アンケート クラスター分析

「クラスター分析」をすればアンケート結果から新たな発見が可能

アンケートは、企業のマーケティング調査でよく実施される調査方法の1つですが、そこで得られた結果の分析は十分にできていますか?

アンケート分析で欠かせないのが「クラスター分析」。

クラスターは「集団」という意味ですが、クラスター分析をすると、アンケートの回答者を、特徴を持った小集団に分類することができます。つまり、クラスター分析をすることによって、特定の客層にピンポイントでマーケティング・キャンペーンを仕掛けることができるようになります。

クラスター分析の概要とマーケティングへの応用方法を解説します。

クラスター分析とは

クラスター分析とは、1つの大きな集団を、特徴が似た小さな集団に分類する分析手法のこと。

アンケート結果を分析するときによく行われるのが「男女」別や「年代」別、「住んでいる地域」別に分類することですが、このような基準で分析をしても、新たな発見はできません。

スーパーマーケットの客を分析するために「スイーツをよく買う客」「ヘルシー食材をよく買う客」「アルコールをよく買う客」などの基準で小集団に分類すると、「みえなかった傾向」がみえてくるでしょう。

クラスター分析をする狙い

クラスター分析と、「男女」別「年代」別「住んでいる地域」別の分析とでは、何が違うのでしょうか。

例えば、スーパーマーケットが来店客100人にアンケートを行ったとします。

このとき、「男女」「年代」「住んでいる場所」で、100人をわけた場合、「うちのスーパーマーケットは、半径500メートル以内に住む50代の女性客が多い」ということがわかったとしましょう。

この情報があると、近隣に住むミドルの女性向けキャンペーンを行おう、といったマーケティング戦略を打ち出すことができます。

一方、先ほどの100人のアンケート結果を「スイーツをよく買う客」「ヘルシー食材をよく買う客」「アルコールをよく買う客」という基準で分類したとします。

この3つの小集団は、基準を設けなければ生まれなかったグループであり、いわば特殊な小集団です。

そして、この特殊な小集団において、さらに、「スイーツをよく買う小集団は、男性が多いのか、女性が多いのか」といった疑問が湧いてきます。

そこで「スイーツをよく買う小集団」を分析したところ、「女性5割、男性5割」という結果が出てきたとします。

その結果、女性向けのスイーツだけでなく、男性向けのスイーツも同じくらい並べた方が良い、ということが分かるのです。

クラスター分析には「階層」と「非階層」がある

クラスター分析には、階層クラスター分析と非階層クラスター分析の2種類があります。

それぞれの特徴について解説していきます。

階層クラスター分析とは

階層クラスター分析は、類似度が最も高いものを小集団にわけ、次に小集団どうして似ているものを中集団にしていく手法です。

回転寿司店がネタの階層クラスター分析を行う場合、例えば次のような小集団にわけることができます。

●小集団A:マグロ赤身、サーモン

●小集団B:中トロ、大トロ

●小集団C:赤貝、カキ

●小集団D:ウニ、イクラ

●小集団E:カッパ巻き、納豆巻き

小集団Aは、中価格帯で高い人気という点が、小集団Bは、値段が高いマグロの部位という点が、そして、小集団Cは、貝類という類似点があります。

また、小集団Dは、高額な軍艦巻きという共通点があり、小集団Eは、低価格な海苔巻きです。

この小集団は、次のように中集団にわけることができます。

●中集団F:マグロ赤身、サーモン、中トロ、大トロ

●中集団G:赤貝、カキ

●中集団H:ウニ、イクラ、カッパ巻き、納豆巻き

中集団Fは、中価格帯~高額の人気ネタですが、中集団Gは、FともHとも似ていないので、独立。そして、中集団Hは、海苔を使っている点が似ています。

このように並べてみると、小集団Aと小集団Bは似ている度合いが強いが、小集団Aと小集団Eは似ている度合いが弱い、という小集団どうしの近似性がみえてきます。

非階層クラスター分析とは

階層クラスター分析は視認性が高く、直感的に理解しやすいのですが、データのサンプル数が多くなると分類しにくくなるという欠点があります。

その欠点を補うのが、非階層クラスター分析です。

非階層クラスター分析は、機械的に小集団を決めていきます。

9個のサンプルA~Iの、特徴Aの量と特徴Bの量を測ったところ、次のような結果になったとします。

グラフ, 散布図

自動的に生成された説明

これだけでは、9個のサンプルは雑然と並んでいるだけです。小集団はみえてきません。

そこで、次のような基準をつくります。

●サンプルAに類似した小集団と、サンプルDに類似した小集団と、サンプルGに類似した小集団に分類する

グラフ, 散布図

自動的に生成された説明

この基準をつくるだけで、9個のサンプルを以下のように3つの小集団にわけることができます。

ダイアグラム

自動的に生成された説明

小集団をつくる基準にA、D、Gを選んだので、このような分類になりましたが、別の基準をつくると、別の分類ができます。

アンケート結果をクラスター分析するメリット

アンケート結果をクラスター分析すると、マーケティングに新たな展開がみえてきます。

階層クラスター分析でも非階層クラスター分析でも、分類の基準を決めるのはマーケターです。そして基準は自由に設定することができます。

例えば、ホームセンターがアンケートを実施して、「木材を買いに来店した客」という基準でアンケート回答者の小集団をつくったとします。木材小集団を分析したところ、高い確率で軍手を買っていることがわかったとしましょう。

この結果を受けて、木材売り場に軍手コーナーを設置すると、軍手の売れ行きが伸びるかもしれません。

また、「木材を買いに来店した客」の1人当たりの平均購入金額と、「肥料を買いに来店した客」の1人当たりの平均購入金額が近似していて、ほかの小集団の平均購入金額より低いことがわかったとします。

その場合、「木材を買いに来店した客」と「肥料を買いに来店した客」には購買余力があると推定できるので、この2つの小集団に属する客にもう1品買ってもらうように働きかけをすれば、ホームセンター全体の売上高が上がる可能性があります。

クラスター分析の注意点

クラスター分析は、基準を任意に設定できるため、小集団も任意に決まってしまいます。

つまり、クラスター分析は科学的な分析方法ですが、基準を設定するスタート地点は恣意的です。

先ほど、非階層クラスター分析の説明で使った9個のサンプルA~Iを、もう一度使ってみます。

ただここでの基準は、次のようにします。

●サンプルDに類似した小集団と、サンプルEに類似した小集団と、サンプルFに類似した小集団にわける

D、E、Fを基準にすると、小集団は次のように分類されます。

先ほど作成した「A、D、G」を基準にした小集団は以下のとおりです。

<再掲:「A、D、G」を基準にした小集団>ダイアグラム

自動的に生成された説明

まったく同じ9個のサンプルを使っているのに、まったく異なる小集団ができたことが分かります。つまり「基準を恣意的に決めるので、結果も恣意的になる」ということができます。

このことから、クラスター分析では基準づくりが重要であるといえるでしょう。

まとめ

アンケートを実施すると、意外なことがわかることがあります。

その意外な情報を引き出すことができる手法としてクラスター分析が役立ちます。

顧客や消費者の集団は、一見するとバラバラなようですが、小集団に分類すると「まとまり」が出てくるもの。そして、まとまりができれば、そこをターゲットにしたマーケティングを展開することができます。

クラスター分析は、マーケティング・キャンペーンのバリエーションを増やすのに有益な手法といえるでしょう。

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<参考>

クラスター分析とは

非階層クラスター分析

クラスター分析とは?BtoBマーケティングでの活用方法