特徴(静岡県総合教育センター)
    http://www.center.shizuoka-c.ed.jp/24_jissenken_web/nougyou0314/5-4_0grafunosyuruitotokutyou.pdf