アンケート 多変量解析

多変量解析は多くのデータで本質を見抜く【一歩先のアンケートへ】

マーケターは、アンケート結果を単純集計やクロス集計で分析できるようになったら、さらに複雑な解析に挑戦しましょう。

ここでは、多変量解析を取り上げます。

多変量解析は、多くのデータを総合的、多角的に分析する手法で、例えるなら、医者が、血圧や血液検査、症状などから病気を言い当てるようなものです。

多変量解析を実施するには高度なテクニックを必要としますが、これを習得すれば確度の高いマーケティング戦略をつくることできるようになります。

なぜなら多変量解析は、事象の本質をとらえることができるからです。

多変量解析とは

変量は変数とほぼ同じ意味です。そして変数とは、数学のXやYのことで、数値を入れる文字のことです。もっとシンプルに説明すると、変量はデータです。

多変量解析は「多」とあるとおり、データを多く使います。そして、多くのデータを使わないと多変量解析はできません。

多変量解析を行う目的は、正解に近づくことです。

例えば、血圧を測定したところ、異常に高い数値が出たとします。医療の素人は、このわずか1つのデータだけで「高血圧症だ」と判断してしまうかもしれませんが、医師はそうはしません。異なる状況下でもう一度血圧を測定したり、血液検査をしたりします。

そして、多数の検査を行った結果、高血圧症と診断できても、優れた医師はまだ検査を続けるでしょう。なぜなら血圧が異常であれば、心臓や腎臓や脳血管などに支障が出ているかもしれないからです。

アンケート結果の分析でも、同じことがいえます。

例えば、アンケートを集計したところ「顧客満足度が高い」という結果が得られたら、マーケティングの素人なら「よかったよかった」と思うかもしれません。

しかし優秀なマーケターは、なぜ顧客満足度が高まったのかを知りたいと思うでしょう。

そして、顧客満足度が高まった理由が利益度外視で行ったセールであった場合、その高満足度は持続性がないということが分かります。

このように考えていくと、多変量解析をしなければ真実がみえてこないといえるでしょう。

どのように多変量解析をするのか

多変量解析は、次の4つのステップで実施します。

●データ収集

●1変量解析

●2変量解析

●多変量解析

ステップ1【データ収集】

データ収集は、多変量解析の準備作業です。多変量解析では、データが多いほど正解に近づくことができます。しかし、元のデータが狂っていては、最終結果にも狂いが生じます。

多くの場合、データはそのままでは使えないので、データクリーニングやデータ加工を施し、重複したデータの片方を削除したり、異常値を除外したりします。

ステップ2【1変量解析】

多変量解析は、1つのデータを解析する1変量解析からスタートします。

1変量解析は、1つのデータの推移、平均値、中央値などを調べる方法であり、ステップ1で用意した複数のデータすべてに対して行います。

ステップ3【2変量解析】

2変量解析では、2つのデータを同時に解析します。

例えば、売上高データと顧客数データを同時に解析すれば、顧客数が伸びれば、売上高が伸びる、といったことがわかり、売上高データと天候データを同時に解析すれば、晴れの日に売上高が伸び、雨の日に低迷する、といったことがわかります。

そして、顧客数データと天候データを同時に解析すれば、晴れの日に顧客数が増え、雨の日に減る、といったことがわかります。

2変量解析の2つのデータの組み合わせは、ステップ1で用意するデータが多いほど、増えていきます。

売上高データ、顧客数データ、天候データの3つのデータを用意すれば、2変量解析は3回行うことができます。

ステップ4【多変量解析】

多変量解析は、統計学の手法であるクラスター分析や分散分析、重回帰分析、数量化分析などを行います。それぞれ次のような特徴があります。

●クラスター分析

集団のなかから似たものを集め、集めたものの特徴を分析する

●分散分析

データのばらつき(分散)の大小や、分散が起きる条件などを検証する

●重回帰分析

複数のデータからまったく別のデータの数値を予測する

●数量化分析

本来は数値として意味を持たないデータに、強制的に数値を与えて数量を計測する

統計学手法を多く持っているほど、多変量解析が充実します。

多変量解析でわかること、できること

多変量解析はさまざまなビジネスシーンで使われています。

例えば、チェーン店を展開する企業が次の出店場所を決めるとき、地域の人口動態、地域のライバル店の売上高、地域住民の所得水準、土地価格、テナント賃料などのデータを使って多変量解析をすると、理想的な場所に出店できるようになります。

2店舗目、3店舗目の出店であれば、社長の経験と勘で適地をみつけることができますが、100店舗目、1,000店舗目となるとデータをみて適地をみつけていかなければなりません。

このとき多変量解析をすることで、総合的かつ多角的に分析でき正解に近づくことができます。

また、自社の強みを発見するためにアンケートを行った場合、その結果を多変量解析することで本当の強みがみえてきます。

例えば、シュークリームが評判のスイーツ店が、アンケート結果を多変量解析したら、本当の強みは店員たちの接客にあることがわかるかもしれません。

まとめ~アンケート結果は気づきの宝庫

優秀なマーケターは、アンケート結果に一喜一憂することはありません。なぜなら、よい結果も悪い結果も原因が存在し、その原因を特定できるまで、喜ぶことも不安に感じることも意味がないからです。

多変量解析は、アンケート結果のなかに眠っている真実を掘り起こします。その真実は、アンケートの表面上の結果と真逆のことを示唆していることもあります。

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<参考>

変量と変数

変数(コトバンク)

血圧測定と臨床評価

多変量解析とは

多変量解析

分散分析

重回帰分析とは

「数量化分析」とは