アンケート 重複回答

「重複回答可の設問」の重要性と罠【アンケートの基礎知識】

重複回答可の設問とは「次のうち、当てはまるものをすべて選んでください」としたり「次のうち、最も当てはまるものを3つ選んでください」としたりする設問のこと。

アンケートでよくみられる設問ですが、この重複回答可の設問はアンケートでとても重要なものとなります。

なぜなら、アンケートの回答者の心のなかは、いわばカオスであり、そのカオスをアンケート用紙のうえに表現してもらうには、重複回答が有効だからです。

この記事では、重複回答可の設問の重要性を紹介したうえで、重複回答の罠を解説します。

重複回答は集計の仕方を間違えると「嘘」の情報をつくってしまうことになるので注意してください。

重複回答とは、その重要性とは

アンケートにおける重複回答可の設問の重要性を考えるために、アンケートを実施する目的に立ち返ってみましょう。

とらえられないものをとらえるためのアンケート

アンケートを企画するマーケターは、客観的に整理された集計結果を期待するものです。それは間違っていません。なぜなら、アンケートとは、とらえどころのない顧客の希望や意向や感想を、とらえることができるデータに変換するための調査だからです。

例えば、1日の売上額に大きなばらつきがある商品があったとします。

マーケターとしては、なぜ売れる日と売れない日があるのかを知りたくなるもの。そこで、その原因を探るアンケートの実施を決めます。その結果、顧客が、店の接客を重視していることが判明。それに基づいて、よく売れる日に必ず店にいる社員を探すことで、「その人の接客が優れているから、この商品がよく売れるのだろう」と推測することができるのです。

その社員がその商品を売っている様子を観察すれば、他の社員も同じように接客することができるので、毎日売れるようになるでしょう。

これは、なかなかとらえられなかった売上高の増減の理由を、アンケートによってとらえたことになります。それができたのは、アンケートをしたことで「顧客が接客を重視している」という客観データが得られたからです。

しかし、このようにきれいに答えが出ることはまれです。

なぜなら顧客の心はカオスだからです。

アンケートの限界値を高める

顧客の心は矛盾にあふれています。

例えば、アンケートの回答を始めたときは「スポーツが好き」という気持ちだった人が、終盤では「スポーツが嫌い」という趣旨の回答をしていることがあります。アンケートの回答中に、ふとした切っ掛けで、昔スポーツをしていたときの嫌な経験を思い出しただけで、回答内容が変わってしまいます。

また、「正直に答えよう」と思いながらも、悪気なく、アンケート用紙に嘘を書いてしまう人もいます。これは、自分をよく見せようと思ったり、謙遜したり、忖度したりしてしまうからです。

このようなカオスは、アンケート結果をぼやけさせることがあります。

しかし、回答者のカオスな回答こそ本当の回答なので、アンケートをつくるときもなるべくカオスを拾えるようにしなければなりません。

そこで活躍するのが、重複回答可の設問です。重複回答ができれば、回答者は自分の矛盾を素直に表出させることができます。

アンケート結果は、回答者の心を完全に表出させることはできません。

それは、アンケートの設問や選択肢は、アンケートの作成者(マーケター)の想像の範囲内でつくられるからです。マーケターは「回答者はこう思うのではないか。だとしたら、この選択肢が必要だろう」と考えながら選択肢をつくっていきます。

これが選択肢の設問の限界です。

したがって重複回答可の設問は、アンケートの限界値を高める効果があるといえます。

重複回答の罠とは

重複回答可の設問はアンケートでとても重要ですが、罠があるので注意してください。

以下の集計Aと集計Bをみてください。

集計Aと集計Bは、同じアンケート結果を表していますが、集計Aが正しい集計法で、集計Bは間違った集計法。

集計Aの項目ごとの割合(%)は、「全回答数の525」を分母に、項目ごとの回答数を分子としていますが、集計Bの項目ごとの割合(%)は、「回答者数の100」を分母に、項目ごとの回答数を分子ににしています。

当然ですが、同じアンケート結果であるにも関わらず、分母を変えると%は全然異なる数字になります。

重複回答可の設問の回答は、回答者が複数の選択肢を選ぶことができるので、いわゆる「1票の重み」は軽くなります。つまり集計結果にも、1票の重みの軽さを反映させなければなりません。

集計Aのように、分母を「全回答数の525」にすることで、1つの選択肢を選んだ重みは軽くなります。

一方で集計Bの集計方法のように、分母を「回答者数の100」にしてしまうと、多くの選択肢を選んだ人の考えが強く反映されてしまいます。それでは集計結果は、元のデータが持つ意味を間違って翻訳したことになってしまいます。

例えば「大人っぽいところ」を抜き出して、集計Aと集計Bで比べてみましょう。

正しい集計Aは、10個の回答で2%となり、1票の重みがしっかり軽くなっています。

間違った集計Bは、10個の回答で10%となり、1票の重みが不当に重くなっています。

回答者が100人もいて、13個も選択肢があるうえに重複回答ができるのであれば、「10人から選ばれただけなら2%ぐらいが妥当である」と直感的にわかるはずです。

また「10人が選択しただけで10%も獲得できるはずがない」ことも直感的にわかります。

まとめ~悪用できてしまうので注意を

重複回答の罠をわざと使って悪用することもできます。

アンケート用紙に重複回答可の設問を設定したら、集計するときに十分注意することが大切です。

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<参考>

単回答・複数回答で読み間違いのない集計・グラフの作り方