アンケート 重回帰分析

アンケート結果を重回帰分析すると売上の「予測」が可能

例えば、晴れた日に気温が上がると、ビアガーデンのビールの売れ行きが伸びますが、この傾向を詳細に分析すると、天気と気温を計測することでビールの売れ行きが予測できるようになります。

この複数の要因と結果との因果関係を調べることを重回帰分析といいます。

定期的に行うアンケートで毎回、重回帰分析を実施してデータを蓄積していけば、データを取るだけでさまざまな予測ができ、予測ができれば、先手を打つマーケティングや予防的なマーケティングを展開することができます。

マーケターにとって重回帰分析は重要な分析手段になるはずです。

重回帰分析とは

重回帰分析とは、要因と結果の因果関係を突き止めること。

要因と結果の因果関係を突き止めれば、将来を予測できるようになります。なぜなら、ある結果を引き起こす要因が出現すれば、同じ結果が起きるからです。

ただ要因と結果を結びつけることは簡単ではありません。例えば、冒頭で気温が上がればビールの売上が上がると述べましたが、気温が上がっていてもビールの売上が落ちることもあります。

「気温の上昇によってビールの売上が伸びることが多いが、落ち込むこともある」というデータが取れたら、「気温上昇という要因」と「売上増という結果」との結びつきはそれほど強くないことになります。

しかしビール会社の人たちは経験的に、気温が上昇するとビールの売上が伸びやすくなることを知っています。

そうであれば、ビールの売上増という結果を導く要因には、気温上昇以外にもあるのではないかと考えることができます。

気温上昇以外の、ビールの売上を伸ばす要因を探すことが、重回帰分析では重要になってきます。

重回帰分析のやり方

重回帰分析は次の数式で実施します。

●Y=aX1+bX2+cX3…

Yは結果で、例えば「ビールの売上が50%以上伸びる」がYになります。

a、b、cは係数といい、ある数字が入ります。係数はあとで説明します。

X1、X2、X3は要因。例えば「気温上昇」がX1、「天気」がX2、「人出」がX3となります。この要因は数値化が必要です。気温上昇と人出は簡単に数値化できますが、天気も例えば「快晴5、晴れ4、曇り3、小雨2、雨1」といったように数値化します。

「…」は、要因を増やす余地があることを意味しています。dX4、eX5と設定できます。

係数がポイントになる

正確な予測をするためのポイントは係数にあります。係数に入れる数字は、結果への貢献度によって決まります。

先ほど紹介した重回帰分析の数式に具体的な文字を入れてみましょう。ここでは「…」は省略します。

●「ビールの売上が50%以上伸びる」確率=a「気温上昇」+b「天気」+c「人出」

この数式は「気温が上昇し、晴れて、人出が多くなれば、ビアガーデンのビールの売上が50%以上伸びる確率が高まる」ことを意味しています。

ただ、この数式では、どの要因が最もビールの売上増に貢献するかがわかりません。

気温上昇より天気のほうが結果に影響を及ぼすかもしれませんし、気温が低下しても曇りでも、人出が急増すると一気にビールが売れるようになるかもしれません。

したがって係数abcの数字を決めるには、過去のデータから結果への貢献度を割り出す必要があります。

係数abcの数字が適切だと、上記の数式に「気温上昇」「天気」「人出」の数字を入れるだけで「ビールの売上が50%以上伸びる」確率が何%くらいになるのかが正確に導けるようになります。

係数は予測したい結果ごとに変えなければならない

適切な係数の値を算出するには、過去のデータを使って何度も試算する必要があり、大変な作業です。

しかも、予測したい結果が変わるごとに係数を算出しなければなりません。

例えば、札幌のビアガーデンと福岡のビアガーデンの「ビールの売上が50%以上伸びる」確率を算出するには、係数abcを変えなければなりません。

それは、札幌と福岡では、3つの要因「気温上昇」「天気」「人出」が、「ビールの売上が50%以上伸びる」に与える影響の度合いが異なるからです。

要因の再検討も必要

係数だけでなく、要因についても再検討を加える必要があります。

気温が常に高い沖縄の場合、「気温上昇」要因が「ビールの売上が50%以上伸びる」結果に与える影響は小さく、「台風の数」という要因によってビールの売上が激しく増減する可能性があります。

その場合、沖縄のビアガーデンでは、次の計算式は使えません。

●「ビールの売上が50%以上伸びる」確率=a「気温上昇」+b「天気」+c「人出」

これを、次のように変える必要があります。

●「ビールの売上が50%以上伸びる」確率=d「台風の数」+b「天気」+c「人出」

結果にほとんど影響を与えない「気温上昇」を要因から外して、新たな要因である「台風の数」を加える必要があります。

重回帰分析をアンケート集計にどのように応用したらよいのか

この記事のメーンテーマである、重回帰分析をアンケート集計に応用する方法を解説します。

定期的なアンケートが必要になる

重回帰分析を成功させるには、つまり、重回帰分析による将来予測をより確実にするには、正確なデータが大量に必要です。

そのため、アンケートは定期的に行うようにしてください。また、毎回同じ質問を設けるようにしてください。

アンケートの回数が増えるほど、同じ質問の回答数が増えるほど、結果と強固に結びつく要因を探すことができます。

結果を決める

重回帰分析を行う目的は結果を正確に予測することなので、結果を決める必要があります。結果としては次のようなものが考えられます。

  • 売上予想
  • 客数予想
  • 客単価予想
  • 販売個数予想
  • 満足度予想

まずはマーケティング・チームのなかで、何を予測するためにアンケート重回帰分析を行うかを決めてください。

7つの要因と係数を決める

重回帰分析では、理論上は要因の数が多いほど正確な結果予測ができるようになります。しかし要因を増やしすぎてしまうと、データが取れなくなる要因が増えてしまい、結果を予測する作業が滞ってしまうことがあります。

実務では、要因は7つに絞っているケースが多いようです。

要因を7つに絞ったら、それぞれの要因の数値に掛ける係数を決めなければなりません。

係数決めは、データを元に何度も調整していく必要があります。

はじめのうちは係数が安定しないはずです。10回アンケートを行って係数を決めても、11回目のアンケートでその係数を使ったところ誤差が大きくなりすぎて使い物にならないということも起こり得ます。

ただ、アンケートの回数を増やせば、係数は次第に安定していきます。

仮説から質問の文言を考える

スーパーマーケットのマーケターが、アンケート結果を使った重回帰分析で売上予測を立てるケースを考えてみましょう。

アンケートの質問の文言を決めるには仮説を立てる必要があります。

売上は、客数×客単価で算出されるので、「今日の買い物の総額はいくらか」という質問が必要になります。

また、価格が安いとついで買いを誘えるので「当店の価格は他店より安いと感じるか」という質問もほしいところです。

「買い物は晴れた日にくることが多いですか」という質問を入れると、天候と売上の因果関係を探ることができるかもしれません。

最初のアンケートでは、売上に影響を与えそうな要因を多く盛り込みましょう。

そのなかから、実際に売上に影響を与えたと思える要因を7つ探していくことになります。

要因が固まったら「しつこく」尋ね続ける

売上に影響を与える要因が7つ決まり、7つの要因の数値に掛ける係数が定まったら、定期アンケートで必ずその7つの要因について尋ねるようにしてください。

しつこくブレずに同じ質問を続けることが大切です。

まとめ

要因と結果の因果関係を正確につかむことはとても難しく、複雑な事象を予測するには高性能なAI(人工知能)が必要になります。

AIを使えば、ほぼ無数の要因を考慮に入れて結果を予測することができるので、確度が高くなります。

しかし、マーケティングの結果予測であれば、AIを使わなくても、アンケートを使った重回帰分析で多くのことがわかります。

ベテラン社員のなかには、直感的に「明日は売上が伸びる」とわかる人もいますが、重回帰分析を使えば誰でも機械的にそれに近い答えを出すことができます。

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<参考>

重回帰分析

読めば納得。重回帰分析で失敗しがちな事例10